こだわっとる農

水俣市 こだわりの『みなまた和紅茶』はいかがですか?

坂口 和憲さん

はじめに

お茶の坂口園の坂口和憲さんの茶園は、湯の鶴温泉を望む水俣の山間地に位置しています。冬は雪が積もることもある標高350mの茶園では、朝夕の冷え込みと昼の暖かさにより気温差が生じるため、旨味を蓄えた美味しいお茶が生産されます。
坂口和憲さんは昭和4年から続くお茶の坂口園の三代目。まもなく創業から100年を迎える坂口園では、これまで磨いてきたお茶づくりの技術と新たな挑戦で、水俣のお茶の美味しさを多くの人へ届けています。現在は、二代目である父の新一さん、母の節子さんの3人で、約3haある茶園の栽培管理と製茶を行っています。
坂口和憲さんは現在、水俣・芦北地域で作られる和紅茶のブランド、「みなまた和紅茶」を推進する「みなまた和紅茶実行委員会」の会長もされており、緑茶づくりだけでなく紅茶の製造、販売にも力を入れています。

お茶へのこだわり ~品質にこだわったお茶づくり~

坂口園では現在9品種(やぶきた、めいりょく、さえみどり、在来種、べにふうき 他)を栽培しています。品種や摘採時期、摘採した生葉の状況に応じて、その生葉に最も合う方法で摘採・製造を行います。緑茶では品種や葉の柔らかさによって蒸し時間を調整したり、紅茶では使用する生葉の香りがピークとなるよう萎凋1(いちょう)や発酵の時間を調整したりするなど、長年の経験からその生葉の美味しさを引 き出します。また、栽培においても、こまめな茶園の見回りや、生育に合わせた適期の剪定(せんてい)作業などを行っています。一番茶ではほとんどの茶園で被覆2を行い、うま味や葉色を向上させています。手間暇のかかる作業ですが、これらの作業の積み重ねによって美味しいお茶が作られます。坂口さんは、「大量生産は出来ないが、品質にこだわってお茶づくりをしたい。」と、美味しいお茶を作るこだわりから、栽培から製造における数々の作業を丁寧に行われています。

 

1 萎凋は、生葉の含水率を減少させながら、葉に含まれる酵素の働きで香りや味を発揚させる、紅茶等の製造工程のひとつです。
2   被覆とは、茶樹を摘採前に遮光資材で一定期間遮光することをいいます。新芽のうま味や色を良くする品質向上などの目的で行います。

一番茶摘採前の被覆

商品展開

現在、坂口園では、緑茶で2種類、紅茶で4種類を主力の商品としています。このうち『ゆのつる和紅茶』は、二代目の新一さんが紅茶を始められたころからの看板商品で、10年以上作られ続けている、和紅茶の商品で一番人気の商品です。三代目の和憲さんがメインでお茶づくりをされるようになってからは、飲んだ時に、より紅茶の香りを感じられるよう、品種のブレンドの調整や火入れ(焙煎)をやや強めに入れるなど、二代目の『ゆのつる和紅茶』をベースに、三代目によるリニューアルが行われています。甘い蜜や花の香りを思わせる優しい味わいでありつつ、火入れをやや強くすることで香ばしく飲みやすい味わいとなっています。

また、平成29年からは、ゆのつる和紅茶の新たなブランドとして、べにふうきのシングルオリジン(単一品種で作られた茶)の『ゆのつる和紅茶 はるべに』が作られました(以下『はるべに』)。『はるべに』は春摘み(ファーストフラッシュ、一番茶)のべにふうきをフルーティーな香りと優しい味わいに仕上げた紅茶です。令和3年にはフランスで開かれたお茶のコンテスト「Japanese tea selection paris」で、金賞を受賞されています。さらに、「国産紅茶グランプリ2020プロダクツ部門」でグランプリを受賞されるなど、数々の茶のコンテストで受賞している商品です。また、摘採時期の違いで夏摘み(セカンドフラッシュ、二番茶)の『なつべに』、レモングラスと組み合わせた『れもべに』も販売されています。毎年10月末に水俣市の道の駅みなまた周辺で開かれる、「優秀和紅茶サミットinみなまた」でも坂口さんの『ゆのつる和紅茶』、『はるべに』は大変人気のある紅茶です。

また、緑茶の商品では、『特上煎茶 極』と『上煎茶 匠』を販売されており、二代目の新一さんからのファンに人気とのことです。

ゆのつる和紅茶(ティーバッグ)
和紅茶『はるべに』
はるべに、なつべに、れもべに と「Japanese tea selection paris」

今後の目標

和紅茶で数々の賞を受賞されている坂口さんですが、今後もコンテストに出品して入賞することで、「みなまた和紅茶」や「お茶の坂口園」を世界に知ってもらうことを目標とされています。以前はマイナスなイメージもあった地域だからこそ、安心安全や環境に配慮した茶づくりを行うのはもちろんのこと、美味しい茶として「みなまた和紅茶」、「お茶の坂口園」をたくさんの人に知ってもらいたいとのことでした。また、「今後は新たな品種の模索や、紅茶だけではない、国産ウーロン茶といった半発酵茶づくりにも力を入れていきたい」と、挑戦を続けていかれる予定です。

プロフィール

坂口 和憲さん

 

◯経営概要  茶(3ha
◯家族構成  父(新一さん)、母、本人、妻、子
◯主な労働力 本人、父、母
◯お茶が買える場所
・店頭販売
道の駅みなまた内「Shop&Caféミナマータ」道の駅でこぽん、水光社、鶴屋百貨店
・直接販売
イベント出店、電話・工場での直接販売
・SNS
FacebookInstagram
・お茶の坂口園ホームページ
http://sakaguchien.jp

(紹介:県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課)

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