カキ「太秋」は、せん定時に陰芽由来結果母枝を多く残すことで翌年の雌花が確保できる
農業研究センター果樹研究所落葉果樹研究室
研究のねらい
カキ「太秋」では、比較的長い結果母枝が雌花を多く着生する傾向があり、安定して雌花を確保するためには、30㎝以上の充実した結果母枝を用いるとされています(農業研究成果情報No.150)。しかし、充実した結果母枝においても雌花の着生が少ない年が見られ、減収の原因となっています。そこで、結果母枝の発生由来及び前年の雌雄性の違いによる雌花確保技術を確立するために試験をしましたので、結果を紹介します。
研究の成果
1.カキ「太秋」の結果母枝由来別の雌花着生割合は、定芽由来(図1)と比べて陰芽由来(図2)が86.3%と約30%高くなります。また、結果母枝当たりの雌花着生数は、陰芽由来の方が極めて多くなります(表1)。
※定芽由来は前年の結果枝(図1)、陰芽はせん定した切り口などから出た新梢(しんしょう)(図2)
2.前年雌花のみが着生した定芽由来結果母枝(図3)のほうが、雄花のみ着生した定芽由来結果母枝(図4)よりも雌花着生割合が高くなります(表2)。
成果活用面・留意点
1.この成果は、カキ「太秋」のせん定時の雌花確保技術として活用できます。
2.果樹研究所の樹齢21~23年生カキ「太秋」6樹を調査した結果です。
3.陰芽由来結果母枝は、枝の発生部位にフタモンマダラメイガの幼虫が侵入しやすく、炭そ病も発生しやすくなるため、粗皮剥ぎや薬剤散布により防除を徹底してください。
No.1000(令和4年(2022 年)6月)分類コード 02-10
1000_成果情報_果樹_カキ「太秋」結果母枝の違いと翌年の影響