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Vitamin Table 〜第47回 ブロッコリーのおはなし〜

底冷えする日が続きますが、寒さの中でも太陽の光は少しずつ強くなり、木々の枝に新芽がつき始めています。今月は食卓でおなじみになった緑黄色野菜の代表格、冬が旬のブロッコリーについて紐解きます。

キャベツの仲間?!

ブロッコリーは、原産地を地中海東部とするケールが起源の野菜。キャベツもケールを起源とする野菜…、つまり、ブロッコリーはアブラナ科キャベツの仲間ということです。ケールの葉が結球したものがキャベツ、根が発達して食用になったものがコールラビ、花の部分が食用になったものがブロッコリーとカリフラワーという分化を辿ったといわれています。
現在の形のブロッコリーがいつ頃から食べられていたかは定かではないようですが、地中海沿岸では古くからケール起源の野菜を食べていたようです。その中でブロッコリーは、キプロス、クレタ島あたりからイタリア半島に伝播し、栽培が盛んになったのは、15~16世紀頃。イタリアからヨーロッパに普及したのは、17世紀頃といわれています。

日本に来たのは…

日本には明治時代初めにカリフラワーと共に西洋野菜として導入されたものの、一般には普及せずじまいでした。第二次世界大戦後に、食の洋風化とともに栽培が本格的に開始。最初はカリフラワーのほうが人気で生産量・消費量ともに多かったのですが、国民の栄養意識が高まった時期=1082年の日本食品栄養成分表が改訂(四訂)され、緑黄色野菜であるブロッコリーの栄養価が評価されるとその消費量が一気に伸びた歴史がある、比較的新しい野菜です。西洋化した食卓に、甘みがあって食べやすい、サラダにもシチューにもお弁当の彩にも使える万能野菜、さらにはアブラナ科の野菜のがん予防効果が期待され、一躍注目野菜にもなってきています。

国内の主な産地は

冷涼な気候を好み、北海道、愛知、埼玉が主な産地。旬は冬から初春ですが、現在は冬と夏の産地を分けて栽培されるので、春播き夏採りは北海道、長野、夏播き冬採りは埼玉、愛知等と、各地でつくられ年中出回り、夏場には輸入ものもあります。

食べているのはつぼみ?!

ブロッコリーの頭頂部、頭の粒々は、ひとつひとつが花のつぼみで、「花蕾(からい)」と呼びます。
花蕾と花茎では火の通り方が異なるので調理するときは気をつけて!また、食べるときにはその食感の違いを楽しんでみてください。

栄養価は2月が高い!

ブロッコリーの旬は冬!と冒頭に書きました。母校女子栄養大学の生物有機化学研究室では、在学中に携わった1985年夏の「ほうれんそうのビタミン分析」をきっかけに20年にわたり多くの品目を年間通して分析続けた結果、「野菜の栄養価は季節変動する」という恩師の論文になりました。その研究で測定したビタミン類は、体内でビタミンAに変わるβカロテン、ビタミンB群のひとつナイアシン、ビタミンCの3種類。ミネラルはカルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウムの5種類と水です。ビタミン類のうち特に季節変動が大きかったのはカロテンとビタミンCでした。表1でわかるように、カロテンは最大月の3月は最小月の8月の約4倍、ビタミンCでも最大月の2月と最小月の8月では約2倍もひらきがある事がわかります。つまり旬といわれる時季にはすなわち栄養価も高いということなのです。
カロテン、ビタミンCはレモン果汁の2.4倍も!に加え、機能性成分イソチオシアネートが豊富でがん予防効果が期待され、ビタミンB群、食物繊維も豊富で疲労回復効果や便秘予防にもチカラを発揮してくれます。

出典:「野菜のビタミンとミネラルの季節変動」辻村 卓

熊本県の指定産地八代へ…

熊本県でもJAやつしろでも八代地域の重点野菜のひとつとして位置づけられているブロッコリー。2017年の熊本県生産量は4080t、全国11位でしたが、八代地域はその95%を担い、年々増加する栽培面積も432ha と県内最大の産地で、鮮度保持を重視した「氷詰め出荷」を実施されています。
トマトの大型ハウスが立ち並ぶ郡築地区で、露地野菜を栽培なさっている野菜ソムリエ仲間の喜多川容紫子さんをお訪ねしました。

