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Vitamin Table 〜第8回 れんこんのおはなし〜

豊穣の秋…食欲の秋…いかがお過ごしでしょうか。今回は、寒さに向かう季節に積極的に摂りたい野菜のひとつ「れんこん」のおはなしです。

先が見通せる、滋養もある、殿様を救った、熊本にはなくてはならない野菜…

穴のあいた容姿から「先が見通せる」縁起物として祝い事には欠かせない野菜であり、特産を生かした郷土料理「からし蓮根」としても全国に知られています。
400年近く前に考案された「からし蓮根」は、細川忠興公の三男で2代目藩主となった細川忠利公の滋養強壮のために考案された料理。れんこんが高い栄養価であること、熊本城外堀に非常食として栽培されていたこと、断面が細川家の家紋、九曜紋に似ているから門外不出だった等…エピソードも広く知られています。

全国有数のれんこん産地

全国6位(2014年)の生産高を誇るれんこん産地ですが、なかでも宇城地方の栽培面積はその28パーセントを占める主産地として栽培が盛んで、広大なれんこん畑が広がっています。

熊本でのれんこん栽培のルーツは?

宇城市松橋東松崎地区は天保年間の細川藩の新田開発によってできた干拓地。海抜ゼロメートル地帯で、稲作中心の農業盛んな土地ですが、この干拓地に入植された作本さんが明治42年(1909年)にれんこんを導入されたのがその始まりとか…。昭和46年(1971年)の減反政策でれんこんを作付けする生産者が増えていったそうです。水持ちがよく、海に近いことから土壌のミネラル成分がたっぷり。土中でその栄養分を蓄えて育つれんこんにはぴったりの土地なのでしょう。

土中で育つれんこん、食べているところは根?

(はす)の地下茎がれんこん、実や根ではなく地下に伸びた茎です。特徴的な穴は、平均して10個、発芽に必要な空気をたっぷり保つためにあるのだとか…。次の世代に命を繋いでいくため、栄養たっぷりの土に守られて静かに、じっくり育つのだそうです。

松橋町のれんこん農家、スーパーウーマンの畑に潜入…

幅広くご活躍中の川島ひとみさんの畑にお邪魔しました。
春に植えつけ、8月下旬から始まる掘り取りと出荷には家族一丸となって取り組まれています。昔は鍬と手で掘っていた作業も、今は機械化されていて高圧の水流を利用しながら掘り取りが行われます。それでも胸までの長靴をつけ、中腰で水に浸かって行う作業スタイルは変わらずの重労働。今では後継者である二人の息子さんが加わり、主に掘り取り作業を担当されています。生産者さんの日々の努力で美味しいれんこんを味わうことができるのです。
生産者として活躍される一方、「自分たちで作った野菜の美味しさや調理法を生産者の立場で伝えたい」と、jr野菜ソムリエの資格を取得、その活躍の場は地元に留まることなく、全国各地に出向かれています。

れんこんの栄養パワー

〇ビタミンCが豊富でビタミンB1も含まれるので口内炎や肌荒れを防ぎ、疲労回復に働きます。また、れんこんのビタミンCは主成分のでんぷん質に守られているため、熱に強く壊れにくいのです。

〇カリウム、カルシウム、鉄などのミネラルも豊富で、貧血予防や肝機能の働きを助けます。

〇れんこん独特の粘り成分ムチンは、胃の粘膜を保護し、消化を促す。

〇アクの成分タンニンには、消炎や収れん作用がある。絞り汁を飲むと咳を鎮め、喉の痛みを和らげる。

 

加熱による食感の変化も楽しい…

さっと加熱するとシャキシャキ、さらに過熱するとホクホクに。また、すりおろして加熱すると、もっちりに。

選び方

表面に傷や黒ずみがなく、太くてまっすぐなものが良品。

寒さに向かう季節、是非いろいろな調理法でれんこんパワーをいただき、風邪を予防して元気に過ごしましょう。

ぱぱっと簡単レシピ

れんこんのポタージュスープ

<材料2人分>
れんこん 150g
牛乳 150ml
水 200ml
かつお節 1p(5g)
しょうがすりおろし 小さじ2
塩 小さじ1/3
オリーブオイル 少々

<作り方>
⑴鍋に水を入れて沸騰したらかつお節を入れて弱火で3~4分煮だして濾す。
⑵れんこんは皮をむき飾り用に2枚薄切りにしたあと、すりおろす。
⑶飾り用のれんこんは、うすくオリーブオイルを塗って、フライパンやトースターで焼いておく。
⑷⑴のだし汁を鍋に入れ⑵のれんこんを弱火で34分煮た後牛乳を加えて弱火で温め生姜を加えて塩で味を整え器に盛り、⑶のれんこんを飾る。

 

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持田 成子Shigeko Mochida

野菜ソムリエ上級プロ
女子栄養大学生涯学習講師

女子栄養大学在学中に「野菜のビタミン分析」に携わったことがきっかけで野菜ソムリエ資格を取得。「旬の野菜果物のチカラはココロとカラダを元気にする」をテーマに食育やセミナー、レシピ開発など食の周りで活動中。

野菜ソムリエとは

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。野菜・果物の知識を活かし自らの生活に活かす「野菜ソムリエ」、野菜・果物の専門家「野菜ソムリエプロ」、専門家の最上位資格「野菜ソムリエ上級プロ」と、3段階の資格がある。

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