大学で有機農業について学び、在学中の農業体験が楽しかったことや有機農業を実践する農家との交流を通して、自らも有機農業を実践する農家になりたいと思うようになりました。
卒業後、農業アルバイターとして全国の野菜及び果樹農家の下で1年間経験を積んだ後、鹿児島県の農業法人に就職しました。
その後、地元に戻り就農を考える際には、農業法人で経験したソラマメ等の露地野菜を栽培したいと考え、地元で栽培が盛んな「サラたまちゃん」にも興味を持ちました。そこで、JAあしきたに就農の意向を伝え、研修生となりました。濱納さんは、「研修は大変なことが多かったが、地元農家との交流により、農業技術だけでなく地元のことをより深く知ることができたことや様々な人脈を得られたことは現在も糧になっている」と振り返ります。
キラッと輝く女性たち
タマネギ、ソラマメ、他4品目
水俣市 抜群の行動力で地域社会の一員に
濱納 亜里沙さん
プロフィール
◯家族構成 夫
◯経営規模 タマネギ 37a、ソラマメ 12a、他4品目 90a
はじめに
今回紹介するのは、水俣市でタマネギ等の露地野菜の生産やドローン防除のオペレーターを担う濱納亜里沙さんです。濱納さんは、平成31年にJAあしきたで研修を受け、令和2年に就農しました。
就農のきっかけ
農地取得
濱納さんは就農時に利用できる農地がなかったことから、就農準備期間中には、農地の取得が課題でした。そのため、自ら土地を探し、耕作放棄地でも土地所有者と交渉し、農地の取得に努めました。耕作放棄地では、これまでの経験を生かし、重機を自ら用いて荒れた土地を整備していきました。このようなことからJAあしきたや地元農家は「濱納さんは行動力があり、一味違う」と話します。
就農後も研修時にお世話になった農家から農地を紹介してもらう機会も多く、人とのつながりで経営規模が徐々に拡大していきました。
栽培のこだわり
水俣市で成長するうちに、環境保全に対して強い興味を持つようになりました。大学でも有機農業について学び、有機農業を実践する農家のこだわりを見聞きしたことで、自分でもこういうものを作りたいと思うようになりました。
現在は、地域の「サラたまちゃん」の栽培基準に則り、環境保全型農業を実践していますが、他の品目含め、ゆくゆくは有機農業を実践していきたいと考えられています。
地域とのかかわり
借り受けた農地がある地区では、水稲の防除用ドローンの導入が進められました。その際に、オペレーターになってほしいとの依頼があり、地域のためにと積極的に研修を受け、オペレーターとなりました。令和3年度は、延べ15haの防除を行いました。
また、近年増加している鳥獣害への備えとして、猟友会の方たちと一緒に行動することで獣害対策を学び、狩猟免許(罠)を取得するなど、行動の幅を広げています。
さらに、地域で行われるバザーや収穫体験等の様々なイベントにも積極的に参加することで人脈が膨らみ、新たな行動を始めるきっかけになるなど、地域及び人とのつながりを大事にされています。
今後の目標
就農してから、露地野菜を中心に色々な品目に挑戦し、面積も拡大しています。自身の経営を開始して2作目となり、徐々に品目や面積など経営の形がイメージ出来るようになりました。
そのため、当初から考えている有機農業を実践するため、さらに技術を磨き、安定生産かつ消費者に選ばれる物づくりを目指したいと意気込んでいます。
また、農作業は1人で行っており、年間スケジュールがうまく組み立てられず、なかなか休みが取れていません。今後はスケジュール管理を計画的にし、農作業だけでなく、休みを作り、趣味である旅行にも費やせる時間を確保していきたいと考えられています。
おわりに
濱納さんの畑では作業中に近所の方が寄ってこられ、話をしたり、作業を手伝ったりと信頼されている様子が見て取れます。これからも、その人柄と行動力で地域に頼られ、引っ張っていく存在となっていくことを期待しています。