トマト黄変果が発生する果実温度および遭遇時間の解明

農産園芸研究所野菜研究室

1 研究のねらい

4月~6月の暑い時期に、トマトのへた周辺が赤色に着色しない黄変果(図1)の発生が問題となっています。黄変果の発生要因には温度が関与していることは分かっていましたが、詳細な発生条件は不明でした。そこで、詳細な発生条件を解明しましたのでご紹介します。

図1 黄変の発生程度(評価基準値)
※黄変程度の評価基準値3以上(黄変が果底部の1/2以上)のものを「黄変果」という

2 成果

(1)影響を受ける成熟ステージ
緑熟期後半※1の果実を35℃96時間加温しても、黄変はわずかに見られる程度ですが、催色期の果実を同様に加温すると黄変の発生程度が大きくなります(図2)。
※1 緑熟期後半:果頂部(ヘタの反対側)が白っぽいが、未着色の状態をいう。
※2 催色期:果頂部がわずかに着色(果実の3~30%)している状態をいう。

(2)果実温度と遭遇時間の関係
催色期※2の果実が32℃96時間遭遇すると、わずかに黄変が見られ、33℃96時間遭遇すると黄変果が発生します(図3)。また、催色期の果実が35℃に遭遇した場合、48時間から黄変が始まり、72時間で黄変果が発生します。

図2 収穫ステージと黄変果の発生程度の関係
図3 果実温度と黄変果の発生程度の関係

以上のことから、黄変果の発生を抑えるためには、33℃以上の高温に上昇させないこと、それ以上の果実温度になっても72時間以上は遭遇させないことが重要になります。

No.744(令和5年(2023年)6月)分類コード 02-04
トマト黄変果が発生する成熟ステージ、果実温度および遭遇時間の解明 (PDFファイル)

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