ポンカンはNAA水溶剤を散布することで摘果作業を省力化できる

農業研究センター天草農業研究所

研究のねらい

天草地域の特産カンキツであるポンカンは、栽培農家の高齢化が進んでいることから、省力化技術の導入が求められています。そこで、摘果剤(NAA水溶剤)を利用した省力化技術を確立することを目的に試験を実施しました。

研究の成果

NAA水溶剤(商品名:ターム水溶剤)を満開後30日頃に樹冠内裾へ散布して粗摘果を行うと

1. 慣行摘果と比べて総摘果時間が短縮します(表1,表2)。

2. 8月の粗摘果で慣行摘果と同等の着果程度にすると果実肥大量に差がなく(表3)、収穫時の果実階級も差がありません(図1)。

図1 NAA水溶剤をポンカンの樹冠内裾に散布した場合の階級別個数割合(2019年)

3. 慣行摘果と比べて、果実品質に差がありません(データ略)。

成果活用面・留意点

1. 本試験は2018年及び2019年に天草農業研究所の樹高3.4m、樹幅3.2m程度のポンカンで調査した結果です。NAA水溶剤は、満開後30日頃(6月中旬頃)に希釈倍数1000倍を樹冠内裾へ散布しました。なお、散布日から散布後3日までの気温は、2018年:最高気温は27.5℃、最低気温は17.6℃、2019年:最高気温25.3℃、最低気温17.6℃でした。

2. NAA水溶剤による摘果効果は気温が影響するため、最低気温18℃以上又は、最高気温25℃以上が数日続くときに散布をすることが望ましいです。

中晩柑