出展元)野菜:園芸工芸農作物統計他
*平成27年度調査は熊本地震のため実施せず

喜多川さんはご主人の勲さんと、主に白菜、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリーのそれぞれ品種をリレーして栽培されています。8月の播種、9月の定植と順に時期をずらして作業し3月頃までそれぞれを収穫していかれるのだそう。干拓地のミネラルをたっぷり含んだ土壌で育つアブラナ科の野菜たちはとても甘くて、お取引先にも大好評と伺いました。
野菜ソムリエの資格取得をはじめ、農業女性アドバイザー、農業経営塾等、忙しい栽培の合間を縫って精力的に学び、人脈の輪も広げてイキイキされている笑顔の素は、優しそうなご主人様と美味しい野菜が原動力なのかと感じました。今シーズンは、カラフルなカリフラワー栽培も試されていて、夢も伺い、彩り豊かにパワーアップされていく喜多川ご夫妻の野菜畑のこれからがますます楽しみにしながら、ほ場をあとにしました。

喜多川 勲さん・容紫子さんご夫妻

冷凍ブロッコリーやスプラウトも人気もの!

野菜の高騰やライフスタイルの多様化等で必要な時に必要な分だけ使える冷凍野菜が近年支持されていますが、母校での卒業研究テーマは冷凍野菜でしたので考察したことのひとつに、『旬の時期に適切に冷凍処理された野菜は旬でない時期の生の野菜より栄養価も高いという利点』もありました。コンビニ大手のローソンでは、2018年度1月期の冷凍野菜ランキングでブロッコリーが1位だったり、イオンでは米粒の大きさに刻んだお米のようなPB冷凍野菜シリーズでブロッコリーが人気のようです。抗酸化作用が高いスルフォラファンを、ブロッコリーの何倍も含む「ブロッコリースプラウト」や調理の時短にもなる冷凍ブロッコリーも上手に利用すると、食卓がカンタンにより充実したものになると思います。

春とは名のみの寒さが続き、インフルエンザや風邪もまだまだ猛威をふるう季節です。栄養満点のブロッコリーをたくさん食べて寒い冬を元気に乗り切りませんか。

ぱぱっと簡単レシピ

ブロッコリーのしょうゆバターソース

<材料2~3人分>
ブロッコリー  1
カリフラワー  1/2

ソース
バター 30g
しょうゆ 大さじ1.5
砂糖   大さじ1

<作り方>
⑴ブロッコリーとカリフラワーは茎を長めにして小房にカットする。塩少々(分量外)を入れて茹でる。
⑵小鍋にしょうゆと砂糖をいれてひと煮立ちしたらバターを入れて混ぜる。
⑶盛り合わせて、⑵のソースを添えて、つけながら食べる。(ボウルで和えてもよい)

ブロッコリーのタルタルサラダ

<材料2人分>
ブロッコリー 1/2
ブロッコリースプラウト 1/2パック
卵 1
玉ねぎみじん切り 大さじ1
マヨネーズ 大さじ1
粒マスタード 小さじ1
オリーブオイル 大さじ1
塩 少々

<作り方>
⑴茹で卵を作る。殻をむいて細かく刻んでボウルに入れる。
⑵ブロッコリーを小いさめに切り分ける(小房を半割くらいに)。茎の部分も皮をむいて薄切りにする。フライパンにオリーブオイル大さじ1/2 を入れて、中火で焼き色が程よくつくくらいにじっくり焼く。途中でオリーブオイル大さじ1/2ふりいれ、塩少々もふる。
⑶玉ねぎのみじん切りは水でさらして水気をよく絞っておき、⑴のボウルに入れる。マヨネーズ、粒マスタードを加えてよく混ぜる。⑵を器に盛り、タルタルソースをかけて、ブロッコリースプラウトをのせる。

免疫力アップに!ブロッコリー+キウイ+ヨーグルトのスムージー

<材料200ml>
ブロッコリー 2
キウイ 1
はちみつ 小さじ1
ヨーグルト 1/2カップ

 

<作り方>
⑴キウイはヘタをのぞいて皮をむき、一口大に切る。
⑵ミキサーにブロッコリー、キウイをいれ、はちみつとヨーグルトを加えてふたをし、なめらかになるまで攪拌する。

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持田 成子Shigeko Mochida

野菜ソムリエ上級プロ
女子栄養大学生涯学習講師

女子栄養大学在学中に「野菜のビタミン分析」に携わったことがきっかけで野菜ソムリエ資格を取得。「旬の野菜果物のチカラはココロとカラダを元気にする」をテーマに食育やセミナー、レシピ開発など食の周りで活動中。

野菜ソムリエとは

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。野菜・果物の知識を活かし自らの生活に活かす「野菜ソムリエ」、野菜・果物の専門家「野菜ソムリエプロ」、専門家の最上位資格「野菜ソムリエ上級プロ」と、3段階の資格がある。

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