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Vitamin Table 〜第11回 みかんのおはなし〜

前回は、冬の野菜の代表格「ほうれんそう」のパワーをお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。今回は日本の冬の代表的な果物「みかん」の歴史とパワーを紐解きます。
「冬はこたつにみかん」という言葉もあるほど…、1年で1番寒いこの時期にぴったりな果物です。

みかんはどこで生まれたの…

約3000年前、現在のインド・タイ・ミャンマーの周辺とされていますが、最初に栽培を始めたのは中国、約4000年前の中国の栽培史(橘史)に記述があるといわれています。

日本にやってきたのは…

遣唐使・遣隋使による中国大陸との交流により、九州に種々の柑橘が持ちこまれるようになりました。柑橘は種による繁殖植物ではないので色々な失敗を繰り返しながら、肥後の国八代郡高田村(現八代市)で栽培し始められたのが中国の浙江省から伝来した小みかんであったとの説。また、日本書記では、十一代垂仁天皇の御代 田道間守(たじまもり)が垂仁天皇崩御の知らせを聞き、其の皇子景行天皇に、高田村付近で「橘」を献上し、景行天皇が高田の地に植えられたとの説など諸説があるようです。

日本のみかん「橘」のルーツが、八代の高田に!

いずれの説にも登場の「高田みかん」、日本のみかんの原種として古くは朝廷や幕府に献上されていた由緒あるみかんなのです。やがて、この「橘」は1574年伊藤孫衛門が紀州に持ち帰る「小みかん」に、そして紀伊国屋文左衛門の力で普及発展していくという歴史に繋がっていくようです。神話の時代に遡らないといけないほど、柑橘栽培の起源と歴史は古いものなのですね。

熊本県内の産地

熊本市の主産地、河内では天明2年(1782年)に、領主牛島七郎左衛門橘光基が小みかん栽培を奨励したのがはじまり、昭和2年(1927年)県立果樹実験場(現在の熊本県果樹研究所)の設置で、発展。
その後、玉名、宇城、水俣・葦北、天草…と、県内の温暖な海沿いの傾斜地でまぶしい太陽浴びながら育っています。

いろいろな品種をリレーして…

生産量・作付面積ともに全国4位を誇るみかん王国、熊本県では6月~9月にかけてハウスみかん、それ以降は年間を通して多種多様な露地みかんが10月~2月まで次々に出荷されています。
〈極早生〉肥のあかり・豊福・肥のあけぼの→〈早生〉肥のあすか・木村早生・宮川早生・肥後早生・興津→〈晩生〉青島系と、品種のリレーが続きます。
熊本県で育成された品種には、豊福、肥のあけぼの、肥のさやか、肥のあすか、肥のあかり、肥のみらいがあり、そしてこれから普及を目指す一番新しい品種「EC11」があります。

主な栄養と機能性

ビタミンCが豊富で、美肌づくりや免疫力を高め、風邪予防にも役立ちます。
カロテンはトマトの約2倍、100g中1000μgも含まれ、皮膚や粘膜を丈夫に。
カリウムはナトリウムとともに体内の水分を調整し、血圧を正常に保つ働きを。
ビタミンPは白い薄皮部分に含まれ、血管壁を丈夫に、動脈硬化を予防する効果があります。

食べるときは、薄皮ごとですか?それとも果肉のみですか?

薄皮100gあたりのカリウム含有量は274㎎、果肉100gあたりは115㎎です。みかん1個で比べると、1個食べたときに口に入るカリウムの量は薄皮ごと食べると97.8㎎、果肉だけだと、87.4㎎。つまり薄皮ごと食べるほうが約1.1倍多く摂取できるのです。
薄皮は食物繊維やビタミンPの摂取源でもあるのです。是非薄皮ごといただきしょう。

話題の機能性成分、オレンジ色の色素βクリプトキサンチンとは…

カロチノイド系色素の一種。柑橘類に含まれ、特に温州みかんには豊富です。
みかんを食べれば食べるほど体内に蓄積し、血中のβクリプトキサンチン濃度が高い人は様々な生活習慣病のリスクが低いことが判明、1日に3~4個のみかん摂取で効果が期待できると発表されました(三ケ日研究:農研機構果樹研究所)。
抗酸化作用があり、発がん抑制にも期待される成分です。

 

果物は毎日200g(※)食べたい必需品であり、食べる美容液とも言えます。健やかな毎日のために女性も男性もまず1日に2個みかんを食べてみてください。
皮をむくだけで手軽にとれるみかんで、上手にビタミン補給。寒い季節も健やかにお過ごしください。
(※)1日200gは健康な方の場合です。お医者様にかかられている場合はその指示に従ってください。

ぱぱっと簡単レシピ

みかんのコンポート

<材料>
みかん 500g
水 200ml
赤酒 80ml
砂糖 50g
レモン 適量

<作り方>
⑴みかんは皮をむき、人肌程度のお湯につけて白い筋をとる。
⑵ステンレスやホーローの鍋にみかんとレモン以外の材料を入れてひと煮たちさせる。
⑶みかんを加え、煮立ったら紙ふたをして弱火で15分程度コトコト煮る。
⑷粗熱がとれたら冷蔵庫で冷たく冷やす。

みかんのホットスムージー

<材料>
みかん 500g
水 200ml
赤酒 80ml
砂糖 50g
レモン 適量

<作り方>
⑴みかんは皮をむき、人肌程度のお湯につけて白い筋をとる。
⑵ステンレスやホーローの鍋にみかんとレモン以外の材料を入れてひと煮たちさせる。
⑶みかんを加え、煮立ったら紙ふたをして弱火で15分程度コトコト煮る。
⑷粗熱がとれたら冷蔵庫で冷たく冷やす。

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持田 成子Shigeko Mochida

野菜ソムリエ上級プロ
女子栄養大学生涯学習講師

女子栄養大学在学中に「野菜のビタミン分析」に携わったことがきっかけで野菜ソムリエ資格を取得。「旬の野菜果物のチカラはココロとカラダを元気にする」をテーマに食育やセミナー、レシピ開発など食の周りで活動中。

野菜ソムリエとは

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。野菜・果物の知識を活かし自らの生活に活かす「野菜ソムリエ」、野菜・果物の専門家「野菜ソムリエプロ」、専門家の最上位資格「野菜ソムリエ上級プロ」と、3段階の資格がある。

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