イチゴ「ゆうべに」は平坦地において9月21日を目安に定植する

農業研究センターアグリシステム総合研究所野菜栽培研究室

研究のねらい

本県で育成したイチゴ「ゆうべに」は早生性の品種で頂花房の花芽分化が早く、第1次腋花房(通称:第2花房)以降の花房についても連続出蕾性が高い特徴を持っています。このため、年内収量は多くなりますが、出荷時期が極端に早くなることによる果実品質の低下や、出蕾間隔が極度に短くなることにより着果負担が増大し、生育の停滞と厳寒期の収量低下の要因となることがあります。
そこで、収量確保や品質安定に向けて、①早期出荷の回避と果実肥大の充実、②年内の収量確保、③厳寒期(1~2月)の収量確保が可能となる平坦地での定植時期について検討しました。

※平坦地とは年間平均気温が概ね16℃以上の地域(促成いちご「ゆうべに」土耕栽培管理指針(平成31年2月改訂版)参照)を指します。

研究の成果

1.定植日が早いほど可販果1果重が軽く、小玉傾向となります(表1)。

2.定植日が遅くなるほど頂花房と第1次腋花房間の葉数が少なく、出蕾間隔が短くなります(表2)。

3.9月18日定植は収穫開始が極早期となり、年内可販果収量が少ない傾向となります(表2、図1、図2)。
9月24日及び9月27日定植では、厳寒期(1~2月)及び総可販果収量が少ない傾向となります(図1、2)。
9月21日定植では、年内及び総可販果収量が確保され、厳寒期(1~2月)の可販果収量の落ち込みも見られず月別収量が安定します(図1、2)。

図1 月別可販果収量(2019年)
図2 月別可販果収量(2020年)

成果活用面・留意点

1.本試験は、アグリシステム総合研究所内ハウス(八代市鏡町)で実施し、1区12株3反復としました。

 

2.各定植日に供試した苗の花芽分化日は表3のとおりです。花芽分化日は調査株5株がすべて肥厚後期以降となった日としました。

3.供試した苗の花芽分化期は、育苗期に置肥を2回施用した後、液肥施用の回数や時期を変えることで調整しました。なお、9月18日定植は特異的に花芽分化を早めるため、2回目の置肥の代わりに8月中旬に液肥を施用しました。また、2019年の9月18日定植及び2020年の全ての定植日に供試した苗は花芽分化後にも液肥を施用しました。

4.育苗施肥、定植日以外の栽培管理(温度、本ぽ施肥量等)は同一条件としました。

5.花芽分化確認後から定植まで5日以上空く場合は栽培管理指針に準じて苗に液肥を施用し、生育維持を図ってください。

 

No.994(令和4年(2022 年)6月)分類コード 02-04
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