1.花房間葉数4枚、3枚、2枚を比較すると、花房間葉数が少なくなるほど年内可販果収量は多くなりますが、1月と2月の可販果収量が減少し、総可販果収量は少なくなります(図1)。
イチゴ「ゆうべに」の頂花房と第1次腋花房の花房間葉数は4枚程度が収量が安定する
農業研究センター農産園芸研究所野菜研究室
研究のねらい
イチゴ「ゆうべに」は早生性で、年内収量及び総収量ともに多い品種ですが、頂花房の花芽分化後から第1次腋花房(通称:第2花房)の花芽分化時期までの温度条件や株の栄養状態によっては、花房間葉数が少なくなる傾向があります。花房間葉数が少ない場合、初期の着果負担が大きくなるため、1月から2月にかけての収量が減少する傾向にあり、収穫量の平準化が課題となっています。そこで、収穫量の落ち込みが少なく総収量も安定する花房間葉数について検討しました。
研究の成果

(2017年9月21日定植、n=5)
注)( )の数字は4枚を100とした割合。
2.花房間葉数が2枚の場合、3月までの総可販果収量に占める割合は、年内が55%に対し、2月は5%と大きく下回り、収量の落ち込みが大きくなりました。一方、花房間葉数が3枚、4枚と増えるほど、2月の収量の落ち込みは小さくなりました(図2)。

(2017年9月21日定植、n=5)
3.定植日が遅くなるにつれて、頂花房と第1次腋花房の花房間葉数は少なくなる傾向にあり(表1)、総可販果収量も少ない傾向にありました(図3)。


