こだわっとる農

きゅうり、水稲

宇土市 歴史あるきゅうり産地の新たな挑戦

宇土市 芥川 貴司さん

はじめに

私は、宇土市走潟町できゅうり36a、水稲120aを栽培しています。走潟町は全国的にも歴史のあるきゅうりの産地となっています。古くは、米や麦などが主要作物でしたが、新たな品目として昭和初期から露地きゅうりが栽培されたことが始まりだといわれています。
就農のきっかけは結婚でした。妻の実家が農家で、後継者がいなかったため、思い切って農業の世界に飛び込むことにしました。それまで農業の経験はなく、右も左もわからない状態でのスタートでしたが、義父に基礎から教えてもらいながら技術や知識の習得に努めました。
きゅうりは販売価格の上下が大きいため、年間を通していかに生産を安定させるかが難しいところであり、腕の見せどころでもあります。そういう意味で作りがいのある作物だと思っています。現在は妻とパート2名と協力し、「安全・安心なきゅうりを生産すること」を大切にしながら、日々作業に励んでいます。

ほ場の様子

栽培へのこだわり

1.天敵の利用+複合耐病性品種 で化学農薬を抑えた栽培

これまでの病害虫対策は化学農薬による防除が中心でしたが、農薬に抵抗性を持つ害虫が現れる恐れがあるため、害虫対策においては3年前から天敵を利用した栽培を行っています。天敵の種類も商品化されているスワルスキーカブリダニと自然に存在するタバコカスミカメの2種を併用しています。
また、病害対策においては褐斑病、うどんこ病、べと病などの複数の病害に耐病性をもつ複合耐病性の試交品種の検討をしています。試験的に栽培して2年ほどになりますが、病害発生の減少により、化学農薬の散布回数を大きく抑えることができています。以前は最低でも週に1回は化学農薬の散布を行っていましたが、天敵の利用と複合耐病性の試交品種の栽培により散布回数が半分以下になりました。
結果として散布に要する労働時間や費用を抑えることができただ
けでなく、散布によって生じる人や作物へのストレスの軽減にも繋げることができました。また、市場や消費者にも安全・安心なきゅうりを自信を持って提供することができています。

タバコカスミカメ

2.炭酸ガスの施用

厳寒期でハウス内を締め切る時期(11月~3月)は光合成に必要な炭酸ガスが不足するといわれています。そこで厳寒期の生育促進・収量向上を目的に炭酸ガスを施用しています。施用を始めて2年目なので施用の条件など検討中ですが、手応えは感じつつあり、試行錯誤しながら活用していきたいと考えています。

炭酸ガス発生装置

3.みどりクラウドの導入

みどりクラウドは、センサーボックスを設置することで自動的にハウス内の環境を測定、記録するほ場モニタリングシステムです。また、これらの環境データをハウスから離れた場所でも確認できることが最大の特徴です。
みどりクラウドによってスマートフォンを介してハウス内の気温や湿度(飽差)、炭酸ガス濃度などの環境をいつでもどこからでもチェックできるようにしています。またカメラを設置することで定点観測も可能でハウス内の様子を映像としても確認できるため心強いです。これらのICTを駆使しながら作物の管理に役立てていきたいと考えています。

スマートフォンで確認できるハウス内の環境
みどりボックス
定点カメラからのほ場の様子

組織活動

昨年からJA熊本うきのきゅうり部会の部会長を務めており、部会内の天敵の利用促進や所得向上に力を入れていきたいと考えています。昨年は天敵の増殖に必要な植物であるクレオメと金ゴマの種子を全ての部会員に配布し天敵の利用を呼びかけました。前年作では、天敵利用は全体の3割でしたが、今年作では約9割まで利用者が増えており、将来的には利用率100%を目標としています。
また、10aあたりの部会平均収量目標を25tと掲げ、収量向上による所得アップを目指しています。そのために、ICTを活用した統合環境制御などの技術に先進的に取り組み、部会を引っ張っていきたいと考えています。

さいごに

我が家の今後の目標としては耐候性ハウスへの完全切り替えです。走潟町のきゅうり栽培は、竹に油紙を張ったトンネル栽培から、ビニールによるトンネル栽培、竹材による施設栽培、パイプハウスによる連棟ハウス祭場へと推移してきました。また、昭和50年から、耐候性ハウスの導入がいち早く進み、常に先を見据えたきゅうり栽培が行われてきました。我が家も耐候性ハウスへの切り替えを始めており、施設の充実を図ることで、周年栽培を確立していきたいと考えています。
また、ここ数年は極端な気象による影響も大きく、これらへの対応が課題だと考えています。そのため部会全体で、土壌診断による適正施肥や土壌への有機物や土壌改良資材の投入といった土づくりを見直しています。地下部の環境改善と統合環境制御による地上部の環境改善を図ることで、 “自然災害に負けないきゅうり部会”を目指して産地の発展に貢献していきたいと考えています。

プロフィール

芥川貴司さん
●経営概要
ハウスきゅうり 36a
水稲  120a

●主な労働力
夫婦2人

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ご紹介
農家数

現 在

111

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