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Vitamin Table 〜第35回 レタスのおはなし〜

寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。暦の上ではもうすぐ春…。今月は、春を思わせるふんわり軽くてゆるりっと巻いた「レタス」について紐解きます。

原産地は

地中海沿岸から西アジア。野生種は丸くない立ち性ですが、改良されて様々な品種が生れてきました。日本では、奈良時代に中国から伝播。外葉を描きとって食べることから「掻(か)きちしゃ」と呼ばれていました。現在の玉レタスは、明治時代に欧米から導入され、本格的に栽培が始まったのは1960年代以降のことです。

レタスはなに科の植物?

野菜や果物の仲間は、花を見るとすぐにわかります。レタスの花は、12㎝の菊に似た小さくて黄色の花、香りもかすかに菊に似ているそうです。

多種多様な品種群

「レタス」の仲間はとても多く、様々な種類があります。結球するか、しないかで2つに分けられ、さらに大別すると4つ。「玉レタス(玉萵苣)」「リーフレタス(葉萵苣)」「コスレタス(立ち萵苣)」「ステムレタス(茎萵苣)です。

全国の産地をリレーして周年流通…

春夏作は長野の高原栽培が6割以上、春作は3割が茨城。露地、ハウスでは周年安定栽培・流通しています。熊本県は、全国6位、1位八代地域2位天草地域3位熊本市地域(平成25年度)の出荷量を誇ります。

熊本でのレタス栽培のルーツ、苓北町へ

苓北町は、120以上の島からなる天草諸島のうち、天草下島の北西端に位置し、西は天草灘、北は千々石灘に接し、天草灘に突出した富岡半島は扇状に形成された特徴ある形の町。数百年にわたって天草の中心だったこの地、江戸時代には富岡に代官所が置かれて約270年間天草全土の郡政を治めていたことなどから歴史・文化の史跡が多い町としても知られています。年間の降雨量が比較的少なく、温暖な気候を生かして50年以上もレタス栽培が盛んなところなのです。

苓北レタスの歴史

昭和34年(1959年)に数名の若手生産者によって冬レタス栽培開始、その2年後には長崎県佐世保市の米軍特需として契約栽培が始まったそうです。以降生産方法などの改革や志岐ダムの完成など経ながら栽培面積・収量も順当に伸び、昭和45年(1970)には国の指定産地に…。現在はレタス部会員数65名、作付面積100ヘクタールを超える苓北町の主要農産物に。当初は富岡港から茂木港まで船での出荷でしたが、天草五橋の開通と共に陸送が加わり、今では天草幹線道路の整備で100%陸送での出荷が実現。「れいほくレタス」は品質の高さや安定供給が評価され生協や大手外食産業等と契約を結び、11月~3月出荷のブランドレタスとして進化し続けています。

環境保全型農業の取り組み

町内を案内していただくと一面に広がるレタス畑の中にポールについた黄色い球体が!

その正体は、レタスに寄ってくるハスモンヨトウやオオタバコガの発生を少しでも少なくするための「黄色防蛾灯(黄色ナトリウムランプ)」でした。レタスを防蛾灯で照らすと夜蛾類の行動を抑制し産卵数の減少になり、被害の低減につながるのだそうです。また害虫を誘引吸着する「フェロモントラップ」を町内に数十箇所設置し、1週間に1回害虫の発生状況を調査して農薬散布数の低減にも取り組まれています。このような取り組みが評価され、レタス部会は平成18年度に「環境保全型農業コンクール」で農林水産大臣賞を受賞されています。生産者は全員、熊本県認定エコファーマーでありグリーン農業宣言生産者…。安心安全な美味しさの証拠がここにも伺えました。

部会長の村上勉さん福美さんご夫妻を訪ねて

収穫もピークを迎えている時期にも関わらず快く取材を受けていただいた村上さんのほ場に伺いました。栽培歴は40年…お二人で2ヘクタールのレタス栽培に従事されています。年間6千ケース程のレタスは生協ネットにJAにと出荷されていきます。その1日と1年を伺うと
【1日】午前中、1個づつ収穫してコンテナに→午後自宅作業場で外葉を整理してラップ掛け→箱詰め→出荷する。その合間に消毒等。
【1年】8月頃育苗箱に播種→9月頃定植→11月中旬ごろから収穫開始→3月末から4月初旬の収穫終了まで8~10種の品種をリレーしながら栽培。

