(農)碧水では阿蘇の基盤整備された農地で、水稲や大麦、ソバ、飼料作物などを栽培されています。地区内には、土地を所有しているものの自分たちで管理できない人もおられるため、法人で管理しながら地域農業を維持しています。
農家同士が互いに協力しながら農業を営む第一歩として、法人設立1年目に共同育苗を始めています。今までは個人作業だったため、一人一人の負担が大きく感じられていましたが、共同で行うことで作業の効率化や均一な苗が図られています。また、苗並び機を導入しており、作業負担の軽減にも取り組まれています。共同育苗は、「持続的な農業」と「地域コミュニティの場」として有効な手段と考えられています。
こだわっとる農
主食用米、大麦、飼料用作物、WCSなど
阿蘇市 笑顔で農業を営むために~地域でつないで未来へつなぐ~
農事組合法人 碧水(へきすい)
農事組合法人 碧水の誕生の経緯
阿蘇市蔵原地区は、阿蘇北外輪山と阿蘇五岳の山々に囲まれ、阿蘇の豊富な湧水を活用した農業が営まれています。阿蘇の中でも土地条件の良い蔵原地区ですが、農家の高齢化や鳥獣害対策など、個人では太刀打ちできない課題がありました。「地域の農地は地域で守っていきたい」という想いから、平成30年7月に農事組合法人碧水(以下、(農)碧水)が設立されました。設立当初は27戸で約66haを集積しており、現在では74haまで拡大しています。
また、個々の農家が集まった組織が上手く機能するように、設立当初から組織内に5部門を設置。現在では、総務部、生産・販売部、広報・企画部の3つの専門部に再編、それぞれの活動について、定例会や年に一度の通常総会、広報紙の発刊で活動の報告、情報の共有を行いながら法人活動の意識向上を図られています。
阿蘇の農業を守る
新規作物導入に挑戦
地域営農法人の新たな取組みとして、野菜等高収益作物の導入に挑戦しています。品目の選定から出荷先まで構成員同士で話し合い、管理などの作業体系を考慮し作付けを行っています。これまで、白菜や里芋、スイートコーンやヒマワリなど、様々な品目を試していましたが、初めて栽培する品目で、慣れない作業に苦戦されていました。しかし、みんなで協力しながら立派に育った野菜や花を出荷できた喜びは大きく、新たな法人運営の第一歩として、新規作物導入に対する期待感が高まっています。収穫物は市場や飲食店、地元の道の駅や阿蘇の特産品が並ぶネットショップ「ASOMO」での販売など、販路の新規開拓も積極的に行っています。
「なでしこ会」の取組み
(農)碧水は構成員内の女性で構成された「なでしこ会」が活動しており、主に収穫物の加工や販売会、郷土料理の伝承を行っています。令和4年11月8日には、「ASO草原フェスティバル」が開催され、なでしこ会は法人で収穫した新米ご飯とのっぺ汁のセットを販売しました。作物を作るだけでなく、調理して販売する取り組みは、なでしこ会を組織する同法人の強みです。実際に、対面販売をすることで、お客様から直接食の感想を聞くことができ、それを需要に応じた販売戦略に役立てています。
また、なでしこ会では地元高校から依頼を受け、入学・卒業式用のコサージュ作りを行っています。「高校生が育てた花を丁寧に束ね、一生の思い出になるよう心を込めて作ったコサージュが、新入・卒業生の胸に飾られるのを見ると、胸が熱くなる」と話されていました。
地元の人を集めた収穫祭
地域交流の一環として、令和4年11月3日(毎年文化の日)に収穫祭を行いました。地元では「夜渡(よど)祭」と呼んでおり、幅広い年代の方々を集め、新米や豚汁など様々な料理を振舞っています。祭りでは、新米4品種の食べ比べを行い、一般の方が好む品種や食味への評価をいただける機会としています。また、ピタリと品種を的中させた方に新米をプレゼントするイベントも行っています。夜渡祭では大人から子どもまで大盛り上がりで、笑顔の絶えない祭りとなりました。
地域とのつながりを通して、「農業ってこんなに楽しいんだ!」と思ってもらえるよう活動を行いながら、未来の若手農業者の確保・育成に努めていきます。
~笑顔を守り続ける地域営農法人を目指して~
(紹介:阿蘇地域振興局 農業普及・振興課)
農事組合法人 碧水
◯理念
地域(蔵原)の誰もが主役であり、主体的に考え行動をする。
地域(蔵原)を愛し、人との協同により思いやりの心を大切にする。
地域(蔵原)が後世にわたり誇りに思える地域づくりを行う。
◯構成員 27戸(理事6名)
◯経営面積 73.9ha
◯主要品目 主食用米、大麦、飼料用作物、WCS等