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Vitamin Table 〜第4回 アスパラガスのはなし〜

ジメジメと不快指数高い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は、疲労感を取り除き、スタミナつけてくれる旬の恵み、「アスパラガス」についてお伝えしたいと思います。

アスパラガスの起源

ギリシャ語の「aspar agos たくさん分かれる」にあるとか…。ひとつの株から次々に新芽が生えてくる様をズバリ表現したネーミングですね。秋から冬にかけてじっくり養分を蓄えられ、春には1日に5~6cmのスピードで新芽が生え、伸びていくといいます。

原産地と歴史

原産地は地中海沿岸、ヨーロッパでは春の訪れを告げる代表的な野菜ですが、その歴史はとても古く、古代エジプト王朝時代に、上流階級の人々が食べていた様子が残されているほどです。
日本には、江戸時代にオランダから観賞用として伝来、明治初期の北海道開拓に伴って食用の種が導入され、本格的な栽培の始まりは1923年以降のことです。

旬が2回ある!?

食用にするのは、30cm程の伸びた新芽のみ、「春芽」、「夏芽」と呼ばれ、なかでも「春芽」は特に柔らかくて甘みが増すといわれています。

どこが産地なの?

長野県や北海道など冷涼な気候を好みます。
熊本では、阿蘇が県内生産量の約30%を占める一大産地ですが、鹿本、玉名、宇城など平野部でも生産は盛んに行われています。
冷涼な気候を好む野菜でも温度管理次第ででは平野で栽培できるの?と思い、冷涼な阿蘇と平野部、野菜ソムリエ仲間の2か所の畑にお邪魔してきました。
まず伺ったのは、雄大な阿蘇の山々に囲まれた南阿蘇村の藤原孝誠さん・美里さんの畑。
1月の終わりに伺った際に根っこだった畑は青々とみずみずしい畑に変わっていました。
平成15年に栽培を始め、徐々に棟を増やしてきた藤原さん、現在は2か所10棟のハウスで主に「スーパーウエルカム」を栽培、出荷されています。

南阿蘇村 藤原孝誠さん・美里さん

温度管理を徹底し、品質保持を

1月末に根元まで刈り込んでバーナーで焼いて消毒し、3月に土に水を与え、地温を15度に上げるのにハウスを閉め切って50度まで上げる「蒸し込み」をすると地下茎が動き出し、芽を出す準備を始めます。3月中旬から出荷が始まり、6月まで「春芽」の収穫が続きます。立茎の時期を経て、7月から「夏芽」の収穫が始まるのだそうです。この夏芽の収穫は11月ごろまで続きます。竹崎水源の清らかな水をふんだんに利用した豊かなところですが、高温多湿になりすぎると病気がでたり、新芽に虫がつくと商品価値が下がるので細心の注意を払われるとご苦労の一端も。

アスパラにかける思い

阿蘇の「春芽」は平地で栽培されたものが少なくなる頃に出荷を始めるので、高単価が期待できる…春芽のピーク時には1日に170kg収穫する日もあると…。収穫したらすぐJA選果場に、その日のうちに出荷。しかし、今季はその一番のピーク時に地震が襲い、出荷はストップ、100kg近く炊き出しに提供されたものの廃棄されたものも少なくはなかったと。でも「自然相手だけんしかたない!」「これからも美味しいアスパラガスを作り続ける」とおっしゃる表情には、温和な中にも確固たる信念を感じました。

柑橘とアスパラガス

次にお邪魔したのは、雲仙を望む天水町の井上さんの「ヨーデル」の畑。
柑橘農家の3代目の井上さんがアスパラガス栽培を導入されたきっかけは、温州ミカンの市場価格にあったとか…。
何か蔬菜を始めたいと思ったときに、いろいろ調べてみたら柑橘類の栽培管理とほぼ重ならないのが、この「アスパラガス」だったと話してくださいました。
ハウスも、ミカンのものを再利用されています。
井上さんの一年は、柑橘類の収穫出荷を終えた、3月頃からアスパラガスの収穫出荷に、その間柑橘類の栽培管理をしながらアスパラガス中心に作業され、柑橘類の収穫出荷が始まる9月頃にはアスパラガスの夏芽の収穫を終了、畑に養分を蓄える…サイクルだとか。藤原さんの畑と同様、立茎の時期。この立茎とは夏芽や翌年の春芽の収量の土台となる重要な作業。茎を伸ばして茎葉を繁茂させ、光合成を積極的に行うことによって、株に養分を十分蓄える作業なのだそうです。次に実っていくアスパラガスの甘さのヒミツに繋がるのですね。

天水町 井上さん

アスパラガスの新鮮な美味しさを届けたい

取れたてのものをその日のうちに出荷、終えるとご自身で玉名近郊のレストランに配達し、シェフの手によって変身した味を楽しんでいただくという取り組みもなさっています。作物本来が持つ「本物の味」を新鮮な状態でお客様の手元に届ける義務がある!と。そして人と人の「笑顔の連鎖」を繋げたいとおっっしゃいます。
お二人に共通していたのは、こだわりの土づくりと水、美味しいアスパラガスをお届けたいという信念と、作物にかける愛情の深さでした。
穂先に多いルチンは毛細血管を丈夫にし、名前の由来でもあるアスパラギン酸というアミノ酸は不眠・イライラ解消、疲労回復に効果抜群です。
是非、甘い香りとホクホクした食感を夏芽で味わってみませんか。

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持田 成子Shigeko Mochida

野菜ソムリエ上級プロ
女子栄養大学生涯学習講師

女子栄養大学在学中に「野菜のビタミン分析」に携わったことがきっかけで野菜ソムリエ資格を取得。「旬の野菜果物びチカラはココロとカラダを元気にする」をテーマに食育やセミナー、レシピ開発など食の周りで活動中。

日本野菜ソムリエとは

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。野菜・果物の知識を活かし自らの生活に活かす「野菜ソムリエ」、野菜・果物の専門家「野菜ソムリエプロ」、専門家の最上位資格「野菜ソムリエ上級プロ」と、3段階の資格がある。

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