大豆の中期管理~基本管理を徹底して高品質な麦づくりを目指しましょう~

難防除雑草とは?

近年、大豆栽培において、外来雑草を中心とする難防除雑草の発生が問題となっています。難防除雑草の主な特徴としては、
①薬剤抵抗性を持つ②繁殖力・再生力が高い③発生期間が長い等があります。また、ほ場に侵入・定着してしまうと、除草作業に多大な労力とコストを要します。

難防除雑草防除の基本

難防除雑草防除で最も大切なことは、「地域やほ場に、入れない・広げないこと」です。具体的な対策としては、以下の方法が挙げられます。

①ほ場周辺の管理を徹底
難防除雑草は多くの場合、ほ場周辺で生育→種子を生産することで侵入します。そのため、まずは、日頃からほ場周辺の畦畔や水路際をよく観察し、雑草を早期発見することが重要です。そして、見つけた難防除雑草は、必ず種子を作る前、つまり、「開花・結実前」に除草しましょう。管理方法としては、刈り取り(再生を遅らせるために地際から!残さは片づける!)や、除草剤散布(非選択性薬剤は、薬害に注意!)があります。草種や場所に応じて、複数の管理方法を使い分けましょう。雑草の種類を判別できる知識を身に付けておくことも必要になります。また、大豆栽培は水田輪作体系での作付が多いですが、大豆栽培時だけでなく、水稲栽培時も同様に除草対策を行いましょう。

②完熟堆肥を使用する
堆肥には、飼料由来の外来雑草種子が混入している場合があり、侵入源になる可能性があります。60℃以上の発酵温度で殆どの種子は死滅しますが、未熟堆肥では不十分です。必ず完熟堆肥を使用しましょう。

③雑草多発ほ場の作業は最後に
種子は、作業機械に付着した泥の中に潜んでいます。種子の移動を防ぐため、発生が見られるほ場の作業は、最後に行いましょう。
ほ場ごとの適切な管理は、その地域を雑草から守ることに繋がります。地域への侵入・まん延を防ぐためには、前述のような個人ごとの管理をベースとしつつ、発生状況の共有や、地域で一斉防除を行う等、地域全体で雑草管理に取り組むことが重要です。
また、大豆の苗立ち・初期生育を確保することで、雑草との競合力を高めることも、雑草防除の基本です。排水対策の徹底や、は種精度に注意しましょう。

雑草防除の流れ

難防除雑草防除は、単独ではなく、複数の手段を組み合わせた総合的な防除体系で行うことが重要です。雑草の種類によって、最適な防除体系は異なるため、発生している雑草を見極めましょう。

(1)は種前
は種前に発生している雑草は、丁寧な耕起を心掛けて、確実に埋没させましょう。完全に埋没させることが難しい場合は、耕起前に、発生している雑草に対して有効な非選択性茎葉処理剤を散布しましょう。

(2)は種後出芽前
は種後は、大豆の出芽前に、ラクサー乳剤等の土壌処理除草剤を散布しましょう。

(3)生育期
①中耕・培土
うね間を耕すことで生育初期の雑草を効果的に防除することができます。株間の雑草にもしっかり土が被るように培土するのがポイントですが、株間の防除効果は不十分であり、また、埋土種子を掘り起こすため、茎葉処理剤散布等と組み合わせることが重要です。開花期以降は、広がった大豆の根を痛めてしまうため、行わないようにしましょう。
②選択性茎葉処理剤の全面処理
難防除雑草は、出芽期間が長く、土壌処理剤だけでは防除しきれない場合が多いです。そのため、生育期の選択性茎葉処理剤の全面散布が低コストで有効です。登録されている除草剤(アタックショット乳剤、大豆バサグラン液剤、パワーガイザー液剤等)から、優占雑草に対して有効な剤を散布しましょう(大豆の生育により、散布できる時期が異なるため注意!)。雑草の発生初期に散布するとより効果的です。
③非選択性茎葉処理剤の畦間・株間処理
上記の防除を実施しても、残草している場合は、非選択性茎葉処理剤の畦間・株間処理を行いましょう。手取り除草を除く、最後の手段であり、難防除雑草に対して非常に有効な防除方法です。しかし、大豆の薬害に対して細心の注意を払う必要があります。散布時は、吊り下げノズルの利用、水散布で感覚を掴んだ後に本散布を行う等、極力大豆本葉に薬剤がかからないようにしましょう。また、雑草の草丈が15cm以上だと薬剤が上部までかからず効果が落ちてしまうため、早めの除草が必要です。

 

図1 大豆栽培の防除体系(参考:中央農業研究センター)
参考:中央農業研究センター
「診断に基づく大豆栽培改善技術導入支援マニュアル 大豆栽培における難防除雑草の防除」

県北広域本部 鹿本地域振興局 農業普及・振興課

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