飼料用米は、輸入穀物飼料に代わる国産穀物飼料としての活用が期待されており、低コストで製造が可能な籾米サイレージとしての利用が促進されています。飼料用米は生育特性上、収穫時期により品質や成分に大きな差が生じる可能性があることから、籾米サイレージ製造に供試する際の収穫適期を検討しました。
飼料用米・稲発酵粗飼料(WCS)兼用品種‘夢あおば’を籾米サイレージに利用する場合、栄養成分・発酵品質・作業効率面から黄熟期以降の収穫が適している
研究のねらい
研究の成果
1.飼料用米‘夢あおば’の出穂から30日(糊熟期)、40日(黄熟期)、50日(成熟期前期)、60日(成熟期後期)、90日(過熟期)で収穫し、籾米サイレージ調製した場合、栄養成分は各熟期で大きな差異はみられませんでした(表1)。
2.発酵品質良否の指標となるV-Scoreは、いずれの熟期でも80点以上と良好な発酵品質を示していました(表2)。
3.マルチコンパクター(写真2)を用いた製造体系(図1)で糊熟期と黄熟期の籾米を用いて作業効率を調査したところ、黄熟期で1時間あたりの籾米サイレージ製造量が糊熟期より26%高い結果となりました(表3)。黄熟期以降、デンプンは固形状になっていることから、黄熟期と同等の作業効率になると考えられます。
4.以上の結果から、マルチコンパクター体系における籾米サイレージ製造において、原料となる生籾は黄熟期以降の収穫が適していることが明らかとなりました。
普及上の留意点等
1.本研究の結果は収穫した生籾を直ちに破砕し、籾米サイレージ製造した際の結果です。それ以外の製造法では異なる結果となることがあるため、留意が必要です。
2.本試験では、籾米サイレージの水分が30から35%となるよう加水しており、籾米サイレージの水分が異なる場合は、発酵品質が低下する可能性があります。
3.出穂後の登熟速度は、品種や気象条件、施肥条件などで大きく異なるため、熟期判定は出穂からの日数だけでなく、目視での判断も行う必要があります。
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農業研究センター畜産研究所 飼料研究室
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