(農)高月
●経営概要
水稲 500a
サトイモ 30a
ニンニク 30a
飼料作物 100a
栗 120a
●構成員
21名
こだわっとる農
水稲、サトイモ、ニンニク、飼料作物、栗
山都町 小さな法人の夢 ~農業ビジョンの実現を目指して~
農事組合法人高月代表 林 千寿さん
地区の概要
私達の住む高月地区は、阿蘇外輪山の南側、山都町清和地域の中央に位置する標高550~600mの中山間地域です。
集落内戸数は戸からなり、そのうち農家戸数は21戸です。
農地について、水田は山に囲まれ傾斜地で、ほ場面積が小さく地区内に点在しており基盤整備が遅れている状況です。一方、畑は大きく2地区に分かれ、第二次構造改善事業(昭和54年)により基盤整備がなされています。
農業者の主な経営は、米・野菜(ピーマン・深ネギ等)・果樹(栗)・畜産を中心とした複合経営が多く、特に畜産は古くから盛んに行われています。
集落営農法人の設立
高月地区は中山間地域の条件不利地とともに、近年農家の高齢化、後継者不足と鳥獣被害(イノシシ・シカ等)の増加により、農地の維持管理が難しくなっています。
この状況を打破するため、平成26年7月に「高月事業推進委員会」を設立し、住民全員での地域農業に対する話合い活動を始めました。JA中央会の集落営農セミナー参加や先進地研修を重ね、集落の農地・担い手に対する課題解決のために「人・農地プラン」を平成27年3月に策定しました。
このプランの具現化に向け、地域の農地は地域で守ることを基本理念に、平成28年4月に19名の農家で「農事組合法人高月」を設立しました。
現在は、水田500a(水稲)、畑160a(里芋30a、ニンニク30a、飼料作物100a)、樹園地120a(栗)を経営するまだまだ小さな法人です。
高月地区農業ビジョンの作成
法人経営を始めて3年目となる平成30年度、高月地区が熊本県中山間地域農業モデル地区支援事業によりモデル地区の指定を受けることになりました。
この事業により再び高月地区で地域農業に対する話合い活動を行い「月いでる里の挑戦~若人に繋げる農地をみんなの力で~」をスローガンに高月地区農業ビジョンが作成されました。
ビジョンでは、「(農)高月」を地域の核となる担い手として位置づけ、①農業で生活できる収入の確保、②若者が多く子供の多い集落、③有害鳥獣の農作物被害の防止、④地域資源を生かした活性化を集落の目指す将来像としています。
法人では、その具体的方策の一つとして、新規作物導入による収益の確保として、本年4月から新たに小ネギの周年栽培を始めます。
小ネギ栽培に向け、地域の空ハウスを活用し単棟ハウス(約20a)を整備し、調整に必要な皮剥ぎ機等も導入しました。
その他、性能アップした田植機や乗用草刈機等の作業効率向上や省力化を図る農業機械の導入も行っています。
法人の目標と夢の実現に向けて
高月地区農業ビジョンを作成する中で法人の目標や地域との関わりがより明確になったと感じています。
今後の法人経営の目標として、地域の農地を守っていくために、施設野菜にも取り組み経営の拡大を目指したいと思います。
また、本年4月に地区内の30代の青年が会社勤めを辞めて地元で農業を始めるために、新規就農者支援研修生(プロコース)として県立農大に入学し、一年間の研修を受講することになりました。
地域に新たな後継者が出来ることは本当に嬉しかったことです。研修を終え来年からは、地域・法人の次期リーダーとして育てていきたいと考えています。
農地・機械・資金の確保だけでは、法人の発展は難しいと思います。若いリーダーを育てることがなりよりも大切なことだし、そのためには法人経営の安定を図るために新たな作物を導入することで売り上げを伸ばさなければだめだと思います。
米プラス施設野菜の導入により経営を拡大することで、法人が高月地区の人達が活躍できる場をつくり農地と集落を守っていきたいと思います。
高月地区では、法人が主体となって毎年、11月に大収穫祭を行っています。地区内外から多くの方々が集まり大賑わいです。
また、高月地区は農村風景を生かした山都町のフットパスコースになっており、法人も協力して参加された方々へのおもてなしを行っています。
これら高月地区を地域外の方々に知っていただくための交流活動も大切に続けていきます。
これからも、あせらず、ゆっくりと地域に合った法人像を目指し、小さな法人の大きな夢の実現に向けて、皆で結束して頑張っていきたいと思います。