消費者の方に安心して食べてもらえるように、JAあしきたサラたまちゃん部会では除草剤を一切使わず、環境に配慮した栽培を行っています。
育苗床は、全面にビニール被覆を行い、太陽熱消毒を実施しています。また、本圃ではマルチ栽培を行い、植え穴から発生する雑草は人力で、通路や畦畔に発生する雑草は刈り払い機で除草しています。
こだわっとる農
タマネギ、水稲、カボチャ
水俣市 「水俣・芦北の野菜だからこそ!」 安全・安心な「サラたまちゃん」を作る
水俣市 田畑 和雄さん
はじめに
私が住む水俣市は西南暖地に位置し、温暖多雨な気候を活かして2月から出荷を行う、早出しタマネギの産地です。
水俣・芦北地域におけるタマネギ栽培は、昭和36年に水田裏作の麦に代わる安定的な作物として導入されたことが始まりです。
私は、JAの営農指導員をしている頃から30年以上に渡って当地域のタマネギ生産に関わり、「サラたまちゃん」の商標登録や、ブランド化に中心となり携わってきました。
また、平成15年からはJAあしきたサラたまちゃん部会長を務めさせていただいています。
そこで今回は、栽培のこだわりや部会長としての取組みなどについて紹介します。
栽培のこだわり
「水俣・芦北の野菜だからこそ」、安全・安心にこだわり、栽培を行っています。
1.除草剤を一切使わない
2.化学農薬と化学肥料を半減
「サラたまちゃん」栽培では、化学農薬と化学肥料の使用量を熊本県慣行レベルの2分の1以下で栽培しています。平成13年からは部会全員がエコファーマー認定を受け、平成20年には熊本型特別栽培農産物「有作くん」の認証も受けています。
そのため、化学農薬は4月までの出荷分で7成分、それ以降でも8成分までしか使用することができません。そこで、病害を出さないための耕種的防除として額縁明渠の設置やヒマワリ等緑肥作物の作付・すき込み、牛ふん堆肥施用等により土づくりを行い、排水性などの向上に努めています。
3.施肥量の削減
通常のタマネギ栽培では、栽培期間中に2回程度追肥を行いますが、マルチ被覆で栽培する「サラたまちゃん」では、それができません。また、全面施肥では必要のない部分にも施肥を行うことになり、環境への負荷も増えることになります。そこで、「サラたまちゃん」部会と(株)クボタが共同で開発した畝内施肥マルチャーを活用し、施肥・畝立て・マルチ被覆を同時に行っています。
畝内施肥により、従来に比べて施肥量が3割削減となり、畝間の除草作業も省力化できています。
部会長としての取組み
サラたまちゃん部会長として、ブランド力向上のために毎年様々な活動を行っています。今回は販路拡大のための試食宣伝会と、知名度向上のために3月に開催しているサラたまちゃん祭りについて紹介します。
1.取引市場での試食宣伝会
関東の取引市場において、4月第1週目に開催している試食宣伝会は、毎年欠かすことのできない活動の1つとなっています。試食会ではスライスしただけのシンプルなサラダと、温かい味噌汁を提供しています。「サラたまちゃん」は辛みが少なく、水にさらさなくても美味しく食べることが出来るため、「やっぱりサラたまちゃんは別格のおいしさだね」等の多くの言葉が聞くことができ、「サラたまちゃん」を関係者に広くPRできていると感じています。
2.サラたまちゃん祭りの開催
毎年3月の最終土・日曜には、部会を挙げてサラたまちゃん祭りを開催しています。目玉企画のサラたまちゃん詰め放題では、毎年30t以上のサラたまちゃんが販売され、長蛇の列ができるほどの人気です。
サラたまちゃん祭りの開催までには、関係機関との綿密な打合せが必要で、時間も手間もかかりますが、「サラたまちゃん祭りに来ると春が来たと感じる」との言葉も聞かれるほど地域に根付いたイベントになっています。また、県内だけでなく他県から来場される方も年々増えてきており、「サラたまちゃん」の知名度が向上していることを実感しています
今後の展望
「サラたまちゃん」は全ての生産者が厳しい基準を守り、同じ資材と同じ手順で栽培し、優れた味と安全・安心を保証したからこそ、今では全国で人気のタマネギになっていると思っています。
しかし、高齢化に併せ、多くの作業を人手で行っていることから労働力不足も問題となってきています。そこで、定植や収穫作業の省力機械導入についても検討しているところです。
今後も関係機関と協力し、「サラたまちゃん」をより発展・拡大していけるように頑張っていきます。
プロフィール
田畑 和雄さん
●経営概要
タマネギ:12ha
水稲 :15ha
カボチャ:2ha
●MOAファーム概要
社員数 : 6名