高温多湿を嫌うレタス・村上さんは排水対策もあり高畝に土に分解される黒マルチを貼って植え付け、温度調整のためにパオパオ等の不織布をベタかけする工夫もなされていました。お二人が一玉一玉丁寧に収穫なさる熟練した早業を拝見し、栽培にかける熱意と愛情に裏打ちされた品質の高さを感じながらほ場をあとにしました。

栄養や機能性は…

95%が水分で、少量ずつながら、カリウム、カルシウム、βカロテン、ビタミンC、葉酸などを含みます。
βカロテンやビタミンCは皮膚や粘膜の健康を保つため、美肌づくりやかぜ予防にも効果が期待できます。
生で食べるとレタスのシャキシャキした食感は食欲を増進し、カルシウムの働きと共にストレス緩和にも繋がります。

 

カロリー過多になりがちな食生活に、エネルギーの低いレタスは魅力的な野菜です。瑞々しい食感を生で、加熱してかさをへらして、たくさん召し上がり、ストレスフリーにお過ごしください。
(取材協力:JAれいほく)

ぱぱっと簡単レシピ

レタスのポタージュスープ

<材料4人分>
レタス 100g
玉ねぎ 1/2
じゃがいも 中1
水 250ml
固形スープの素 1/2
牛乳 300ml
サラダ油 少々
塩・こしょう 少々

<作り方>
⑴じゃがいもは皮をむき、薄切りにする。玉ねぎは薄切りにする。レタスはざく切りにしておく。
⑵厚手の鍋に、サラダ油を入れ玉ねぎをしんなりするまで炒める。水と固形スープの素、じゃがいもを加え、ふたをして約15分コトコト煮る。レタスを加えて5分ほど煮たら火からおろし、粗熱とって、ミキサーにかける。
⑶鍋にもどして、牛乳を加えて温め、塩、こしょうで味を調える。

豚肉そぼろのレタス包み

<材料4人分>
豚もも肉 500g
サラダ油 大さじ2
干ししいたけ 3
エリンギ 1パック
しょうが 15g
白ねぎ 1/2
サラダ油 大さじ1
レタス 1

 下味     
・赤酒 大さじ2
・塩 少々
・卵白 1個分
・米粉 大さじ3

 合わせ調味料 
・しいたけの戻し汁 1/3カップ
・みそ 大さじ3
・砂糖・しょうゆ・赤酒 各大さじ4
米粉 大さじ1

 

<作り方>
⑴豚もも肉はみじん切りにし、下味をつける。
⑵干ししいたけは戻して石づきをとる。戻し汁はとっておく。
⑶しいたけ、エリンギ、しょうが、白ねぎはみじん切りにする。
⑷レタスは1枚ずつ丁寧にはがし洗っておく。
⑸フライパンにサラダ油大さじ2を入れ、の豚肉を軽く炒めて皿に取り出す。
⑹フライパンにサラダ油を大さじ1を入れ、しょうが、ねぎ、しいたけ、エリンギの順に炒めの豚肉を加えてさっと炒め、合わせ調味料を加えて炒める。
⑺器にを器に盛り、レタスは別の器に盛って、レタスに豚肉そぼろを包みながらいただく。

レタスの回鍋肉

<材料4人分>
レタス 小1
豚バラ肉 200g
にんにく 1片

サラダ油  大さじ1

 合わせ調味料 
・みそ 20g
・砂糖 大さじ1.5
・しょうゆ 大さじ1
・赤酒 大さじ1
・豆板醤 小さじ2

<作り方>
⑴レタスは洗って一口大にちぎる。豚肉は一口大に、にんにくは薄切りにする。
⑵フライパンにサラダ油とにんにくを入れて炒め、香りが立ってきたら豚肉を入れて炒める。豚肉の色が変わってきたらレタスを加えて炒め、しんなりしてきたら合わせ調味料を加えて手早くからめる。

 

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持田 成子Shigeko Mochida

野菜ソムリエ上級プロ
女子栄養大学生涯学習講師

女子栄養大学在学中に「野菜のビタミン分析」に携わったことがきっかけで野菜ソムリエ資格を取得。「旬の野菜果物のチカラはココロとカラダを元気にする」をテーマに食育やセミナー、レシピ開発など食の周りで活動中。

野菜ソムリエとは

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。野菜・果物の知識を活かし自らの生活に活かす「野菜ソムリエ」、野菜・果物の専門家「野菜ソムリエプロ」、専門家の最上位資格「野菜ソムリエ上級プロ」と、3段階の資格がある。

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