こだわっとる農

米、小麦、裸麦、雑穀、大豆、農産加工

菊池市 土を育て、未来へ繋ぐ ろのわの有機農業

株式会社ろのわ 代表取締役 東 博己 さん

はじめに

株式会社ろのわは、熊本県菊池市旭志に位置し、米・麦・雑穀・豆類等の土地利用型作物の栽培・加工・販売までを一貫して行う農業法人です。法人設立は2006年ですが、法人の前身である東農場時代の1991年から無農薬・無化学肥料栽培を開始しており、2009年に農作物の生産工程管理 2010年には加工品の生産工程管理で有機JAS認証を取得しています。
また、社名はハワイ語で収穫の神を意味する「Lono」と「和・輪・環」を示す「わ」を組み合わせたもので、“実りの多い仕事をしていきたい”、“人の輪を大切にする社会でありたい”との想いが込められています。

有機農業へ転換したきっかけ

ろのわの前身である東農場では農薬や化学肥料を使用した慣行農業を行っていましたが、先代に孫が生まれたことが“人と環境を守る”農業について考えるきっかけとなり、無農薬・無化学肥料栽培へ転換することとなりました。
当時、無農薬栽培はまだ一般的ではなく、周囲からは無謀な挑戦だと止められましたが、畜産地帯ならではの牛ふんや豚ぷん堆肥を活用した土づくりや水生生物を活用した雑草対策等にこだわり、試行錯誤を重ね、有機農業としての栽培方法を確立させました。

田植の様子  
稲刈りの様子

収益確保のための6次産業化

有機農業では、慣行栽培に比べ、活用する堆肥の肥効が緩やかであるため初期生育を確保することが難しく、また、気象条件によっては病害虫や雑草の影響を回避できないこともあることから、収量や品質の低下は避けられません。
そこで、収益低下のリスクをカバーするため、栽培から加工、販売までを一貫して行う体系をつくりあげました。自社加工により、規格外品や米ぬか、ふすまなどの通常廃棄される部分も利用することができ、材料の無駄を省くとともに有機農産物としての付加価値を活かすことで収益確保に繋げています。

雑穀
栽培の様子(左上:あわ、右上:ひえ、左下:きび、右下:赤米)

ろのわのこだわり

その1 BLOF理論を取り入れた土づくり
有機農業に適した土づくりを進めるにあたって、土壌の栄養設計と微生物の働きを重視した科学的アプローチにより有機栽培の再現性を高めることを目指す“BLOF理論”について学びました。
法人が所有する堆肥舎では、近隣の畜産農家から受け取った牛ふんや豚ぷんに米ぬか等を混合し、半年かけて何度も切り返しながら完熟させています。この特製完熟堆肥は、作物の成長に必要な栄養源となるだけでなく、長年にわたり継続して施用することで土壌中の微生物を活性化し、団粒構造を強化して、排水性と保水性を両立させる土づくりに貢献します。さらに、無農薬栽培を30年以上継続していることから微生物相が安定し、作物の生育に適した環境が維持されています。

その2 実需者や消費者とのつながり
本法人と取引のある実需者やパン職人、消費者の皆さんには毎年来ていただき、圃場や加工場でのこだわりを見て体験してもらうようにしています。生産現場では土づくりや作物の栽培方法、農業体験を、また、多数の品目・品種を扱う加工場では機械の洗浄を含む工程管理を確認していただき、安心・安全な商品づくりに努めていることを理解してもらうことで、信頼関係を繋いでいます。

その3 水生生物による水田除草
長く農薬を使用していないことから、田んぼの中にはホウネンエビ、カブトエビ、ジャンボタニシなどの水生生物が沢山生息しており働いてくれています。これらの水生生物が田んぼの中で動き回ることで水が濁り、雑草の生育が抑制されます。また、ジャンボタニシは雑草を摂食するため、除草作業の負担を軽減してくれています。

自家製堆肥散布の様子
実需者・消費者との交流会の様子

地域への貢献

その1 地域の農地維持
旭志地区では高齢化と後継者不足が進む中、毎年約2haの農地を引き継ぎ、耕作面積を着実に拡大しています。農地の集約が進むことで作業効率が向上し、有機農業の取り組みを広げる基盤づくりにも繋がっています。

その2 有機農業の拡大と技術普及
農地の集約とともに、旭志地区における有機農業の面積は拡大しています。また、NPO法人熊本県有機農業研究会養成塾の研修生を受け入れるとともに、先代が有機農業を始めるきっかけとなった孫の将平氏は、BLOF理論に基づく土づくりに関する講演を通じて地域へ技術を伝え、その普及に貢献しています。

有機ほ場の団地化の様子 
現地講習会で説明する将平氏

最後に

菊池市は令和7年2月にオーガニックビレッジ宣言を行い、有機農業への転換を推進しています。その中で、()ろのわはこれまで有機農業で培った技術や経験を地域へ広く共有されています。また、生産から加工・販売までを一貫して担う体制は、これからの農業経営の重要なモデルとなるものです。有機農業の実践者として、今後も地域へ貢献されることが期待されます。

(紹介:県北広域本部 農業普及・振興課)

株式会社ろのわ 代表取締役 東 博己 さん

 

◯経営概要(令和7年度)
18ha、小麦12ha、裸麦1.2ha、雑穀9.3ha、大豆16ha、農産加工

◯構 成 員
家族5名、常時雇用3名、臨時雇用2名

◯関連サイト
https://www.organic-lonowa.co.jp/

https://www.facebook.com/Lomowa.corporation/?locale=ja_JP

https://www.instagram.com/organic.lonowa/

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