果皮色が濃く外観が優れるカキ「麗玉(れいぎょく)」の特性

研究のねらい

熊本県ではカキの主力品種として「太秋」を産地化し、ブランド化を図っています。しかし、「太秋」では軟化果実や汚損果が発生し、生産が不安定な面があります。そこで、「太秋」と組み合わせることで生産者の経営安定が図られ、良食味で障害の発生が少ない優良品種「麗玉(れいぎょく)」を選定しましたので、その特性について紹介します。
なお、「麗玉」は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業部門で「甘秋」に‘カキ安芸津19号’を交配して育成され、平成28年に品種登録された完全甘柿です。

写真1 カキ「麗玉」の結実状況
写真2 カキ「麗玉」の果実

研究の成果

1.樹勢は中程度で、展葉期や開花期は「太秋」とほぼ同時期です。また、雌花の着生が多く、生理落果が少ないため安定生産しやすい品種です(表1)。

2.収穫時期は、10月中~下旬で「太秋」よりやや早い時期です(表1)。

3.果実は350g程度と比較的大玉で玉揃いも良く、果皮色がとても濃く外観が優れています(表2)

4.糖度は約17度と「太秋」と同程度で、果肉も柔らかく食味は良好です(表2)

5.無袋栽培でも汚損やへたすき、果頂裂果など障害果の発生はほとんどありません(表2)

6.以上のことから、「麗玉」は「太秋」よりやや早い10月中下旬に収穫される完全甘柿で、果皮色が濃く、玉揃いも良く、食味が良好な品種です。また、条紋、汚損、へたすき、果頂裂果などの障害果がほとんど発生しない外観の優れた品種です。

普及上の留意点等

「麗玉」の栽培は、夏秋期の気温が高い地域が適しているため、「富有」の栽培地域での栽培が可能です。また、単為結果力が高いため受粉樹は必要なく、「麗玉」のみで栽培可能です。なお、「刀根早生」等、一部の品種に高接ぎした場合に生育不良が生じることがあるため留意が必要です。

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農業研究センター 果樹研究所 落葉果樹研究室   【TEL】0964(32)1723