こだわっとる農

トマト、イチゴ

阿蘇市 阿蘇の大地に、土と共に

山本 誠也さん

はじめに

阿蘇市は、阿蘇カルデラ内に広がる水田地帯とそれを取り囲む高原地帯からなる農業と観光の街です。阿蘇地域に広がる広大な原野に降る雨水は、北部九州の主要な河川の源流となり、又熊本平野の地下水の供給源になっています。
そんな水の国阿蘇の水田地帯で、わが家では、有機JAS合鴨米と夏秋トマト、秋から春のイチゴを、天からの恵みの水をなるべく汚さないように心掛けながら栽培しています。
昨年、私も60歳を過ぎ、トマトとイチゴ経営を息子に移譲しました。

経営形態について

わが家では夏期の涼しい気候を生かしたトマト栽培を行なってきましたが、涼しいとは言え夏場の高温の中では生育スピードが速く、大面積の栽培には無理がありました。 また、台風の襲来も度々あり、安定した経営とは言えませんでした。イチゴ栽培を加えたことにより、トマトの生育期間中にイチゴの育苗と定植。トマトが霜で終わる頃イチゴの出荷開始。また、5月、気温が上がりイチゴの単価が下がる頃にトマトの定植と、年間を通して作業が一定量あるため、雇用労力を効率的に活用でき経営の安定につなげることが出来ました。
またトマトとイチゴはJA系統販売に御世話になっていますが、作る側と食べる人のつながりは希薄です。一方、有機JAS米は、仲間と有限会社「あそ有機農園」を設立し、全国に発送しています。直接取引により阿蘇の自然の素晴らしさ、環境を守ることの大切さを生の声として頂いた事が今に繋がっています。

これまでの取り組み

経営の柱が3本あるので、一つの作業が滞ると大変なことになります。計画的作業は勿論です。
一番重要なことは土づくりだと考えています。イチゴは連作38年、トマトは29年になります。当初、施設園芸の歴史が浅かったわが家では、土壌を維持する技術は未熟でした。特にトマトハウスでは土壌病害の蔓延、砂漠化等、非常に苦慮した時期がありました。しかし基本に立ち返り物理性、化学性、生物性、一つ一つの改善を行いました。

1.物理性の改善
・暗きょ排水
・ハウス周囲U字溝設置
・深耕
・野草の鋤き込み
・転圧栽培
(我が家の作土比重は軽い)
2.化学性の改善
・JA阿蘇土壌分析センターによる
土壌分析に基づいた施肥
(不足を補い、過剰は施さない)
3.生物性の改善
・野草と米ぬか還元太陽熱処理
(野草内で増殖した菌類により生物相が豊かになり線虫抑制効果が大きい)
・化学農薬による土壌消毒をしない

この取組を通じ、地域によって土の性質は違う事と、その中でわが家の土はどうなのかなという気付きがありました。ちなみにわが家の土は水持ちが悪い比重の軽い土壌だと言う事が分かりました。イチゴの品種は「ゆうべに」を栽培していますが、高畝にすると株元が乾燥してカルシウム等の塩基の吸収が阻害され、色むら果の原因になります。そこでローラーで転圧した後に畝立して水持ちを良くしています。トマトもローラーで転圧、畝なしで栽培していますが、夏の高温期でも土壌水分が過不足なくあり、それに伴って塩基も十分に供給され、萎れも起こりません。また、長年鋤き込んできた野草が土壌中に有機体窒素としてあり、 窒素追肥、イチゴは0、トマトは以前と比べると七割減でも生育を見せていて、塩基バランスを重視した施肥設計で効率よく溶出しているのでは、という手応えが有ります。
各地で、硝酸態窒素の地下水汚染が問題になっていますが、わが家では水を汚さない事はもとより、肥料代、農薬代、心配代がかからず、美味しい農産物を生産出来て、この取り組みを始めて非常に良かったと思っています。

今後の取り組み

前述のように昨年、トマトとイチゴの経営を息子夫婦に任せました。さっそく法人化して「次世代の農業」を目指して頑張っているようです。
私は有機JAS米の経営を継続することになりました。稲作は地域農業の基幹作物です。米をつくり、用排水路を活用することが地域環境を守り、阿蘇の豊かな水資源を守る事の実践です。そして、これまで30年間、合鴨米を通じて知り合った全国の皆さんとの絆も大切にしていきたいと思っています。
もう一つ、これまで40年間、夏秋トマトを作ってきた中で無農薬、無化学肥料栽培は不可能だと思ってきました。しかし今回、息子に経営を移譲し、小面積ですが思い切って挑戦してみた結果、課題山積ではありましたが、最後まで有機的栽培を通すことができました。今年は「有機JAS転換中」という表示の申請をする予定です。
来年はいよいよ東京オリ・パラの年です。有機JASやGAPの農産物の流通が盛んになり、その後の流通の世界を変えるのではないかと言われています。今後は地域の、あるいは次世代の為に技術の蓄積に精進して参ります。

プロフィール

山本 誠也さん
●現在の経営概要
・ご本人
水稲(有機JAS 合鴨米) 4.5ha
トマト(有機JAS転換中) 3ha
・山本倫大(誠也さんご子息)
トマト 46a
イチゴ 28a

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