こだわっとる農

大豆、水稲、麦、ミニトマト

嘉島町 ~嘉島から全国へ~ 大豆の自給力向上を目指して

株式会社藤瀨農園

(左から健さん、絵美さん(健さんの妻)、弘治さん、真理子さん、修さん)

はじめに

今回は、令和4年度熊本県麦・大豆振興共励会(大豆の部)の農家の部で最優秀賞を受賞された嘉島町の株式会社藤瀨農園を紹介します。

 

藤瀨農園は、平成25年に法人化し、雇用者確保によりさらなる規模拡大や有利販売を行っています。そのような中で、父・藤瀨弘治さんが経営全般の管理、作業の指示ならびに日誌の記帳、母・真理子さんが経営全般の補佐ならびに直売への配達、次男・修さんがミニトマト栽培と販売管理、三男・健さんが土地利用型作物の栽培管理を主に担当するなど、家族間で役割分担を行い、業務の効率化と技術向上を図っておられます。ミニトマト栽培においては令和2年にGLOBALG.A.Pの認証を取得し、施設栽培の団地化を進めており、土地利用型作物では経営力の向上及び地域の担い手として農地を守るため、毎年1haの規模拡大を目標にしておられます。

オランダ型ハウスによるミニトマト栽培
中耕管理が行き届いた大豆栽培

大豆栽培作業の効率化

藤瀨農園の令和5年度の大豆栽培面積は20.5haで、10年前の3.9haから約5倍にまで増加しています。作業受託も積極的に行われており、令和5年度は、防除2ha、中耕・培土8haを受託し、収穫は10haの受託を予定しています。このように作業を行う大豆ほ場はかなりの面積に及びますが、「大豆栽培では適期に管理することが大事。播種(はしゅ)の遅れは収穫の遅れにつながるし、きちんと収量が取れれば投資した分は返ってくる。」という考えから、大型機械の導入を着実に進め、現在では57馬力から98馬力までのトラクター5台が、耕起から播種までの作業を担っています。また、播種機を2台導入し、中耕・培土では専用機械(中耕ディスク)で、2回の中耕作業を適期に行える環境を整えるなど、積極的に作業の効率化を図られています。

大型機械の導入
中耕ディスクによる中耕作業

高収量・高品質の大豆栽培

大豆は水田で栽培されることが多いのですが、ここで問題になるのが排水不良による生育への影響です。そこで藤瀨農園では、弾丸暗きょと額縁排水溝(ほ場の周囲に明きょを掘ること)を施工し、排水対策に取り組んでいます。また、もみ殻や堆肥等の有機物をほ場に施用することで土壌物理性を改善するとともに、嘉島町の米・麦・大豆によるブロックローテーションにも参加し、畑(乾田)状態での栽培を行うなど、徹底した排水対策を行っています。

さらに、単収アップの取組みとして、堆肥を積極的に活用されています。嘉島町では大豆の栽培面積が増加しておりますが、大豆-麦体系による栽培によりほ場の地力低下が懸念されています。そこで、藤瀨農園では以前から地域の畜産農家を中心に家畜ふん堆肥を購入し、ほ場に施用することで地力低下を防いでいます。堆肥を施用することで施肥効果の向上を感じており、これからも積極的に活用していきたいと話しておられます。

他にも、播種後の雑草は除草剤と中耕により確実に除去する、種子は大粒種子を選別することで発芽率の向上とその後の生育量を確保するなど、単収向上に向けた取組みを実施し、その結果、令和4年度の収量は227kg/10aと、地域平均の127kg/10aを大きく上回っています。また、病害虫発生予察情報等を活用した適期防除、生産物の乾燥・調製をすべてJAの共同施設で行うなど、品質の均一化に向けた取組みも実施しています。

地域への貢献

藤瀨農園では、地域の小学3年生を対象に、大豆の播種から収穫までの学習田を令和2年度から設置し、食育活動を行っています。大豆を説明するにあたっては、「みんなが食べる納豆や豆腐は、1年以上前に農家さんが1年かけて栽培した大豆からできている食べ物だから大事にしてほしい」と伝えているそうです。

小学3年生への大豆播種機の説明

これからの目標

藤瀨農園では、これからも農地集積を図り、土地利用型作物で30haの栽培面積を目標とされています。特に、大豆は米の転作作物として位置づけられており、これからも基礎的な栽培管理の徹底、昨今の気象変動への対応を行い、さらなる単収の増加、安定した生産を目指しておられます。嘉島町は県内でも土地利用型作物の栽培が盛んな地域であり、地域の担い手として農地を守り、国の自給率向上に貢献していきたいと考えておられます。

(紹介:県央広域本部 上益城地域振興局 農業普及・振興課)

<プロフィール>
株式会社藤瀨農園

経営概要(品目ごとの栽培面積(令和5年))

◯大豆 20.5ha
◯水稲 4.5ha
◯麦 30ha
◯ミニトマト 95a

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