キラッと輝く女性たち

モモ、ナシ、米

球磨郡錦町 “果樹づくり3代目” 代々続く果樹園をさらにパワーアップ

坂本 美鈴さん

プロフィール
〇家族構成 夫、子、父、母
〇経営内容 モモ75a(トンネルハウス栽培、露地栽培)、ナシ75a(露地栽培)、米 約80

はじめに

今回は、球磨郡錦町でモモ・ナシを栽培されている坂本美鈴さんをご紹介します。
球磨・人吉地域は県下最大の落葉果樹の産地です。中でも、美鈴さんが住んでいる球磨郡錦町は「剣豪とフルーツの里」として知られており、モモ・ナシ・クリなどの栽培が盛んに行われています。

就農からこれまで

美鈴さんのご実家は祖父の代からのモモ・ナシ農家で、美鈴さんが果樹づくりの3代目です。県立農業大学校を卒業後すぐに就農し、約18年間モモ・ナシを栽培されてきました。就農当初は技術の習得に苦労し、作業のことで両親との衝突もあったそうですが、現在では剪定(せんてい)から収穫まで全ての作業を担い、日々、美味しい果物を作るために腕を磨かれています。
これまで熊本県農業コンクール「新人王部門」受賞、熊本県農業経営塾6期生、熊本県青年農業者クラブ(4Hクラブ)球磨支部で会長を務めるなど、地域の女性リーダーとして活躍されてきました。現在は4歳になる息子さんの母親として、ご家庭でも活躍されています。

ナシ園で作業される美鈴さん

仕事へのこだわり

ナシのジョイント栽培園

「省力化・効率化を重視し、スピード感をもって作業することが大事」と話す美鈴さん。その代表例として、ナシ園には早期成園化と省力化に特化したジョイント栽培を導入されています。平成26年に導入したジョイント栽培は、今では15aに増え、ナシの全面積の2割を占めています。今後も面積拡大を予定しており、両親の高齢化による労力不足を見据えた対策も取られています。また、新しい品種も積極的に導入され、ナシでは県果樹推奨品種である「秋麗」や「あきづき」、モモでは温暖化に対応した「さくひめ」を早くから導入されています。新しい情報を積極的に取り入れ実行する姿に、美鈴さんの果物づくりへの熱意を感じました。

※ジョイント栽培…主枝を1本として先端部を水平に誘引し、隣接樹の主枝基部と接木することによりナシ樹を連続的に連結して栽培する方法。

安全で美味しいものを届けるために

「安心・安全で美味しいものを消費者に届けたい」という気持ちを常に持ち、栽培に取り組まれている美鈴さん。数年前から、4Hクラブのプロジェクト活動で自家製のぼかし肥料によるモモづくりを行っています。有機肥料やぼかし肥料を用いて、モモの品質向上と環境保全型農業に取り組まれています。
また、当初からくまもとグリーン農業に取り組み、今後も減農薬を進めていきたいと考えられています。「外観が多少悪くても、味は抜群に美味しいということを消費者に自分からPRしていきたい。」と販売面での戦略も、すでに思い描いておられました。

ぼかし肥料づくりの様子

これからの挑戦

「今後は①インターネット販売の拡大、②経営安定に向けた雇用確保を行っていく。」と意気込まれています。現在は物産館を中心に、市場やインターネットなどを通して販売されていますが、近年の感染症拡大に伴い、顧客の減少が問題となってきました。そこで、今後はインターネット販売をさらに拡大することで、販路を多様化し、変動する情勢の中でも経営を安定させていくことを考えられています。また、ご両親の加齢を見据えて、雇用も考えているとのこと。忙しい中でも、常に先のことを考え行動している様子が印象的でした。
祖父から続く果樹園を引き継ぎ、地域の女性リーダーとして活躍している美鈴さん。今後も強い信念をもち、さらに輝きを増しながら活躍されていくことを期待しています。

 

(紹介:県南広域本部 球磨地域振興局 農業普及・振興課)

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