トマト栽培は土づくりからと言うことで、堆肥と肥料、栽培基準にこだわっています。
堆肥は全てこだわりを持って自家製の堆肥を製造し、原料には町の除草作業で出る草や落ち葉を引き受け、それを堆肥化して使用しています。100%植物性堆肥で腐食酸を多く含んでいるため、団粒化の促進や微生物の活動を活発にし、土づくりを実現しています。
また、肥料は化学肥料を使わず、元肥と追肥にはこだわりの有機肥料を使用しています。
さらに、栽培基準は特別栽培農産物で主な出荷先である生協の基準で栽培しています。農薬も制限されているため、農薬にカウントしない生物農薬や有機JASで使用可能な自然物由来農薬を積極的に使用しています。
こだわっとる農
ミニトマト、大玉トマト、水稲
玉名郡南関町 産地リレーでミニトマトの周年栽培を目指して
玉名郡南関町 菅原 一真さん
ミニトマトへ転換
私は、農家の長男ということもあり、迷いなく農業の道に入りました。熊本農業高校卒業後、農業者大学校で勉強をし、平成17年に就農しました。
就農した当時は、大玉トマト、中玉トマトが主でしたが、時代の流れから消費者のニーズに合わせたミニトマトとカラフルトマトの栽培にシフトチェンジをし、中古ハウスで初期投資を抑え、規模拡大してきました。
現在、玉名郡南関町でミニトマト120a、大玉トマト10a、水稲210a、阿蘇郡産山村でミニトマト60aを栽培しています。
産地リレーで周年栽培
4年前に高冷地でトマト栽培の話があり家族内で検討した結果、「よし、挑戦してみよう」という結果となり栽培を開始しました。自分が南関農場、父親が産山農場と担当を決めて役割分担を明確にし、お互い目標を持ち、家族内で競い合いながら栽培に励んでいます。
南関町では、収穫が11月から6月下旬まで、産山村では、収穫が6月から11月上旬までの収穫時期で1年間通して周年出荷を可能にしました。
土づくりと特別栽培農産物
接木養生室による苗生産
苗作りから自分で接木を行ってます。父親の代から接木は行ってきましたが、当初は呼び接ぎと言う方法で作業をしていました。この方法だと台木と穂木を一緒に鉢上げする作業や台木と穂木を一本にする切り返しの作業に時間がかかり、苦労してきました。
そこで、どうにかしてチューブで接木が出来ないかと考えた結果、よく育苗会社で見る接木養生室を2年前に導入しました。台木と穂木をカミソリで切り、チューブでくっつけます。その後、接木養生室で温度と湿度、光を管理して7日後には鉢上げできるプラグ苗の完成です。当初は、温度、湿度の管理に苦労しましたが、今は、ロスも少なく生産できるようになり、南関町と産山村の両方を合わせると年間4万本の苗を生産しています。
多品種生産と契約販売
販売は数社と契約栽培をしています。ミニトマトの品種は丸赤が2品種、プラム型が赤、黄色、オレンジ、紫、緑と多品種を栽培してカラフルトマトに力を入れています。毎年、品種を試験的に栽培しながら我が家に合った品種の選定をしています。
高冷地で栽培することで、年間通して出荷可能とし、同じ生産者のトマトで売り場を1年通して埋められることもあり、取引の商談の強みとなり契約が取れやすくなりました。
無選別出荷による省力化
パック詰め出荷の場合は、選果機を使用せず、重さで範囲を決めて無選別でコンテナ出荷しています。このことで、選別作業に要する時間の短縮ができ、夜遅くまでの出荷作業がなくなりました。
また、昨年ホームページを作成し、消費者の方や取引先に情報提供できるようになり、取引商談の時などでの信頼度も高くなりました。
子供達に農業の楽しさを
現在、住んでいる南関町は農業後継者不足と深刻な課題があります。未来の農業、農村風景を残すために子供達に農業の楽しさ、重要さを教えていくのも農家の義務だと思います。
今後も研修生等を積極的に受け入れ、農業の楽しさ、重要さ、時には厳しさを教えられたらと思います。
今、産山村のハウス面積は60aですが、現在30aのハウスを建設中です。このことにより今季の作付面積は90aになります。今後、高冷地の方を規模拡大していき、「意思は固く、頭は柔らかく」をモットーに魅力ある農業経営を目指して行きたいと思います。
プロフィール
菅原一真さん・梨沙さん
●経営概要
ミニトマト・大玉トマト190a、水稲210a
●主な労働力
本人、妻、父母、
従業員7名