イチゴ品種「ゆうべに」の1~2月における炭酸ガスの施用効果
イチゴ品種「ゆうべに」において炭酸ガスを施用すると1~2月の草勢が維持され、第2次腋花房以降の出蕾が早まることで、収穫果数が増加します。結果、1~2月の収量が無施用に比べ、20%以上増加します。
研究のねらい
本県で育成されたイチゴ 品種「ゆうべに(品種名:熊本VS03)」は、1~2月(厳寒期)の収量低下や果実品質の低下がみられる場合があり、生産・販売面から課題解決が急務となっています。
そこで、炭酸ガス施用が収量および果実品質に及ぼす影響を検討しました。
研究の成果
1.炭酸ガスの施用により、1~2月の草高が高くなります。また、第2次腋果房以降の出蕾が早まることで収穫果数が増加します(表1、表2)。1~2月の可販果収量が無施用に比べ 20%以上増加します。(図1、図2)。
2.1~2月の糖度および可販果収量における秀品率は無施用と同等です(表1、表2)
3.早朝1000ppm施用と早朝1500ppm施用での可販果収量は同等です(図1)。また、早朝1000ppm施用と日中500ppm施用の可販果収量も同等です(図2)
普及上の留意点等
1.炭酸ガスの施用以外の栽培は「促成いちご「ゆうべに」栽培管理指針」(熊本県、平成28年7月)に準じました。試験区間のハウス内温度は同等で推移し、温度の影響はありませんでした。
2.本試験は2016年度及び 2017年度に実施、定植は 2016年9月21日、2017年9月21日に行いました。栽培様式は、2016年度は土耕栽培、2017年度は高設栽培(簡易高設栽培槽:ゆめ果菜恵、株式会社サンポリ)で行いました。
3.炭酸ガスの施用方法は、2016年度はビニルハウス(間口8m×長さ10m)3棟で燃焼式炭酸ガス発生器(グロウエア、ネポン製)、2017年度は小型環境制御ハウス(間口6m×長さ12m)3棟で液化炭酸ガスを使用しました。2016年度試験は、炭酸ガスを早朝1000ppm、1500ppmともに日の出から1~2時間施用しました。2017年度試験は、早朝1000ppmで7時~9時、日中500ppmで7時~17時にかけて施用しました。各年度の炭酸ガス施用期間は、2016年11月23日~2017年3月19日、2017年12月1日~2018年2月28日です。
お問い合わせ先
農業研究センター
農産園芸研究所 野菜研究室
イチゴ
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