阿蘇の寒地型牧草、野草を利用した発酵TMRは褐毛和種去勢肥育牛に利用可能である

農業研究センター草地畜産研究所

研究のねらい

畜産経営において、飼料の多くを輸入に依存しており,飼料自給率の低迷、輸入飼料価格の高騰が課題となっています。また阿蘇には広大な草地が存在し、繁殖牛の放牧と採草に利用されてきましたが、近年、畜産農家の減少、労働力不足等の理由から草地の利用が減少しており、草地の新たな活用方法が求められていました。
そこで、阿蘇産の寒地型牧草または野草を活用した肥育用発酵TMR※1を開発し、褐毛和種去勢肥育牛の発育及び肉質への影響を調査しましたので紹介します。

 

※1 阿蘇産牧草、籾米サイレージ等を混合、発酵させた飼料

写真1 発酵TMR

研究の成果

1.牛舎で給与する肥育用発酵TMR(肥育前期、中期及び後期用)として、牧草(トールフェスク、オーチャードグラス主体)を活用した牧草発酵TMRと野草(ススキ、ネザサ主体)を活用した野草発酵TMRを設計開発しました(表1)

2.牧草発酵TMR、野草発酵TMRとも肥育牛1頭あたりの累積乾物摂取量、発育及び枝肉成績には、当所の慣行肥育(以下、慣行肥育)と比較して同程度で差は有りませんでした(図1、表2)。

図1 乾物摂取量(累積)

3.野草発酵TMRの肉質特性として、抗酸化作用のあるα-トコフェロール含量が慣行肥育および牧草発酵TMRより高くなり、脂肪色の黄色みが慣行肥育と差がないという特徴を示しました(表3)

4.牧草発酵TMRおよび野草発酵TMRは、嗜好性は良好で、飼料自給率は50%以上(表1)であるため、阿蘇の草地の利用拡大ができます。

成果活用面・留意点

1.販売面では、国産飼料多給及び阿蘇の草原を守る持続可能な畜産物であるという付加価値があります。
2.当飼養方法による推定値では、牧草地は35a/頭程度、野草地であるネザサ優占草地は45a/頭程度、ススキ優占草地は18a/頭程度の草地を維持できます。
3.発酵TMRに使用した牧草、野草の収穫時期は、牧草が5~7月、野草が9~11月です。

 

No.985(令和4年(2022 年)6月)分類コード 08-14
985_成果情報_草地畜産_野草TMR肥育 (PDFファイル)

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