温度管理と炭酸ガス施用が12~2月のナス品種「PC筑陽」および「筑陽」に与える影響

研究のねらい

近年、促成ナス栽培では環境制御装置の導入が進んでいますが、環境制御技術の体系化には至っていません。そこで、今回は日中の温度管理と炭酸ガス施用に注目し、本県促成栽培の主要品種である「PC筑陽」と従来品種「筑陽」に与える影響を明らかにしましたので紹介します。

研究の成果

1.日中の換気温度の設定を27℃と22℃で比べると、「PC筑陽」、「筑陽」のどちらも、27℃で12~2月の総果数と可販果数が増加します(表1)。そのため、12~2月の可販果収量は、日中換気温度27℃の方が増加します(図1、図2)。これは炭酸ガスを施用した場合も、施用しない場合も同様の結果となります。

 

2.日中の炭酸ガスを施用無しと施用有りで比べると、「PC筑陽」、「筑陽」のどちらも、施用有りで12~2月の可販果一果重が増加します(表1)。そのため、12~2月の可販果収量は、施用有りで増加する傾向があります(図1、図2)。これは日中換気温度が27℃設定でも、22℃設定でも同様の結果となります。

注)表の値は2019年12月1日から2020年2月29日の平均値。収穫期間は2019年10月10日から2020年3月18日。
注)( )内の数値は日中換気温度22℃・炭酸ガス無施用を100としたときの値。
注)二元配置分散分析によりNSは有意差なし、†は10%水準、*は5%水準、**は1%水準で処理間で
有意であることを示す(n=8)。
図1 「PC筑陽」の12月-2月の月別可販果収量
注)( )内の数値は日中換気温度22℃・炭酸ガス無施用を
100としたときの値。
図2 「筑陽」の12月-2月の月別可販果収量
注)( )内の数値は日中換気温度22℃・炭酸ガス無施用を
100としたときの値。

以上を要約すると、促成ナス栽培では「PC筑陽」「筑陽」ともに、日中換気温度22℃より高い27℃に設定すると12~2月の果数が増え可販果収量が増加します。また、炭酸ガスを施用すると12~2月の可販果一果重が増加し、可販果収量が増加する傾向があります。

普及上の留意点等

今回の試験は、6m間口×長さ12mの小型ハウスを使用して行いました。試験中の実際のハウス内気温は、22℃設定で平均20.2℃、27℃設定で21.9℃でした。また、炭酸ガス施用は液化炭酸ガスを用いて行い、炭酸ガス濃度は施用で平均516ppm、無施用は平均405ppmとなりました(図3)。
実際の栽培においては、今回の設定値が最適とは限らないため、設定値には注意が必要です。

図3 処理期間中のハウス内温度と炭酸ガス濃度の推移
注)2019年10月28日から2020年3月18日までのハウス内温度と炭酸ガス濃度の同時刻平均の推移。
注)強制通風方式で測定した(写真1)。
写真1 測定機器(内部)

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