こだわっとる農

花き専作

宇城市 経験とデータを活用して、仲間とともに歩む。

浦川 洋光さん

宇城市三角町戸馳島について

戸馳島は面積694km²、戦前から草花産地として栄えました。昭和59年に洋ラン農家19名で「五蘭塾」を結成、その後、平成2年に、宿根カスミソウ農家を中心に、「花倶楽部」が結成されています。
(参考:H17.3熊本県園芸生産流通課)

父が洋ラン栽培開始

35年ほど前、ちょうど私が生まれる頃に、父は五蘭塾に加入し、洋ラン栽培を開始しました。それまでの草花栽培と異なり、耐候性ハウスや栽培棚の施設導入、さらに育苗に35年かかり、思い切った投資が必要な品目でした。当時、戸馳地域は洋ランに沸いており、20数軒の洋ラン農家が誕生しました。

我が家の栽培状況(父)(30年ほど前)

熊本農業高校から東京農大短大部へ進学、大学卒業後2年間の洋ラン研修の後、実家に就農

中学卒業後は、熊本農業高校園芸科学科花き専攻に進学しました。そこで、学んだことをさらに深めるために、東京農業大学短期大学部で、花き(スイトピー)の鮮度保持について、学友とともに学びました。このころに、数字で測る面白さを覚えた気がします。その後、2年間、洋ランの育苗農家で研修を受け、就農しました。

大学時代のスイトピー生育調査

研修終了後は実家に帰り、洋ランと宿根カスミソウを栽培

研修終了後は、実家に帰り花き栽培に取り組むこととなりました。就農当時は洋ラン(エピデンドラム)を中心とした経営でしたが、時代の移り変わりとともに、面積を拡大するとともに、洋ランを減らし、宿根カスミソウ栽培へ転換しました。

宿根カスミソウ部会(花倶楽部)に加入

宿根カスミソウ栽培では、これまでの洋ラン部会「五蘭塾」に加えて、花俱楽部に加入し、勉強会や現地検討会、市場研修に積極的に参加しました。若手が少ない中で、20代の就農者はとても大事にされました。

「染カスミソウ」に出会う~加工部会加入

ある時、花き集荷所に出してあった宿根カスミソウの中で、「染カスミソウ」に出会いました。見た瞬間に「これはいけるぞ」と直感的に思い、宿根カスミソウ加工部に加入することとなりました。早速、加工部長に就任し、花俱楽部役員会や役員研修に出席し、交流範囲が広まりました。また、染色液の処理時間と湿度の関係など、何回もデータを取り、その結果をお互いに研究し合いました。そのことで、全体のレベルが飛躍的に上がった気がします。

染カスミソウの開花

熊本県品評会農林水産大臣賞受賞

令和4年(2022年)221日、県庁新館で開催された「熊本県花き品評会」で農林水産大臣賞を受賞しました。出品は黄色の染カスミソウです。この結果は、宇城市広報誌「広報うき」やJA広報誌にも掲載されました。宇城地域の宿根カスミソウでは初めての農林水産大臣賞受賞ということで、非常に話題になりました。

県花き品評会農林水産大臣賞受賞

LED防蛾灯導入

近年、夏の暑さが激しくなり、それに伴い害虫の生育スピードが早まっています。さらに、害虫に殺虫剤の抵抗性が付いてしまうため、今までの殺虫剤ではなかなか殺虫効果が上がりません。そこで、新たな対策として、光防除(LED防蛾灯)に取り組みました。これは、チョウ目(チョウの仲間)のみの防除法ではありますが、宿根カスミソウ農家の1/3程度(14戸)が取り組んでいます。今年度の実績をまとめ、さらに、導入拡大を進めていく予定です。

LED防蛾灯導入(R4年度)

夏の高温対策としての大苗定植の展示ほ実施

毎年、夏は暑いのですが、特にここ数年は最高気温が35℃以上の真夏日が連続し、夜の最低気温も25℃を超す熱帯夜が8月のお盆過ぎまで続いています。限られた面積で最高の収益を上げるためには、通常より2週間ほど早めの7月下旬から10月上旬まで定植期間を長くする方が、収穫期間も長く、作業ピークもなだらかになります。しかし、そのためには暑い中で定植する必要があり、苗が高温に耐えきらず枯れたり、生育が止まったりしています。その解決策として、7月下旬から8月上旬の定植では通常より大きい苗で定植する試験に取り組んでいます。

大苗生育調査の様子(R4年度)

仲間とともに

これらのことは、部会の仲間と情報を共有し、お互いに教え合いながら進めていきます。特に市場研修や、現地検討会ではお互いに疑問に思うことが共通にあり、新しい技術は、うまくいくことも、そうでないことも共有しています。

これから~仲間とともに(市場研修)

まとめ-私の三つのこだわり-

①品質を追い求めるために、経験に加えて数字を活用
最高の品質を求めるために、これまでは、「経験を重ね、見て覚える。」手法から、それに加えて、数値を測ることや、電気的に測るセンサー、あるいは画像などを用いて、わかりやすく記録することを大切にしています。

②気候変動に対応した新技術の導入
近年、気候の変動幅が大きく、前年と同じ日程の作業では、作物の状態とマッチしません。暑いときは暑いように、寒いときは寒いように臨機応変に対応を変える必要があります。そのためにも、新しい技術は導入を検討して、必要な場合は、積極的に使うようにしています。

③仲間を大切に
部会活動は仲間の存在が重要です。販売力強化はもちろんですが、勉強会で種苗会社の話を聞くことや、現地検討会でお互いのハウスを見ながら、新しい気づきも大切と考えています。

 

(紹介:県央広域本部 宇城地域振興局 農業普及・振興課)

 

浦川 洋光さん

◯経営概要
花き専作
◯家族構成
3人
◯主な労働力
父、母、本人

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183

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