私は熊本市北区硯川町で有限会社松村農園として、兄弟3名で観葉鉢物の生産・販売を行っています。観葉鉢物の生産は昭和53年からで、もう40年になります。幸福の木、ユッカ、寄植鉢、モンステラ、アンスリューム等約30種類生産し小、中、大鉢を年間約10万鉢出荷しております。
こだわっとる農
観葉鉢物
熊本市 「働き方改革」 楽しく働き 楽しく遊ぶ
熊本市 有限会社松村農園 代表 松村 春記さん
はじめに
こだわりの生産と販売
15年程前までは、ほとんどプラスチック鉢で生産していましたが、ギフト用の需要が高まり豪華な陶器鉢を使い始めました。現在では弊社の商品に合うデザインやサイズを指定して、中国の陶器工場より年間12コンテナ程仕入れています。
また、1鉢に3~5種類を植え込んだオリジナルの寄植鉢にも力を入れ、年間の注文にも対応できるようにパンフレットにも載せてPRしています。
出荷は九州の花市場を主体に、中日本(名古屋方面)辺りまで約30市場程です。8年前からネット販売も始め、「幸せの花急便」の店舗名で楽天市場、ヤフー、アマゾン等に出店し、今では総売上げの約3割を占めています。他に大型園芸店、量販店等にも納めていて、現在はネット販売業者への卸も増えているところです。今後の目標は花市場以外の販売を5割まで持っていきたいと考えています。
働き方改革
現在、弊社では総勢37名が働いています。今までは内部の充実よりも規模拡大を優先的に行った結果、やっと現在の経営規模になりました。近年、毎日のように報道機関でも伝えられていますが、働き手が少なく、求人してもなかなか人が来てくれない状況です。そこで私は、今後の人材の確保、育成などを考慮して、昨年の12月より「働き方改革」に取り組みました。
1.週休2日制と残業手当
休みの日曜日以外に、週に必ず休日を1日取り、週休2日制を守っています。勤務は1日8時間、週40時間を超えないようにし、やむなく超えた場合は残業手当を付けています。また、社員とのミーティングも午前10時からと、午後3時からの2回行い、午後5時には終業するようにしています。こういった取り組みは、従業員のやる気アップにつながり、効率よく毎日の作業を行うことができます。休日には、自分の趣味や旅行、家族サービスもできる、と従業員のみなさんが大変喜んでいるところです。
2.有給休暇
これまで社員に有給休暇は与えていましたが、パート・アルバイトの従業員にはなかったので、有給休暇を正式に取得できるようにしました。勤務年数の長い人は年間に20日取ることができるようにしています。
3.外国人技能実習生
昨年の11月より、女性のベトナム実習生を3名受け入れています。日本語を十分に話せるわけではありませんが、毎日出勤してくださるので、簡単なコミュニケーションはとることができます。また、作業の覚えも早く、毎日作業してくださることで多くの作業に携わってもらったので、今では貴重な戦力となっています。
4.作業のシェアと効率化
週休2日制と有給休暇の取得、休日の農場当番の振替等により、ほとんど毎日社員の誰かが休みになり、重なることも多くなりました。そんな時は他の勤務の者が連携してサポートし、作業がスムーズに回るようにしています。出荷体制もスマホやタブレットによるIT化・ペーパーレス化を進め、効率的な出荷体制へのシステム移行を進めているところです。
事業継承
昭和60年の6月に法人化し、父で会長の武則(3年前になくなりました)、兄で農場長の武光、弟で専務の隆博、妻で経理・総務担当の京子。本当にこれまで5名で険しい道のりを、一心同体でやり抜いて来ました。振り返れば、嬉しかった事より苦しかった事の方が断然多かったように思います。
そんな4名も還暦を過ぎ、特に体力の衰えを感じる年代になってきました。
そんな中、私の息子洋輔と弟の息子裕二、兄の娘婿智也君と3名の後継者が育ってきています。後継者も交えて、役員会も週2回程勤務時間内に開き、諸問題を検討しています。私達が元気な内に次の後継者に譲り、しっかりバックアップできればと考えています。後継者の若い力と知力、感性、そして今まで頑張って来てくれた従業員や私達の経験とを上手く調和させ、今後の飛躍へ繋げていってもらえばと思っています。
プロフィール
松村 春記さん
●経営概要 観葉鉢物
5,200坪
●役員 4名
●主な労働力
社員7名
パート・アルバイト23名
外国人技能実習生 3名