アスパラガス栽培における黒ボク土壌での有効な被覆尿素肥料の施用方法
研究のねらい
アスパラガス栽培では、省力化のため被覆尿素肥料の利用が広がっています。また、定植後は耕起がなされず、堆肥中やうね表面への施肥または表面施肥後の堆肥による被覆が一般的です。被覆尿素肥料は、土壌と混和することにより肥効が安定しますが、このような土壌と混和されない被覆尿素肥料の窒素溶出特性については、これまで検討されていません。そこで、アスパラガス栽培において施肥された被覆尿素肥料の窒素溶出特性について明らかにし、その効果的な施肥方法の開発に役立てます。
研究の成果
1.牛ふん堆肥中に施肥された被覆尿素肥料の窒素溶出速度は黒ボク土の中に施肥されたものより遅く(図1–A)、異なる溶出型でも同様に土壌中より遅れます(データ省略)。うね表面に施肥されたものは、さらに遅れる程度が大きいです(図1–A)。また、土壌の表面に施肥し牛ふん堆肥で被覆したものも、土壌中より遅れます(図1–B)。


図1.一般的な施肥法による被覆尿素肥料の窒素溶出
注1) 堆肥中施肥区および堆肥被覆区では、牛ふん堆肥を4t/10a施用した。
注2) 埋設日:図1-Aは平成29年6月23日、図1-Bは令和2年2月18日
2.表面施肥後に肥料が隠れる程度の覆土を行う(図2–A)、あるいは牛ふん堆肥に重量比2分の1以上の土壌を混合したものの中に被覆尿素肥料を施肥する(図2–B)と、溶出の速さは土壌中と同様になります。


図2.施肥法改善後の被覆尿素肥料の窒素溶出
注1)図2–Aの表面施肥後に覆土の区は、肥料が隠れる程度の覆土を行った。
注2)図2–Bの混和区は、牛ふん堆肥4t/10aに土壌を4t/10a(混和1:1)あるいは2t/10a(混和2:1)混和した。
注3)埋設日:図2–Aは平成30年7月20日、図2–Bは令和2年2月6日

