小麦「ミナミノカオリ」の精麦重は生育後期重点施肥で年次に関わらず高位に安定する

農産園芸研究所作物研究室

1 研究のねらい

小麦の施肥法としては一般には基肥・追肥体系が普及していますが、施肥窒素利用率は基肥よりも生育後期の方が高いという知見があります。そこで、品質・生産量を安定して確保するために、パン・中華めん用小麦「ミナミノカオリ」における生育後期重点施肥の効果を検討しましたので、その結果をご紹介します。

2 成果

小麦「ミナミノカオリ」について、黒ボク土壌における水稲後作において生育後期重点施肥栽培を行うことで、慣行施肥と比較して、以下の特徴を示します。
(試験区)分6+止6:基肥なし、窒素を分げつ期0.6/a、止葉抽出期0.6/a
(試験区)節6+止6:基肥なし、窒素を節間伸長始期0.6/a、止葉抽出期0.6/a
(慣行区)慣行施肥:基肥・追肥体系

(1)精麦重(収量)は、慣行施肥では年次変動が大きいのに対して、生育後期重点施肥では年次変動が小さく、高位に安定します。なかでも、分6+6は節6+6よりも精麦重が重く、年次変動がより小さくなります(表1)。

(2)登熟期間は長くなります。成熟期は、分6+6では4月の気温が平年より高い年(2021年、2022年)で1~2日、平年より低い年(2020年)で4日遅くなります。節6+6では分6+6よりもさらに1~3日遅くなります(表2)。

3 留意点

(1)生育後期重点施肥は慣行施肥より成熟期が遅いため、遅播きを避け、適期に播種してください。

(2)施肥時期
分げつ期施肥:主茎を除いた一株当たりの茎数が3本になった時(1月10日前後)
節間伸長始期:節間長が約5㎜になった時
止葉抽出期:止葉の抽出が始まった時(節間伸長始期から約2530日後)

No .1004 (令和5年(2023年)6月)分類コード 02-02
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