当法人を設立したのは平成27年11月です。法人名の「あまくさ夢有ランド」には「天草の地に夢の有る農業を展開する理想郷を作り、全国に発信しよう!」との思いが込められています。
組合員は185名で、運営に関わる構成員は3名の理事(常勤)に運営委員6名と監事2名を加えた11名です。農業生産には2名の理事(オペレーター)を核に数人の臨時雇用者が当たっています。
現在の経営面積は670a余りで、そのほとんどに稲(早期作、WCS)を作付けています。また、水稲育苗ハウスを所有し、法人の作付用以外にも近隣農家の育苗を受託しています。稲の裏作として、カボチャ(200a)、スイートコーン(20a)、エゴマ(油用)(50a)を作付け、収益向上を進めています。
こだわっとる農
水稲、カボチャ、エゴマ、スイートコーン
天草市 天草下津浦に夢有る農業を!
農事組合法人あまくさ夢有ランド 代表 鏡 幸一さん
はじめに
「このまま農地が荒れるのを見てはいられない。この下津浦の農業が将来にわたって維持・発展するように、地域農業を担うグループを作ろう!」。そう考え、私たちが地域内の話し合い活動を始めたのは平成26年の春ごろです。
それから5年、私たちが設立した「農事組合法人あまくさ夢有ランド」は地区内の預け入れ希望農地を集め、早期米とWCSを柱に、高収益品目の導入を進めながら、地区農地の荒廃を食い止め得る存在になろうとしているところです。
地区農業の概要
当法人がある天草市有明町下津浦地区は、天草上島「有明リップルランド」近くの川つたいにある、総農地面積45haほどの集落です。地区の下流域ほ場整備がなされていますが、上流域には小区画田が多く、耕作放棄地も増えています。水田の主要品目は水稲(早期作)で、裏作作付率は低く、農業の生産性は高くありません。
法人の概要
新規品目生産・加工への挑戦
稲の裏作品目のうち、現在、特に力を入れているのは、カボチャとエゴマです。
このうち、カボチャの生産は軌道に乗りつつあり、栽培面積も拡大しているところですが、収量の確保が課題です。今年は農業普及・振興課の技術指導を受けながら、秋作カボチャの栽培に取り組み、良質多収を目指しています。
また、エゴマについては、加工(エゴマ油)による高収益化を目標に、3年前から試作的に取り組んでいます。搾油、瓶詰め等の加工を氷川町の製油業者に委託し、地元の物産館で販売しています。売れ行きは順調ですが収益向上のためには、播種期や排水対策、除草等の技術改善による収量の増加が必要です。
スマート農業技術の導入
当法人は担い手不足や高齢化に悩む当地区農業の省力化のため、水稲防除用に農業用ドローン1機を本年6月に導入しました。同時に、組合員外を含む地区内の農家から広く防除を受託し、約15haの水稲を対象に3回の防除を実施しました。組合員外も含めた理由は、「各農家が出来るだけ長く農業を続け、地区全体の農地保全が継続されるようにしたい」と考えたからです。
農業用ドローンに限らず、スマート農業技術は担い手の減少や高齢化に悩む地域も積極的に導入を検討すべき技術だと思います。今後も、利用可能な技術が開発されるたびに導入を検討していきます。
農業体験希望者の受け入れ
地域営農法人にとって、法人や地域・農業のことを多くの人に知ってもらい、愛着を持ってもらうことは、農産物や加工品を有利に販売したり、新たな就農希望者を募る上で、何よりも大切なことだと思います。
そのような思いから、当法人は4年前に「くまもと版ふるさとワーキングホリデー」の受入企業に登録し、これまでに毎年2~3名、述べ9名の農業体験希望者を受け入れ、実際の農作業、農家生活を体験してもらいました。参加者からは「農業を理解する良い機会になった」、「充実した生活体験をした」等の感想を多く頂いています。中には毎年のように参加するリピーターもいらっしゃいます。受け入れる当方も活力が増す思いですし、全てが法人の将来の発展に結びつけば幸いだと思っています。
大切なのはコミュニケーション
法人の取組み内容を紹介してきましたが、私たちが最も大切にしていることは構成員間のコミュニケーションです。
法人発足以来、毎週月曜の理事会と毎月定例の役員会を欠かさずに実施しています。
打ち合わせ内容の大半は作付計画や直近の農作業の段取りに関することですが、他にも地域の行事、懸案事項、法人のイベント等も話し合い、議論も活発です。そして、何よりも幸いなことは、打ち合わせの雰囲気が前向きで発展的なことです。「難しい」とか「出来ない」よりも、「こうすればいいんじゃないか?」、「よし、これで行こう!」といった発言が多く、それが現在の法人の取組みに繋がっていると思います。
今後に向けて
当法人は、経営の第一歩を踏み出したばかりです。
様々な工夫を凝らしてはいますが、集積したほ場はまだ少なく、しかも地区内に点在していて、農作業の効率化は思うように進んでいません。常勤雇用を望んでも給与分の収益確保もままなりません。
しかし、ここで歩みを止めるわけにはいきません。
今の私たちの活動を見て、新たな農地の預け入れ希望は増えつつあります。また、新たな取り組みや営農改善の効果も確実に出てきています。一つ一つを前向きに進めていけば、やがて常勤を雇い入れ、それが、また次のステップアップにつながると思います。
「常に前向きに」。それが私たちの「こだわり」です。
プロフィール
(農)あまくさ夢有ランド
○経営概要
水稲(WCS含む) 670a
カボチャ 200a
エゴマ 50a
スイートコーン 20a
○構成員(役員)
11人