こだわっとる農

柚子、たけのこ、有害鳥獣害駆除

山都町 祖父から継いだ柚子畑を守りたい~若手は少ないけど、頑張る!~

丸田 晃輔さん

私が育った町

山都町は、九州のほぼ中央に位置し、阿蘇外輪山と九州山地の緑に囲まれた自然豊かな地域です。柚子は、標高300~500mの山間地域である矢部地区で栽培されています。昼夜の気温差が大きく、品質の良い果実が生産できることから、県内一の産地となっています。中でも私が住む柚木地区は、柚子にまつわる言い伝えが残る、歴史ある柚子集落です。平安時代に弘法大師がこの地に立ち寄り、柚子の木に大黒様を彫って残したそうです。柚子は柚木地区で古くから親しまれ、栽培されてきました。私も幼いころから柚子を栽培する祖父を見て育ったため、高校と県立農業大学校で農業を学び、祖父が守ってきた柚子畑を引き継いだのは自然の流れだったと思います。

完着柚子着果の様子

卒業後研修、そして就農

県立農大の果樹コースで学んだのち、叔父の紹介で大分県の柚子加工会社で2年間研修を受けました。この会社は山都町の柚子を高く評価してくださっており、柚子胡椒をはじめ、様々な加工品を製造し全国に販売されています。全国規模のコンビニエンスストアで販売されている加工品にも山都町の柚子が使われています。柚子は多くが加工用になりますから、加工会社に求められる柚子がどんなものか、収穫した柚子がどう処理されて加工品になっていくのか、自分の目で見て学べたのは本当に良かったと思います。
研修の後、祖父の柚子畑で就農しました。引き継いだのは30a~40a。現在就農7年目ですが、少しづつ面積を広げて、2haほどになりました。園地が点在しているので、幼木が大きくなり収量が上がったら集約する予定です。数年前に祖父が亡くなり、日々の作業は一人で行っているため、条件の良い場所で効率よく作りたいと考えています。

熟練生産者から学ぶこと

サポートしてくれる下田さん

柚子の1年の始まりはせん定です。せん定の仕方は、その年の成り具合や果実品質に大きく影響します。しかし、経験の浅い私はまだ技術が十分でなく、悩みつつ作業をしています。そんな私を技術面でサポートしてくれているのが、同じ集落で長年柚子栽培をされている下田さんです。柚子栽培の師匠である下田さんは、柚子を愛し、産地の発展のため長年にわたって柚子生産者を牽引してこられました。高齢になられた今でも時間があれば畑に出て、観察されています。1日でも早く下田さんに追いつくことができるように、日々の作業を怠らず頑張りたいと思います。また、JA柚子部会で共販しているため、出荷始めに目ならしを兼ねて部会員が集まって共同選果します。共同作業の中で、部会の皆さんからアドバイスをもらったり、他の方が出荷された果実を見て、自分の甘さを認識することもあります。たくさんの方から刺激をいただいてここまでこれました。

共同選果の様子

達成感を糧に

せん定、摘蕾(てきらい)、摘果、防除、草刈り…作業は続きます。中でも夏場の草刈りや防除は体力を消耗します。大変な作業が多いですが、柚子栽培の醍醐味は何といっても収穫です。収穫は9月の青柚子から始まり、完着柚子の12月まで続きます。柚子は他の柑橘類と比べて、太いトゲが多く収穫作業の妨げになります。果実にトゲが刺さると腐敗の原因になるため、デリケートに扱わないといけません。また、収穫袋一杯になるとかなりの重量です。それでも、やっぱり収穫は楽しい!たわわに実った黄色い果実が全て収穫され、無くなった時の達成感は、シーズン通して作業した生産者にしか味わえないと思います。そしてその達成感は翌年産へのモチベーションにも繋がります。

選果後の箱詰め
選果機による階級選別

将来に向けて

収穫後の選果は、最初の目均しを除き、それぞれの生産者で行います。私のところでは自前の選果機がないのでJAの選果機を使っています。今の目標は、自分の選果場を建て選果機を入れることです。柚子を専業にする若手生産者が近くにいないのは寂しいですが、他地域の柑橘生産者と情報交換しながらお互いの士気を高めあっています。私に柚子畑を譲ってくれた祖父のため、助けてくれる先輩生産者へ感謝の気持ちを伝えるため、そして山都町の柚子を待っていてくださる消費者のためにも、楽しく柚子栽培を続けていきたいと思います。

丸田 晃輔さん

◯経営概要
柚子2ha、たけのこ10a
有害鳥獣害駆除

◯趣味
釣り、ドライブ

◯主な労働力
本人 1人

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