プロフィール
○家族構成 夫、息子2人、娘、父、母、祖母
○経営状況 不知火 160a、温州みかん 230a、イチジク 24a 等
キラッと輝く女性たち
不知火、温州みかん、イチジク等
宇城市 「楽しい農業」しながら人・地域を育む
岡村 芙実子さん
はじめに
宇城市三角町は、宇土半島の先端にあり、温州みかんやデコポンなどの柑橘を主体とした果樹産地です。今回ご紹介するのは果樹農家に嫁いで7年目の岡村芙実子さんです。
岡村家は、三角町向山地区で、柑橘、イチジクなどの栽培をしている果樹農家です。
芙実子さんは、非農家出身で農業のことは何もわからず嫁いでこられましたが、現在では「元気で楽しく」をモットーに家族と農村を支えています。
非農家から農業の世界へ
芙実子さんはもともと美容師として働いており、結婚を機に就農しました。
農業は未知の世界でしたが、就農当初は不安より楽しみでいっぱいでした。しかし、しばらく経つと、言われたことすらできない自分を悔しく思う日々が続きました。現在では「言われなくてもできることが増え、より一層農業に携わる楽しさを感じている」と語ります。
また、非農家から嫁いだ女性農家とも知り合い、定期的に情報交換会を行っています。このように地域の方と関わる場があり、地域・農業・人のことを知ることが自身の成長の機会になっていると感じています。
家族からの言葉
「畑に出た人にはかなわんよ」という祖母の言葉が、岡村家みんなの心の中に統一意識として存在しています。実際に畑に出るからこそ分かる作業の大変さもあり、分からないことや納得いかないことはとことん話すため、仕事に関する気持ちの「ずれ」がなく作業も円滑に進むといいます。
また、有能さんの父は、「型にはまれば安泰だが、それ以上の成長はない。若いならなんだってできるし、失敗してもかまわないから型にはまらない農業をしてほしい」と若くして経営移譲されました。その想いを夫の有能さんと常に意識しています。
イチジクの新栽培方法導入
今年からイチジクの加温栽培を始めました。また、1日のハウス内環境変化の流れを数値・グラフ表示でスマートフォンやパソコンで確認ができる「アグリネット」というハウスモニタリングサービスも取り入れています。
イチジクの加温栽培は過去のデータや情報がないため、来年以降は、今年自分たちでこのシステムで測定したデータを解析し、土壌水分量測定や炭酸ガスの導入も計画しています。
同じことを続けるのではなく、先を考え試行錯誤しながら、自分たちに合った栽培方法を確立しています。「イチジク栽培は、繊細な作業が必要だが、コツをつかめば楽しい!」と笑顔で話してくれました。
農業の魅力
「息子、娘が大きくなったらぜひ農業をしてほしい!」というほど農業に魅力を感じておられます。すでに子どもたちは休みの日でも一緒に農作業に行きたいというほどです。農業は一年を通して植物に触れるため、生き物の成長を感じることができ、美容師と違って、毎日新しい発見をすることができます。
また、農作業は子育てや家事の息抜きにもなっており、仕事があるおかげで子育てにも奮闘でき、農業・農家の良さを実感しています。
そして就農から7年を経て、現在では、夫と同じ目線で仕事をできるようになりました。なかなか夫婦そろって同じことをできる仕事はありません。それも農業の大きい魅力の1つであると笑顔で応えられました。
これから
「今後は樹園地のある向山地区を守っていきたい」と語る芙実子さん。向山は自然が美しく、住みやすい場所ですが、高齢化により農家のなかに若い後継者はほとんどいません。周囲の樹園地が荒れていくことを危惧しながら自分たちのこれからの在り方について考えています。「将来的には、使われていない樹園地を活用しながら農地を守りつつ、雇用や法人化を目指していきたい」と目標をもっています。今回、話を伺って、芙実子さんの明るくハツラツと農業に向き合う姿や地域を想う強い気持ちが心に残りました。
(紹介:県央広域本部 宇城地域振興局 農業普及・振興課)