こだわっとる農

秋冬ニンジン、春ニンジン

菊陽町 社員とともに、成長できる会社へ

菊陽町 (有)大自然ファーム専務取締役 本田 亮希さん

はじめに

私は、菊陽町でニンジンを生産・販売している「大自然ファーム」の専務取締役です。現在は役員、従業員18名で秋冬ニンジンを18ha、春ニンジンを15ha生産しています。
高校卒業後、熊本県庁に入庁しましたが、27歳のときに退職、設立4年目を迎えた(有)大自然ファームに就農しました。

ニンジンの栽培風景

生産へのこだわり

1.土壌微生物が活性化する環境を整えること

ニンジン栽培で一番こだわっていることは、土づくり、特に土壌微生物を活性化させ、循環型農業を確立することです。私たちはニンジンの単作経営で、1年にニンジン2作緑肥1作の栽培を行ってきました。しかし、圃場から持ち出すエネルギーの方が多く、収量及び品質の低下が見られる圃場も出始め、改善の必要性を感じるようになりました。そこで生産性の低い圃場から改善を行うこととし、イネ科→マメ科の緑肥を連続で栽培し、圃場を十分に休ませ地力の回復を図り、それからニンジンを栽培することで、生産性の高い圃場へ復活させることが出来ました。ここでポイントとなるのは、メインの作物はあくまでもニンジンで、ニンジン栽培の作業がおろそかにならないように緑肥の栽培計画を立てることです。
また、プラウにより、70cmの天地返しを行い、作土層が広くなるようにしています。通常のロータリーでの耕起では20cmほどしか作土層がありませんが、天地返しをすることで通常の3倍以上の作土層で栽培することができます。緑肥+天地返しによって土壌物理性が改善し、微生物が活動しやすくなります。
肥料は化学肥料と有機肥料の両方を使用しています。即効性の化学肥料は初期生育のために、緩効性の有機肥料は味を良くするために使用しています。

調整、選別後のニンジン

2.栽培日数

播種してから収穫するまでの栽培日数を標準より長くすることにこだわっています。標準どおりに収穫することも可能ですが、栽培日数を標準よりも10日ほど長くして「熟成」させることで、食味、養分、収量性も向上します。契約栽培がほとんどなので、取引先と一緒にシーズン販売計画を作成し、それを逆算した栽培計画を立てています。

トンネル除去作業風景

法人としてのこだわり

1.社員に対して

経営していく上で重要視していることは、社員が「この会社を選んでよかった」「この会社に生涯を懸けるに値する」と思える会社になることです。先ず給料表を作成しました。これは昇給、昇格基準を提示し、社員一人一人が将来を計画出来るようにすることです。会社としては各社員の生涯賃金も、ある程度計算できるようになり、熊本県での標準的な生涯賃金と比較し、給与水準は適正なのか、他業種以上の給与はどうしたら払えるのか、ということも確認できました。
社員の能力向上のため、社員研修を実施したり、自分の出張に社員を同行させたりしています。そうすることで視界が広がり、社員自身が目標を持ち、モチベーションを上げる機会となります。目標に見合う年収を得るようになるためには、その分利益を上げるように努力しなければなりません。興味を引くことをみつけてそれを伸ばすことが社員に対して重要なことだと感じています。
上げるために、自主性を尊重しています。短期的な作業(収穫、出荷)などは、ほとんど各責任者間での調整で段取りをしてもらいます。私が指示することはほぼありません。なので、私が不在でも通常業務には何の支障も出ません。また、その日やるべき作業が終われば、就業時間前でも退勤可能です。工程ごとに作業責任者を設け、工夫できることはどんどん実行していけるような仕組みにもしています。社員が自分で考え改善していくことで成長し、社員が強くなれば会社も強くなります。

トンネル除去作業風景 
調整前のニンジン

2.コストの最適化

コストを掛けなければ利益は生まれません。そのため、「コスト削減」ではなく、「コストの最適化」を目指しています。ただ単にコストを減らすだけでは、生産性が下がってしまうこともあります。「削減したコストは、より利益を生むところへ移動させる」を常に考え、改善しています。例えば、緑肥の栽培面積は延べ40haと、ニンジンの栽培面積33haより多いですが、ニンジン栽培で、より多くの収益を得てそれを10年、20年と続けるためには必要なコストと思っています。

これから

圃場の生産性を高めることで、面積を拡大することなく売上を伸ばし、利益率を高めることが目標です。

出荷時の様子

プロフィール

本田 亮希さん
●経営概要 秋冬ニンジン18ha、春ニンジン15ha
●従業員数 18名

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ご紹介
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178

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