乳用育成牛への籾米サイレージ給与で飼料コストをカット!

農業研究センター畜産研究所大家畜研究室

研究のねらい

近年、配合飼料や輸入粗飼料価格が高騰していく中、飼料コスト見直しの話題をよく耳にします。そこで、熊本県では高騰している配合飼料の代替品として、低コストで生産可能な籾米サイレージの給与水準を確立することで経営の負担軽減を図りました。
本研究では、まだ籾米サイレージの給与形態が確立されていない乳用育成牛へ給与し、コストの比較と適正な給与水準を解明する事をねらいとしました。

研究の成果

1.飼料設計及び発育・健全性
生後6カ月齢から授精適期(約14カ月齢)の乳用育成牛に、配合飼料の20%及び30%を籾米サイレージ及び大豆粕に置き換えた飼料は、発育・健全性に変わりはなく更に嗜好性は良好という結果でした(表1、2、3 図1、2)。

図1 各区の体重の推移
図2 各区の体高の推移

2.繁殖成績
繁殖においても受胎率に影響は見られず(表4)、11~14カ月齢時の血中プロジェステロン濃度の推移から20%代替区および30%代替区の両区ともに妊娠の維持が可能な黄体を有することが確認できました(図3)。

図3 11-14カ月齢時の血中プロジェステロン濃度の推移

3.飼料費
籾米サイレージを給与することで乾物1kg当たりの飼料費は、対照区が60.3円に対し、20%代替区は55.4円(-4.9円)、30%代替区は54.1円(-6.2円)と飼料費の削減ができました(表5)。

成果活用面・留意点

以上の結果のとおり、配合飼料の一部を籾米サイレージと置き換える事で、飼料費削減効果が期待されます。ただし、籾米サイレージ単体ではタンパク質含量が少ないため、大豆粕等によるタンパク質の追加が必要です。
また、給与時の注意点としては、いきなり20~30%置き換えるとルーメンに負担がかかる可能性がありますので、各農場で牛の健康状態と相談しながら徐々に給与量を増やしてみてください。
これからの暑い季節は、籾米サイレージなどの発酵物は開封後の好気的変敗が起きやすいため、涼しい場所での保管や速やかに使い切る等の工夫をお願いします。