【Sun】

Vitamin Table 〜第10回 ほうれんそうのおはなし〜

冬の野菜といえば、大根やかぶ、白菜などの淡色(色の薄い)野菜が多い中、冬に旬を迎え「冬葉」とも呼ばれている緑黄色野菜があります。今回は、うまみと栄養価が高い緑黄色野菜の王様「ほうれんそう」をご紹介します。

ほうれんそうの生まれ故郷は?

原産地は西アジア(現在のイラン付近)で、イスラム教徒によって7世紀には中国へ、11世紀にはヨーロッパへ伝わったとの記録が残っています。日本には16世紀ごろに東洋種が入り、19世紀半ばの江戸末期に、フランスから西洋種が入ったといわれています。

東洋種と西洋種、今の主流は交配種…

東洋種=葉先がとがって葉が薄く切れ込みが深い
西洋種=葉先が丸く肉厚で軸が太い
交配種=甘みの強い東洋種と育てやすい西洋種をかけ合わせた中間的な特徴

ほうれんそうの「旬」って

ビタミンCや鉄が多く、うまみが強いのは栽培期間が長く、寒さにあたって甘味を増した「冬」。「旬」に食べてこそ本来の栄養や美味しさを味わえるといえます。
ほうれんそうの葉や根の生育は15~20℃が適温、日が長くて暑い熊本で、平坦地では6~10月頃は厳しい栽培も、山都町等の中山間地域や標高600~1000mの阿蘇地方では夏の冷涼な気候を生かして栽培。生産者の地道な努力と高度な技術に支えられ、周年出荷されています。

有数の産地、阿蘇へ…

井正恵さん

椎茸とほうれんそう農家を営むご両親の元で就農して14年になる井正恵さん(南小国町)を訪ねました。就農当初は、種を播くところからお父様に教わりながらだったほうれんそう栽培ですが、10年目くらいから自分ひとりでするようになったと話されます。標高差のある段地に建つ35棟のハウスを、ほぼ一人で栽培管理しています。効率的に周年栽培するために、播いて育てて、収穫して、土づくりをしては、また播いて…連作障害を防ぐために5月~11月には小松菜も組み合わせながら、ほうれんそうの品種も季節の特性によって巧妙に入れ替えて、周年栽培を確立されていました。
栽培管理で一番難しい点を問うと『水の管理です』ときっぱり…。さらには草取り。雑草の種類を見分けながら取る、収穫しつつ草を抜く、結果的には作業効率が上がるんですよ…と。作業効率をいかに上げ、収量を上げていくか、どの品種がどの季節に適合するのか等々、たゆまぬ努力とその探求心は留まるところを知らぬよう…。
『人と同じことはやりたくない』『ここにどんな人が来ても僕のほうれんそうは作れない』と…確固たる信念と覚悟を感じて圃場を後にしました。

朝採りはそん!?

ほうれんそうは、昼間に栄養をため、夜に成長します。そのため朝はクタクタ、収穫には午後2時ごろが良いといわれています。ビタミンCや糖度も高いとのデータも出ています。

ほうれんそうの夏と冬の栄養価の違いとは

ほうれんそうは、旬による栄養価の違いを示した最初の野菜。夏と冬ではビタミンCが約3倍違うことから食品成分表にも表示されています(表1)。

表1 季節によるほうれんそうのビタミン・ミネラル含有量(可食部100gあたり)
出典:「野菜のビタミンとミネラル」辻村卓

選び方

葉の色が鮮やかでツヤがあるもの。

葉先までピンとしていてハリがあるもの。

葉に変色がなく弾力感があるもの。

根の切り口がよく、乾いていないもの。

アクは「茹でこぼし」で解決!

アクの成分シュウ酸は、体にとってマイナスな成分なので、茹でこぼしが必要です。沸騰した湯でさっと茹で、冷水にとります。さらし過ぎは、栄養も風味も損ないますので避けましょう(表2)。

表2 ほうれんそうのビタミンC残存率
このグラフから2分も茹でるとビタミンCの残存率が6割に落ちていることが分かる
出典:女子栄養大学資料

保存の仕方

濡らした新聞紙に包みポリ袋に入れて野菜室へ。根を下にして立てて保存すると持ちがよいといわれています。

受験生のいるご家庭もあるのではと思います。感染症予防や肌のかさつきを防ぐカロテンやビタミンCに加え、造血作用のある葉酸や鉄分も豊富なほうれんそうをたっぷりとって、元気に寒さを乗り越えましょう。

ぱぱっと簡単レシピ

ほうれんそうと卵のココット

<材料1人分>
ほうれんそう 1株
ベーコン 1枚
卵 1個

<作り方>
⑴ほうれんそうはさっと茹でて3㎝幅に、ベーコンは2㎝幅に切る。
⑵ココット皿など耐熱容器に、ほうれんそうをしき、ベーコンを並べて中央に卵を割り入れ、オーブントースターで4~5分焼く。

ほうれんそうの白和え

<材料4人分>
ほうれんそう 1束
厚揚げ 1枚
砂糖 大さじ1
白練りごま 大さじ1
薄口しょうゆ 少々

<作り方>
⑴ほうれんそうはさっと茹で、水気を絞って2㎝幅に切っておく。
⑵厚揚げの周りの茶色部分は切りとり、砂糖、白練りごまをフードプロセッサーに入れてなめらかになるまで回す(すり鉢の場合もなめらかになるまでよくする混ぜる)。
⑶⑴のほうれんそうに薄口しょうゆ少々を混ぜて下味つけ、いただく直前に⑵の衣で和える。

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持田 成子Shigeko Mochida

野菜ソムリエ上級プロ
女子栄養大学生涯学習講師

女子栄養大学在学中に「野菜のビタミン分析」に携わったことがきっかけで野菜ソムリエ資格を取得。「旬の野菜果物びチカラはココロとカラダを元気にする」をテーマに食育やセミナー、レシピ開発など食の周りで活動中。

野菜ソムリエとは

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。野菜・果物の知識を活かし自らの生活に活かす「野菜ソムリエ」、野菜・果物の専門家「野菜ソムリエプロ」、専門家の最上位資格「野菜ソムリエ上級プロ」と、3段階の資格がある。

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