クリ「美玖里(みくり)」は幼木期に結果母枝を切り返すと収量が増加する

研究のねらい

クリ「美玖里」は、多収性の晩生品種で、その品質の良さから平成27年に熊本県の推奨品種に選定され、徐々に栽培面積が増加しています。
これまで、「美玖里」では幼木期の枝梢管理法は明らかにされていませんでした。そのため、早期成園化および初期収量確保を目的とした幼木期における「美玖里」の枝梢管理法について明らかにしました。

研究の成果

1.冬季せん定時に結果母枝の切り返し処理を行うと、発生する新梢(結果母枝候補)数は無処理の場合と差がありません。一方で、幼木期に切り返し処理を行うと、新梢が無処理の場合に比べて長くなり、その長さは切り返し程度が強いほど長くなります(表1)。

 

2.結果母枝当たりの着毬数(枝当たりのイガの数)は、冬季せん定時に切り返し処理を行うことで多くなります。また、切り返し程度の違いによって、結果母枝あたりの着毬数に差はありません(表2)。

 

3.切り返し時期の違いで新梢数、新梢長、結果母枝あたりの着毬数に差はありません(表3)。

 

以上の結果から、クリ「美玖里」は、幼木期に結果母枝を切返すことで新梢が長くなり、結果母枝当たりの着毬数が増加し、収量が多くなります。

普及上の留意点等

1.本研究成果は、球磨農業研究所(表層多腐植質黒ボク土)で、平成29年2月に植栽した2年生苗に対して、平成30年度(2018年)から令和2年度(2020)にかけ、通常せん定後に各処理を3か年継続して実施した樹の結果です。

. 結果母枝の切り返しは、初期収量の確保が必要な幼木期(樹齢5年生頃)までとします。

3.結果母枝数を多く残しすぎると果実が小さくなる恐れがあるため注意します。

 

お問い合わせ先

農業研究センター 球磨農業研究所
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