蒸し製緑茶製造ラインを用いた加工食品向け粉末茶原料の連続的な生産方法

研究のねらい

茶葉入り加工食品の需要は増加傾向にあり、こうした需要へ効率的に対応できる粉末茶原料の生産方法が求められています。
そこで、既存の蒸し製緑茶製造ラインに組み込まれた機械を使用した加工食品向け粉末茶原料の連続的な生産方法を開発しましたので紹介します。

写真1 粉末茶原料を用いた粉末茶

研究の成果

1.各製造工程における製造ポイントを押さえることで、既存の蒸し製緑茶製造ラインを用いて粉末茶原料を連続的に生産できます。(図1)

図1.加工食品向け粉末茶原料の製造工程及び製造ポイント

2.標準的な自動乾燥機の設定可能時間(最長45分間)以内に乾燥を終了させるための、茶葉の適切な葉打機取り出し含水率は約40%(DB.)です。(図2

図2.葉打機取り出し含水率における乾燥工程の所要時間
注1) 2018年及び2019 年の「やぶきた」又は「おくみどり」の一番茶、二番茶、秋冬番茶を供試した。
注2) 乾燥工程の所要時間は、茶葉の含水率が5%(D.B.)以下まで乾燥したことを確認するまでに要した時間。

3.本方法による粉末茶原料のから色及び粉末茶の粉色と色相角度は、茶期別では一番茶が最も優れますが、二番茶や秋冬番茶の粉末茶でも、通常の蒸し製玉緑茶一番茶(かぶせ茶)を粉砕した粉末茶よりも色相角度が大きくなります。(表1)

注1)官能審査は合議制(各20点満点)で実施し、色相角度は色彩色差計CR-400から算出した。なお、から色(茶葉を湯に浸漬した後の茶殻の色)や粉色(茶葉を粉砕した粉の色)の評点が高く、色相角度が大きいほど、粉末茶の色沢が優れる傾向にある。
注2)本方法による粉末茶は、遮光率75%の遮光資材を一番茶は3週間、二番茶と秋冬番茶は2週間被覆した原料を使用した。また、蒸し製玉緑茶は遮光率75%の遮光資材を10日間被覆したかぶせ茶を使用した。

4.以上の方法で、既存の蒸し製緑茶製造ラインを用いて良質な粉末茶原料を連続的に生産することができます。

普及上の留意点等

本成果は、T社製60K型蒸し製玉緑茶生産ラインで粉末茶原料を製造し、T社製粉砕機FPS-1で粉砕を行った試験の結果です。また、粉末茶原料の荒茶の加工時間は22.5時間(蒸熱工程~乾燥工程、搬送時間を含む)、生産に係る重油消費量(葉打機、自動乾燥機)は、生葉原料1Kgあたり約0.3リットルでした。

お問い合わせ先

農業研究センター 茶業研究所    【TEL】0962826851

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