注) 灌水24時間後の三相分布
普及上の留意点等
1.施肥後は通常のアスパラガス栽培と同様のかん水を行いました。その目安は、牛ふん堆肥で被覆した区のpFが1.7前後としました。
2.上記成果2の状態を生産現場で実現するために以下の施肥方法が可能ですが、ただしいずれも培土の量を確保できることが必要条件です。
【保温開始前】通路にうね上の土壌を落とし、併せて肥料および堆肥を施用し、これを管理機でうね上に培土します。
【立 茎 期】通路の土壌を管理機でうね上に培土し、肥料が隠れる程度覆土します。
3.牛ふん堆肥および黒ボク土壌の三相分布は、図3のとおりであり、窒素溶出速度に影響を及ぼしている可能性があり、今後継続して検討を行います。
お問い合わせ先
農業研究センター生産環境研究所土壌環境研究室
【TEL】096-248-6447
野菜
梅雨時期のアスパラガスの品質を保つ収穫後管理
ナス「PC筑陽」の促成栽培で2本仕立てと炭酸ガス施用の組み合わせは増収効果が高い
アスパラガス栽培において被覆尿素肥料を用いることにより施肥窒素を3割減肥できる
トマトの促成長期栽培における増枝後の適正本数と開始時期
イチゴ「ゆうべに」の頂花房と第1次腋花房の花房間葉数は4枚程度が収量が安定する
イチゴ「ゆうべに」は中間地において9月18日から9月21日を目安に定植する
イチゴ「ゆうべに」は平坦地において9月21日を目安に定植する
促成栽培における黄化葉巻病抵抗性トマト品種の特性
温度管理と炭酸ガス施用が12~2月のナス品種「PC筑陽」および「筑陽」に与える影響
冬春トマトの温度管理が生育および収量に及ぼす影響
イチゴ品種「ゆうべに」の1~2月における炭酸ガスの施用効果
イチゴ「ゆうべに」における各種LEDの電照効果
夏秋トマトのセル苗直接定植栽培技術の改良
潜熱蓄熱材の設置で半促成無加温スイカの着果率が向上する
ICT養液土耕システムによるトマト促成長期栽培の増収技術
高冷地におけるエゴマの省力安定生産技術
単為結果性ナス品種「PC筑陽」における仕立て本数の違いが収量に及ぼす影響
促成トマトにおける栽植様式と葉面積指数の関係
(No.850(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)促成トマトの小玉果および糖度低下の課題に対応する品種の特性
(No.851(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)炭酸ガス施用下の促成トマト栽培における養分吸収特性と増肥による収量への影響
(No.861(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 03-04)低温貯蔵時におけるトマトの着色とリコペン含有量の変化
(No.876(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)イチゴ育苗期に遮光資材として赤外線カット資材を利用すると年内生産力が向上する
(No.853(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)促成トマトの日吸水量と日積算日射量の関係
(No.852(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)トマトおよびミニトマトにおける生育調査項目の測定値間差と測定方法
(No.878(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)イチゴ「ゆうべに」の畝連続栽培は、2kg10a以下の基肥窒素量で収量・品質が安定する
(No. 716(令和元年(2019年)5月) 分類コード 02-04)夏秋トマトにおける赤外線カット資材の増収効果
(No.858(令和元年(2019年)5月)分類コード02-04)トマトは水分ストレス栽培により機能性成分含有量が高くなる
(No.834(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)冬春どりレタスにおける収穫後 2 週間鮮度保持ができる貯蔵条件
(No.837(平成 30 年 5 月)分類コード 05-04)熊本県のトマト栽培における群落内の光環境と光合成速度
(No.811(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)トマトおよびミニトマトの機能性成分含有量の変動と炭酸ガス施用の影響
(No.833(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)黒ボク土の冬どりキャベツにおいて収穫期を遅らせることが可能な追肥の時期
(No.824(平成 30 年 5 月)分類コード 03-04)冬春どりキャベツにおける収穫後4週間鮮度保持ができる貯蔵条件
(No.836(平成 30 年 5 月)分類コード 05-04)ブロッコリーにおける多肥栽培および昼収穫は品質および保存後の外観鮮度が低下する
(No.835(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)環境制御下でのトマトの日中加温は増収効果が高い
(No.832(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)病害虫防除のためのイチゴ蒸熱処理における生育・収量に影響しない処理時期と処理条件
(No. 712(平成30年5月) 分類コード02-04)レタス「ラウンド」のプロトプラストからの再分化条件及びイオンビーム照射の影響
(No.813(平成 30 年 5 月)分類コード 12-04)天草地域の早期水稲後における秋作スイートコーン「ゴールドラッシュ 90」の定植晩限
(No.843(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)レタスにおけるポリフェノールオキシダーゼ(PPO)アイソザイムの発現特性
(No.815(平成 30 年 5 月)分類コード 12-40)カットレタス等色むらがあるサンプルの非破壊による色調評価法
(No.814(平成 30 年 5 月)分類コード 12-04)平均気温がトマトの葉の展開速度に及ぼす影響
(No. 812(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)促成トマトにおける日射量及び炭酸ガス濃度と光合成速度の関係
(No.769(平成 29 年 5 月)分類コード 06-04)機械収穫に対応した年内どり加工用ホウレンソウの雑草混入抑制技術
(No.804(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04)イチゴ「ゆうべに」の本ぽ基肥窒素量は4kg-10a程度を基準とする
(No.767(平成29年5月)分類コード02-04)促成トマトにおける炭酸ガス施用量が果実肥大及び可販果収量に及ぼす影響
(No.770(平成 29 年 5 月)分類コード 06-04)イチゴ「ゆうべに」には白黒マルチが適する
(No. 707(平成29年5月) 分類コード 02-04)夏秋トマトにおける早期定植による増収効果
(No.797(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04)夏秋トマトのセル成型苗直接定植栽培における早植えによる収量確保
(No.798(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04 )準高冷地におけるイチゴ「ゆうべに」の鉢受け適期
(No.799(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04)早期水稲後作としての秋作スイートコーン有望品種「ゴールドラッシュ90」の特性
(No.763(平成28年5月)分類コード01-04)畝立て同時消毒が土壌中の窒素動態と秋作メロンの生育・収量等に及ぼす影響
(No.725(平成28年5月)分類コード03-04)ボタンボウフウのさし木による繁殖法
(No.762(平成28年5月)分類コード01-04)クサソテツにおける胞子由来苗の低コスト大量生産技術の開発
(No. 706(平成28年5月) 分類コード 02-04)