カンキツ「熊本EC12」の露地栽培における適正葉果比は100である

農業研究センター果樹研究所常緑果樹研究室

研究のねらい

「熊本EC12」は12月に成熟し、年内から出荷できる新たなオリジナルカンキツ品種です。品種登録以降、産地では植栽面積が増えつつあり、栽培技術の確立が求められています。
そこで、露地栽培「熊本EC12」の高品質果実を安定的に生産するための適正葉果比※を明らかにしました。
※葉果比:1果あたりの葉数

写真「熊本EC12」の果実

研究の成果

1.果実階級は葉果比100および葉果比120では2L果中心の果実が生産できます。葉果比80ではL果中心の果実となりM果以下の割合も高くなります(図1)。

図1露地栽培「熊本EC12」における葉果比の違いが果実階級別個数割合に及ぼす影響

2.葉果比が高いほど果実は大きくなりますが、糖度は低下します。糖度は葉果比80100が糖度13程度になり、クエン酸濃度はいずれの葉果比も1%程度となります(表1)。

3.1樹当たりの収量は、葉果比により大きな差はありません。また、樹冠容積1㎥当たりの着果数にすると、葉果比80では17果程度、葉果比100では15果程度、葉果比120では14果程度になります。(表1)。

4.翌年の着花数はいずれの区も多く、葉花比は前年の葉果比が高いほど低くなります(表2)。

これらのことから、葉果比100にすることで中心果実階級が2Lとなり、糖度13度程度、クエン酸濃度1%未満の果実を連年安定生産できることが明らかになりました。

成果活用面・留意点

1.果樹研究所における高接ぎ5~7年目の結果です。試験では新葉率50%程度で程良く新梢が発生している樹を用いました。
2.7月中旬に摘果果実の7割を粗摘果し、8月中旬に残りの3割を仕上げ摘果しました。
3.「熊本EC12」は着花性が高く、着花過多になると樹勢低下が懸念されるため、着花抑制処理を行い適切な樹勢を維持する必要があります。
4.「熊本EC12」はカンキツ産地で栽培が可能であり、温暖で日照条件が良く排水良好な園に適します。

 

No.997(令和4年(2022 年)6月)分類コード 02- 09
997_カンキツ「熊本EC12」の露地栽培における適正葉果比は 100 である

中晩柑