熊本県では、農研機構育成イチゴ品種「恋みのり」が46.0ha(令和3年産共販実績)にわたり栽培されています(写真1)。厳しい寒さとなるこれからの季節において、品種に応じた適切な温度・栽培管理を行い、草勢を維持することが重要となります。そこで今回は、「恋みのり」における厳寒期の管理ついて紹介します。
イチゴ「恋みのり」の厳寒期における栽培管理
はじめに
栽培管理
イチゴにおいて安定した収量を確保するには適切な草勢を維持することが大切です。栽培時期に応じて温度管理、電照管理等を総合的に行います。
1)草勢(草高)管理の目安について
12月から1月にかけては25~30cm、2月以降は30cm以下を基準とします。また葉色(SPAD)は45~50を基準とします(表1)。
(2)温度管理について
11月下旬から2月上旬にかけての温度管理の目安を表2に示しています。これからの季節は気温が低い日が続きます。「恋みのり」は厳寒期の葉の展開が他品種に比べて遅い傾向があるため、適正な温度管理を徹底するとともに、夜温の確保に努めてください。
(3)電照について
電照は草勢を考慮して11月下旬~12月上旬に開始します。また、新葉の展開速度(7~10日に1枚)や葉柄の伸長状況に応じて電照時間を調整します(表3)。また、電照の効果は処理開始後1週間程度必要となるため、生育を常に観察しながら適切な草高となるよう電照時間の調節を行ってください。
(4)摘花(果)について
株の生育状況によりなり疲れやがく枯れ対策として、摘花(果)を徹底します。着花数の目安として頂花房は10果程度になるよう摘花します。また、12月上旬以降に開花した頂花房の花(すそ花)は摘花します。第2花房、第3花房は8~10花程度になるよう摘花します。また、草勢が弱い場合は株の負担を軽減するため、着花数を少なくします(写真2)。
加えて、収穫の終了した果梗枝はそのまま残しておかず、速やかに除去してください(写真3)。
(5)かん水について
イチゴは着果負担により根量が減少します。また、特に気温の低下する厳寒期において一度に多量のかん水を行うと、根痛みを助長します。根のストレスを減らして草勢を維持するため、少量多回数かん水を行い、土壌の水分状態の変化が少なくなるようなかん水管理を意識します。新葉の状態(溢液(いつえき)の有無、展開スピード)や天候を確認してかん水時間や回数を調整してください。
(6)追肥について
葉色が基準値(目安SPAD値45~50)より低い場合に1回あたり窒素成分で0.1~0.2㎏/10a程度を7~10日間隔で施用します。
さいごに
イチゴの安定した収量確保には厳寒期の草勢維持が重要となります。近年資材が高騰しているため、品種特性に応じた適切な栽培管理を行い、高収量・高品質なイチゴの生産を行うことで更なる経営の発展につなげましょう。
県北広域本部 阿蘇地域振興局 農業普及・振興課
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PDF:イチゴ「恋みのり」の厳寒期における栽培管理
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