「ゆうべに」収量安定のための 摘花(果)のポイントについて
1 はじめに
県育成イチゴ品種「ゆうべに」は、平成27年から導入され、現在県内のイチゴ栽培面積の約50%を占める主要品種です。品種特性として早生で連続出蕾(しゅつらい)性が高いことから、年内の収量は特に多く、収量性に優れています。しかし、連続出蕾性が高く着花数が多いため、摘花(果)が不十分で過剰な着果となった場合には、株の成り疲れが生じてしまい、年間の総収量が十分に確保できません。そこで、今回は株の草勢を維持し安定した収量を確保できるような「ゆうべに」の年内と年明け以降の摘花(果)のポイントについてご紹介します。
2 年内の摘花(果)のポイント
(1)摘花(果)について
頂花房(1番目の花房)から第2花房(2番目の花房)間の葉数(以下、花房間葉数)や株の草勢に応じて頂花房の摘花(果)を行うことで、株の成り疲れ軽減や果実品質の維持につながり、総収量が向上します(図1)。そのため、表1の頂花房の着果目安を参考に頂花房の摘花(果)を行います。
頂花房から第2花房の花房間葉数が2~3枚と少ない場合は、着果負担が重複しないよう、第2花房の開花と同時期に開花している頂果房の花(被り花)を摘花(果)します(図2)。
(2)摘花房について
気象条件や窒素条件等により頂花房と第2花房が過度に連続してしまう場合(ダブル花房、1.5番花※2)があります。ダブル花房は、最初に出てきた花房のみを残し、次の花房は除去します。また、1.5番花は、後続の第2花房の出蕾を確認した後に1.5番花の花房ごと除去します(図3)。ダブル花房、1.5番花を摘花房することで、ガクの萎れや株の成り疲れが軽減でき、安定した出荷につながるため速やかに行います。
※2 1.5番花とは、頂花房出蕾後、2芽に分かれた芽のうち片方が1~2枚で出蕾し、芯止まりになたもの(もう片方の芽は通常通り葉が展開する。)
3 年明け以降の適花(果)のポイント
年明け以降も、株の成り疲れ軽減や果実品質の維持を目的に摘花(果)を行います。
第2花房(2番目の花房)および第3花房(3番目の花房)の摘花(果)は、頂花房同様に株の草勢や花房の強さに応じて行い、特に草勢が弱い場合は、強めの摘花で株の回復を図ります。目安として、株あたりの花数が10~12花程度になるように摘花(果)します。
第4花房(4番目の花房)以降は、小玉果が発生しないように株あたりの花数が8~10花程度になるよう摘花(果)します。
4 最後に
近年、重油代や生産資材コストの高騰等により農業経営費が増加する中で、安定した経営を行うため高収量を確保することが大切です。そのため、株の成り疲れ軽減や果実品質を維持することが重要であるため、こまめな摘花(果)と併せ適正な栽培管理を行いましょう。
なお、八代地域では、摘花(果)や摘花房のポイントについての現地検討会の開催や、1.5番花の発生低減に関する展示ほに取り組んでいます。今後も引き続き生産者の方々が安定した収量を確保出来るように支援してまいります。
※図表は、「ゆうべに」土耕栽培管理指針(改訂版)より参照
県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課
「ゆうべに」収量安定のための摘花(果)のポイントについて (PDFファイル)
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