4.頂花房と第1次腋花房の花房間葉数4枚では頂花房を9または12果、3枚では9果、2枚では6果の着果数にすると、収量が安定して確保できます(図4)。

注)無摘果の( )内は実際の着果数
成果活用面・留意点
1.2017年の試験については、頂花房と第1次腋花房の花房間葉数が4枚、3枚、2枚の株を抽出し、株毎に調査を実施しました。また、図1については頂花房の果数は全て12果にそろえ、頂花房の摘果のタイミングは第1次腋花房の開花時期としました。
2.2018年、2020年の試験については、9月18日、21日、24日に定植した株について頂花房と第1次腋花房の花房間葉数を調査しました。なお、頂花房の摘果については、第1次腋花房の開花時期に、2017年の試験で最適だった花房間葉数に応じた果数(上記の研究の成果4)に調整しました。
3.本試験は農産園芸研究所内ビニルハウス(合志市栄)で実施しました。2018年及び2020年に供試した苗は、花芽分化日から定植日までの日数を揃えることを目的に、育苗施肥について、肥料の種類や施用時期、回数を定植日ごとに変えました。また、2018年は花芽分化から定植まで5日以上空いたため、花芽分化後に液肥を施用しました。なお、育苗施肥及び定植日以外の管理(温度、施肥、潅水等)は同一条件としました。
No.960(令和4年(2022 年)6月)分類コード 02-04
960_成果情報_農産園芸_イチゴ「ゆうべに」花房間葉数 (PDFファイル)
野菜
梅雨時期のアスパラガスの品質を保つ収穫後管理
ナス「PC筑陽」の促成栽培で2本仕立てと炭酸ガス施用の組み合わせは増収効果が高い
アスパラガス栽培において被覆尿素肥料を用いることにより施肥窒素を3割減肥できる
トマトの促成長期栽培における増枝後の適正本数と開始時期
イチゴ「ゆうべに」は中間地において9月18日から9月21日を目安に定植する
イチゴ「ゆうべに」は平坦地において9月21日を目安に定植する
促成栽培における黄化葉巻病抵抗性トマト品種の特性
アスパラガス栽培における黒ボク土壌での有効な被覆尿素肥料の施用方法
温度管理と炭酸ガス施用が12~2月のナス品種「PC筑陽」および「筑陽」に与える影響
冬春トマトの温度管理が生育および収量に及ぼす影響
イチゴ品種「ゆうべに」の1~2月における炭酸ガスの施用効果
イチゴ「ゆうべに」における各種LEDの電照効果
夏秋トマトのセル苗直接定植栽培技術の改良
潜熱蓄熱材の設置で半促成無加温スイカの着果率が向上する
ICT養液土耕システムによるトマト促成長期栽培の増収技術
高冷地におけるエゴマの省力安定生産技術
単為結果性ナス品種「PC筑陽」における仕立て本数の違いが収量に及ぼす影響
促成トマトにおける栽植様式と葉面積指数の関係
(No.850(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)促成トマトの小玉果および糖度低下の課題に対応する品種の特性
(No.851(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)炭酸ガス施用下の促成トマト栽培における養分吸収特性と増肥による収量への影響
(No.861(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 03-04)低温貯蔵時におけるトマトの着色とリコペン含有量の変化
(No.876(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)イチゴ育苗期に遮光資材として赤外線カット資材を利用すると年内生産力が向上する
(No.853(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)促成トマトの日吸水量と日積算日射量の関係
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(No.878(令和元年(2019 年)5 月)分類コード 02-04)イチゴ「ゆうべに」の畝連続栽培は、2kg10a以下の基肥窒素量で収量・品質が安定する
(No. 716(令和元年(2019年)5月) 分類コード 02-04)夏秋トマトにおける赤外線カット資材の増収効果
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(No.837(平成 30 年 5 月)分類コード 05-04)熊本県のトマト栽培における群落内の光環境と光合成速度
(No.811(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)トマトおよびミニトマトの機能性成分含有量の変動と炭酸ガス施用の影響
(No.833(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)黒ボク土の冬どりキャベツにおいて収穫期を遅らせることが可能な追肥の時期
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(No.836(平成 30 年 5 月)分類コード 05-04)ブロッコリーにおける多肥栽培および昼収穫は品質および保存後の外観鮮度が低下する
(No.835(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)環境制御下でのトマトの日中加温は増収効果が高い
(No.832(平成 30 年 5 月)分類コード 02-04)病害虫防除のためのイチゴ蒸熱処理における生育・収量に影響しない処理時期と処理条件
(No. 712(平成30年5月) 分類コード02-04)レタス「ラウンド」のプロトプラストからの再分化条件及びイオンビーム照射の影響
(No.813(平成 30 年 5 月)分類コード 12-04)天草地域の早期水稲後における秋作スイートコーン「ゴールドラッシュ 90」の定植晩限
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(No.815(平成 30 年 5 月)分類コード 12-40)カットレタス等色むらがあるサンプルの非破壊による色調評価法
(No.814(平成 30 年 5 月)分類コード 12-04)平均気温がトマトの葉の展開速度に及ぼす影響
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(No.769(平成 29 年 5 月)分類コード 06-04)機械収穫に対応した年内どり加工用ホウレンソウの雑草混入抑制技術
(No.804(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04)イチゴ「ゆうべに」の本ぽ基肥窒素量は4kg-10a程度を基準とする
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(No.770(平成 29 年 5 月)分類コード 06-04)イチゴ「ゆうべに」には白黒マルチが適する
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(No.797(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04)夏秋トマトのセル成型苗直接定植栽培における早植えによる収量確保
(No.798(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04 )準高冷地におけるイチゴ「ゆうべに」の鉢受け適期
(No.799(平成 29 年 5 月)分類コード 02-04)早期水稲後作としての秋作スイートコーン有望品種「ゴールドラッシュ90」の特性
(No.763(平成28年5月)分類コード01-04)畝立て同時消毒が土壌中の窒素動態と秋作メロンの生育・収量等に及ぼす影響
(No.725(平成28年5月)分類コード03-04)ボタンボウフウのさし木による繁殖法
(No.762(平成28年5月)分類コード01-04)クサソテツにおける胞子由来苗の低コスト大量生産技術の開発
(No. 706(平成28年5月) 分類コード 02-04)