肉用鶏「天草大王」は、地鶏の中でも最大級の発育をする熊本県が誇る地鶏です。一方、地鶏といわれる肉用鶏は、その種類の多さから日本飼養標準・家禽において標準的な養分要求量の記載はなく、肉用鶏「天草大王」の発育に最も適した飼料は、どのようなものなのか、いまだ研究の途上にあります。
そこで本研究では、肉用鶏「天草大王」雄において、より良い発育をする飼料を検討する目的で、アミノ酸のアルギニンに着目し、肥育後期の増体を改善する給与方法を開発したので紹介します。
肉用鶏「天草大王」におけるアルギニン添加飼料の増体効果
研究のねらい
研究の成果
1.試験では、アルギニンを市販の肥育後期飼料、仕上期飼料に添加した飼料を図1のように給与しました。
2.肉用鶏「天草大王」の肥育後期開始時(29日齢)からアルギニンを0.55%添加した飼料を給与した区(B区、C区)、0.74%添加した飼料を給与した区(D区、E区)では、肥育後期(29~70日齢、特に29~49日齢期間中)の増体量が大きくなる傾向が見られました(図2)。
3.肉用鶏「天草大王」の肥育仕上期(71~105日齢)にアルギニンを添加した飼料を給与すると、増体量では、特に肥育仕上期後半の92~105日齢でアルギニンを0.83%添加した飼料を給与した区(A区、C区)で、小さくなりました(図3)。
4.本試験の結果から、肥育後期(29~70日齢)にアルギニンを0.55%もしくは0.74%添加した飼料を給与すると増体が改善される一方で、肥育仕上期(92~105日齢)に0.83%添加した飼料を給与すると発育にマイナスの影響を及ぼすことが分かりました。このように、肥育後期にアルギニンを強化し、仕上期には添加しないB区、D区が、発育改善効果が期待できる最も適当な給与方法であることが明らかとなりました。
普及上の留意点等
1.アミノ酸は一般的なブロイラー用肥育飼料に比べ非常に高価なため、添加する場合は飼料コストに十分留意してください。
2.本研究は、「天草大王を使用した肉用鶏の管理マニュアル」に準じて肥育を実施した肉用鶏「天草大王」雄の試験成績です。
3.肥育仕上期(71~105日齢)でアルギニンを添加した場合、かえって発育が落ちる可能性があるので、給与のタイミングには注意が必要です。
お問い合わせ先
農業研究センター 畜産研究所 中小家畜研究室
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