こだわっとる農

キュウリ・ミシマサイコ

球磨郡あさぎり町 感動で満ち溢れる農業を目指して~こだわりのキュウリでキュンです~

𦚰﨑 隆介さん・美紀さん

経営の概要・理念

球磨郡あさぎり町は人吉盆地の中央部に位置し、清流球磨川が育む、豊富な水資源を生かした夏秋キュウリ栽培が盛んに行われています。我が家では、キュウリ38aとミシマサイコ(薬用作物)70aを、主に私と妻、従業員一名の3人で経営しています。
私は天草市出身で、実家が農業を営んでいることもあり、いずれは自分も農業をやりたいと考えていました。結婚を機に実家の農業を継ごうとしましたが、ほ場が家から遠いなど、農業経営に不利な条件であったことから、あさぎり町の妻の実家で就農を目指して生活を始めました。妻は農業経験がありませんでしたが、二人で農業をやっていく決意を固め、JAくまの新規就農研修を経て、5年前に営農を開始しました。
我が家では、常に農業を楽しむということを大切にしています。また、たくさんの魅力がある農業で、私たちに関わる全ての人に感動を与え、自らも感動であふれる農業をやりたいとの思いを胸に日々の作業に励んでいます。

栽培へのこだわり

キュウリは、他の野菜に比べて根の酸素要求量が高い品目です。そのため、キュウリ根域への酸素供給には特に力を入れています。ほ場には酸素ボンベと酸素水生成装置を設置し、かん水時に供給しています。また、梅雨時期や秋雨時期にほ場が冠水した際には、早急に排水し、酸素供給剤を施用しています。
近年は異常気象に悩まされることが多く、今年8月の長雨でも、出荷量が激減し、とても苦戦しました。雨が続く日々でしたが、キュウリのために何ができるかを考え、常にほ場でキュウリと向き合っていました。わずかな天候回復を逃さず、葉面散布や病害虫防除を実施したおかげで、病害の発生も少なく、出荷量も順調に回復してきています。
栽培する上では、便利な機械や資材、良い技術が色々ありますが、一番大切なことは、植物をよく観察し、どれだけ可愛がってあげるかだと考えています

ほ場に設置している酸素ボンベと酸素水生成装置「OXY+agri」

土づくりへのこだわり

米ぬか還元消毒を行っている様子

キュウリの連作障害対策として、一般的には化学農薬(土壌くん蒸剤)を用いた土壌消毒を行いますが、土壌の有用微生物も死滅し、環境負荷が大きいことや、作業上危険を伴うため、出来る限り使用を避けたいと考えています。そこで我が家では、定植時期を遅らせることでハウス内の温度を確保し、米ぬかを用いた土壌還元消毒に取り組んでいます。
また、キュウリの作付けがない冬季にはムギなどの緑肥作物を栽培し、土質の改善や減肥にもつながっています。その他にも、土壌への有用微生物の施用などにも力を入れています。
このような土づくりへの取組により、更なる収量向上に結び付けていきたいと思います。

最新技術の活用

今の時代は経験や勘だけに頼った農業経営ではなく、最新技術も大いに活用していくべきだと考えています。
我が家では就農当初から、球磨地域ではまだ事例の少ない環境モニタリングシステムを導入しています。温度や湿度、水分管理をデータで捉え、長年培われてきた地域の篤農家からの感覚的な教えを参考に、自ら分析して栽培管理に役立てています。栽培環境を視覚化したことで、栽培管理の最適化、効率化につながったのはもちろん、従業員に対する技術指導にも役立っています。
また、従業員とはスマートフォンのカレンダーアプリ「タイムツリー」を活用し、作業履歴を共有しています。農薬の適正利用は当たり前のことですが、しっかり記録を付けて情報共有することで、消費者に胸を張って販売できる農産物生産を心がけています。
今後も意欲的に最新技術に関する情報を収集し、コスト低減も図りながら、様々な技術の導入を検討していきたいと考えています。

環境モニタリングシステム
「みどりクラウド」

今後の展望

最近は、子育て世代の女性パートさんと一緒に作業をすることが増えてきました。朝夕家事で忙しいパートさんが、昼間に何か作業できないかと考え、近々キュウリの加工にも取り組みたいと考えています。
また、より鮮度の高い商品を消費者に提供するために、いずれは自ら販売を行いたいと考えています。その一歩として、最近はスマートフォンを活用したオンラインマルシェやSNSでのPR活動等にも力を入れています。より近い距離で消費者と関わり、我が家の農産物への意見や感想を聞いて、品質向上や消費者ニーズに応じた商品の提供に結び付けていきたいです。
我が家の将来的な構想としては、球磨郡だけでなく、天草でも農地を取得し、コンビニエンスストアのようなフランチャイズ経営を農業で展開したいです。地域の特色に応じた農産物生産により、消費者に多彩な商品を提供していきたいと考えています。
我が家は親からの経営移譲ではなく、自ら土地、資材等を取得しての一からのスタートでした。試行錯誤の日々でしたが、周囲の人の力も借りて今があります。今後は、球磨郡で農業をしたいと思えるような農業スタイルを確立し、新規就農者の窓口となる役割も果たすことで、地域貢献していきたいと考えています。さらに、自ら稼げる農業を実現することで、地域農業の発展に寄与していきたいです。

(紹介:球磨農業普及・振興課)

𦚰﨑 隆介さん・美紀さん

 

〇経営概要
キュウリ38a、ミシマサイコ70a

〇主な労働力
本人、妻、従業員1名

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