(1)サーモグラフィで観測したいぐさ表面温度はいぐさの含水率と強い相関があります(図1)。また、乾燥終期に温度が低い箇所は未乾燥いぐさの発生箇所とほぼ一致し、乾燥仕上がりの判断にサーモグラフィが活用できます(図2)。
いぐさ乾燥作業の効率化には、サーモグラフィとルーバーの併用が効果的である
アグリシステム総合研究所いぐさ研究室
1 研究のねらい
収穫したいぐさは水分を含んでおり、畳表の材料として乾燥させる必要があります。いぐさ乾燥作業は、その調整と仕上がりの判断が生産者の経験と勘で行われています。近年の燃油高騰対策や未乾燥いぐさの発生抑制のため、サーモグラフィで乾燥過程を可視化し客観的に判断するとともに、乾燥機改良による効率的な乾燥技術の開発を行いましたので、ご紹介します。
2 成果
(2)乾燥機の火炉から乾燥箱下への熱風吹出し口にルーバー(風向板)を取付け改良し(図3)、サーモグラフィでいぐさ表面温度に温度差が確認された時点で、低温部分にルーバーの風向きを調整します。その結果、乾燥時間が短縮され、燃油使用量を約11%、消費電力量を約7%削減できました(表1)。また、未乾燥いぐさの減少でいぐさの品質向上も見込まれました。
3 留意点
本試験は、所内で栽培した令和4年年産の品種「涼風」を用い、未乾燥が発生しやすい無染土いぐさによる小規模条件(いぐさ詰込面積2.25㎡)で実施しました。
No.1036(令和5年(2023年)6月)分類コード05-07
いぐさ乾燥作業の効率化には、サーモグラフィとルーバーの併用が効果的である (PDFファイル)
いぐさ全般
除菌剤の拭取りは、畳表の色の変化や摩耗強度に影響を及ぼさない
いぐさ「涼風」の追肥を耕種基準より早く始めると、畳表の品質は低下する
乾燥機背板の可動式への改良で、無染土乾燥時のいぐさの湾曲を軽減
簡易減圧染色装置を利用することで無染土「涼風」を天然染料で染色できる
(No.873(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 05-07)いぐさポット苗株分け時の新芽等への損傷は苗の生育にほとんど影響を及ぼさない
(No.874(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-07)畳表のカビの発生しやすさはいぐさ品種間で異なる
(No.831(平成 30 年 5 月)分類コード 05-07)「涼風」の畳表色調を保持しながら染土使用量を低減する泥染め技術
(No.830(平成 30 年 5 月)分類コード 05-07)いぐさの機能性を活用する産業素材用いぐさの栽培収穫体系
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(No.774(平成29年5月)分類コード12-07)いぐさ品種「涼風」の畳表製織時の適正加湿量
(No.745(平成28年5月)分類コード05-07)可搬式茶摘採機のいぐさ先刈り作業への応用
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