アスパラガス栽培における黒ボク土壌での有効な被覆尿素肥料の施用方法
研究のねらい
アスパラガス栽培では、省力化のため被覆尿素肥料の利用が広がっています。また、定植後は耕起がなされず、堆肥中やうね表面への施肥または表面施肥後の堆肥による被覆が一般的です。被覆尿素肥料は、土壌と混和することにより肥効が安定しますが、このような土壌と混和されない被覆尿素肥料の窒素溶出特性については、これまで検討されていません。そこで、アスパラガス栽培において施肥された被覆尿素肥料の窒素溶出特性について明らかにし、その効果的な施肥方法の開発に役立てます。
研究の成果
1.牛ふん堆肥中に施肥された被覆尿素肥料の窒素溶出速度は黒ボク土の中に施肥されたものより遅く(図1–A)、異なる溶出型でも同様に土壌中より遅れます(データ省略)。うね表面に施肥されたものは、さらに遅れる程度が大きいです(図1–A)。また、土壌の表面に施肥し牛ふん堆肥で被覆したものも、土壌中より遅れます(図1–B)。
2.表面施肥後に肥料が隠れる程度の覆土を行う(図2–A)、あるいは牛ふん堆肥に重量比2分の1以上の土壌を混合したものの中に被覆尿素肥料を施肥する(図2–B)と、溶出の速さは土壌中と同様になります。
普及上の留意点等
1.施肥後は通常のアスパラガス栽培と同様のかん水を行いました。その目安は、牛ふん堆肥で被覆した区のpFが1.7前後としました。
2.上記成果2の状態を生産現場で実現するために以下の施肥方法が可能ですが、ただしいずれも培土の量を確保できることが必要条件です。
【保温開始前】通路にうね上の土壌を落とし、併せて肥料および堆肥を施用し、これを管理機でうね上に培土します。
【立 茎 期】通路の土壌を管理機でうね上に培土し、肥料が隠れる程度覆土します。
3.牛ふん堆肥および黒ボク土壌の三相分布は、図3のとおりであり、窒素溶出速度に影響を及ぼしている可能性があり、今後継続して検討を行います。
お問い合わせ先
農業研究センター生産環境研究所土壌環境研究室
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