こだわっとる農

柿、クリ、モモ、スモモ

甲佐町 大玉でおいしい「太秋」生産 を目指して!!

甲佐町 上田 一之さん

はじめに

私の住む甲佐町は落葉果樹の産地です。私の家は祖父の代からクリを栽培している果樹農家でした。
しかし、台風が来るとクリの生産量は極端に落ちてしまい、収入が不安定になることが悩みでした。そこで、台風には平棚栽培が有効であることを知り、モモやカキの導入を図ってきました。なかでもカキはこれまでになかったシャキシャキとした食感を持ち、当時は、高単価で取引されていた「太秋」に魅力を感じて、導入を決めました。

生産における心がけ

「大玉で美しくおいしい果実を作り続ける」ために、心がけていることがあります。

1.作業は先に先に行う

「太秋」栽培では、摘蕾(らい)、摘果、病害虫防除、袋掛け、誘引、剪定等のたくさんの管理作業があります。全てが重要な作業であり、適期に適切に行うことで、高品質な果実を生産することができます。作業が遅れてしまうと、高品質な果実生産に影響を及ぼすだけでなく、複合的に生産している他のモモやクリにまで影響を与えるため、天気予報や園地の状況を見極めながら絶対に遅れないように作業を行っています。

適期の摘果で充実した蕾(つぼみ)

2.新しいものを取り入れる

新しい技術や人から勧められたものについては、とにかく取り入れてみるようにしています。例えば、新しい袋資材などの紹介があると、自分の圃場で試作するようにしています。現状よりよくなる可能性のある技術等については、まずやってみて、結果がどうなるのか見るようにしています。聞いただけでは、自分の栽培にあっているかどうか分からないためです。試してみてよければ続ければいいですし、ダメであればやめるようにしています。技術で悩むことがあれば、多くの情報を集め、とにかくやってみることで前に進めると感じています。
現状より良くなる可能性のある技術は、様々なところから入ってきます。「太秋」を専門とする農家はもちろん、農業普及・振興課や全く別の作物を作る農家からの技術も試すことがあります。

3.家庭選果の徹底

家庭選果についても徹底して行い、中途半端な果実を出荷することがないよう気をつけています。
もし、選果が十分にされなかった果実が出荷され、クレームを受けると、上益城の「太秋」ブランドに大きな傷がつきます。ブランド作りは時間がかかりますが、信用を失うのは一瞬です。そのため、自宅の選果台を使って夫婦でしっかりとした選果を行います。

夫婦でしっかり選果をした果実

栽培のこだわり

私の栽培のこだわりは「基本的な管理を確実に早めに行っていく」ことです。

1.気象災害への備え

太秋では、収穫までに台風のシーズンが来ます。我が家は台風や強風対策として棚栽培を導入しています。しかし棚栽培の太秋とは言えど、日頃から防風ネットの補修や枝の誘引、台風時のらせん杭の準備をしておかなければ急な気象災害には対応できません。
そのため、毎日の作業の中でも気象災害を意識しながら作業を行っています。

台風前のらせん杭の様子

2.病害対策

「太秋」の栽培では、炭そ病という病気が大きな問題になります。
この病気は、雨により伝染し、風によるキズなどから樹に侵入します。その結果、枝が萎縮したり果実に病気がでてしまい、商品にならなくなってしまいます。そのため、私は2つの対策を行っています。
ひとつは降雨前の薬剤散布です。病気は予防が基本ですので、まとまった雨や台風前にはしっかりと薬剤を散布しています。また、強い降雨後や台風後も必要に応じて薬剤を散布しています。農薬も病原菌が抵抗性を持たなように薬剤のローテーション散布には気を配っています。
もうひとつは、病気を樹の主枝や主幹に侵入させない管理です。徒長枝を切る際は、3芽から4芽残すようにしています。そうすることで、傷口から炭そ病が入った場合でも、菌は切り残した徒長枝で止まり、主枝や主幹には入りにくくなります。3芽を残した徒長枝は、冬のせん定時に基から切り、傷口には保護剤を塗布するようにしています。

重要病害となっている炭そ病
3芽残した徒長枝

今後について

近年は、短時間に豪雨を記録したり、夏場の異常高温、干ばつなどが問題になってきています。そのため、気候変動の影響を受けにくい栽培技術や品種選定が必要になってきます。
また、上益城地域には定年後新たに「太秋」の栽培を始める農家もいます。しかしながら、このような方のなかには、栽培技術が十分伝わっていない現状があります。
そのため、私は定年後新規に栽培を始めた農家ともコミュニケーションをとりながら、手本になるような園地管理を行い、上益城地域が今以上に「太秋」の産地として注目されるようにしていきたいと常に心がけています。

プロフィール

上田 一之さん
●経営概要
クリ   : 60a
モモ   : 32a
スモモ  : 3a
柿「太秋」: 8a
●家族構成
●主な労働力
本人、妻 等

このページをシェアする

ご紹介
農家数

現 在

180

new

2024年11月

みかん

和水町 ~果物であり嗜好品であるみかんは、 おいしくなければならない~ 持丸園のこだわりミカン作り

こだわっとる農

わさもんピックアップ農家紹介

2024年9月

トルコギキョウ、ホオズキ

あさぎり町 椎葉 拳斗 さん

フレッシュな人たち

熊本で活躍する若手農家の皆さんをご紹介いたします!

new

2024年11月

みかん

和水町 ~果物であり嗜好品であるみかんは、 おいしくなければならない~ 持丸園のこだわりミカン作り

こだわっとる農

まじめに、正直に、一生懸命に、 長年農業に携わり、こだわりの農業を実践する農家の皆さんをご紹介いたします!

2024年9月

葉たばこ、米(うるち、もち)

玉名市 紅一点!地域営農法人を担って

キラッと輝く女性たち

県内各地で活躍されている女性農業者やグループを紹介するコーナーです。農業についてだけでなく、その人となり、趣味や暮らし、地域の活動を楽しんでいる様子にもスポットを当てています。

new

2024年11月

主計 明美 さん

山鹿市 秋の幸福一口(ひとくち)栗おはぎ

くまもとふるさと食の名人

熊本の郷土料理や伝統料理の、卓越した知識や技術を有し、伝承活動に取り組んでいる方をご紹介します。