【Mon】

Vitamin Table 〜第40回 オクラのおはなし〜

梅雨明けが待ち遠しいこの頃、梅雨が明けると灼熱の太陽が照りつける夏が訪れます。
夏野菜は厳しい暑さに耐えるため、多くの水分を含み、緑・赤・紫など色鮮やかな皮で紫外線から身を守っているのが特徴のひとつ…。人間にとっても夏を乗り切るために必要な栄養素がつまっています。今月はそんな夏野菜の中から、「粘り」が効くスタミナ野菜「オクラ」について紐解きます。

オクラはどこで生まれた?

エジプトやエチオピアなどアフリカ東北部の原産で、エジプトでは紀元前から栽培されていました。日本へは江戸時代末にアメリカから渡来してきましたが、食卓に並ぶようになったのは1970年頃からです。

オクラの呼び方は?

ハイビスカスなどと同じアオイ科で黄色い鮮やかな花を咲かせる植物です。トロロアオイ属で、和名は「アメリカネリ」。アメリカから渡来した「ネリ(トロロアオイ)」という意味で、「オクラ」は英語でもokraと書くそうです。

品種は?

五角オクラ

輪切りにすると五角形になる。

丸オクラ

島オクラとも呼ばれ、サヤに角がなく丸い形のもの。五角に比べ大きめでやわらかい。

赤オクラ

赤い皮は茹でると色が抜けて緑色になる。生のまま輪切りにして彩りに。

八丈オクラ

八丈島伝来の丸オクラ。大型だがやわらかい。

ミニオクラ

オクラの若採りでやわらかく生食向き。

白オクラ

淡い緑色。粘りが強いのが特徴。山口県長門市の伝統野菜。「サラダオクラ」とも呼ばれている。

ダビデの星

イスラエルの大型品種。断面が星のようにギザギザした極太のもの。

全国的に珍しい白オクラの生産地へ…

上天草市の「道の駅上天草さんぱーる」で夏になると見かける白オクラ。こちらでは生産者に栽培してもらって特産化を進めていると聞きお邪魔しました。
案内してくださったのは、上天草特産の「車海老」養殖発祥の地、維和島。天草諸島の北部、八代海に浮かび、東大維橋で野牛島を経て、西大維橋で大矢野島と繋がっている小さな島。養殖場を眺めながら海岸線を走り、すこし内陸の方へ入ったところに、山﨑宝さん、むつみさんご夫妻のほ場がありました。
濃い緑色の葉っぱがすっと伸び、ハイビスカスのような黄色い花が所々に咲いています。
伺ったのは、4月初めに直播され、3~4本仕立てになるように間引きの管理をされていている…オクラの小さいサヤが育ちはじめた頃でした。
本業は特産の車海老養殖業であるご夫妻が、白オクラ栽培に取り組まれたのは15~16年前のこと。自家採種で育てられていた近所の方から種をもらって植えたのが始まりとか…。以来、毎年種採り用の畝は特別にして採種し、栽培を続けているとおっしゃいます。

山﨑宝さん・むつみさんご夫妻
山﨑さんのほ場(維和島)

心がけていらっしゃることを伺うと、まず水管理。オクラはデリケートな野菜なので、水は大切だけど梅雨の長雨で花が落ちたり花が咲いてもならないこともある。間引きした後、収穫が始まったら1本とっては、摘葉をし、樹勢を維持。14日ごとにタイミング良く追肥して、9月半ばまで長く収穫していくそう…。しかしながら台風が襲来し、ひとたび樹が倒れてしまうとまっすぐな実がならなくなったり、風で葉が擦れ合い、実に細かな擦り傷が入ってしまうと商品にならない年もあるしね…と。

自家ブレンドした有機肥料のみを使い丁寧に栽培管理されている確かな品質は、作業中にのどが渇くともぎってパクパク食べたり、登下校中の小学生が『おばちゃん、オクラちょうだい』と声かけてきてパクパク食べるほど安心安全なもの。
収穫の際も浅い箱に一列に並べながら傷つけないように丁寧に採っていくんですよ…と。終始笑顔で語ってくださるご夫妻に、「白オクラ」に込められている深い愛情を感じながらほ場を後にしました。

山﨑さんの白オクラ

オクラの栄養・機能性

ビタミンA・Eなどの抗酸化ビタミン、葉酸。カルシウムが豊富。独特の粘り成分はペクチンなどの水溶性食物繊維。このぬめり成分には胃の粘膜を保護したり消化を助けます。クロロフィルやマグネシウムも含まれ、筋肉や血管の緊張も和らげます。

選び方

緑色が鮮やかでヘタやガクに黒ずみのないものが新鮮。大きすぎるとかたいことが多い。
うぶ毛をとるには塩をふってまな板の上で転がす「板ずり」をします。

 

内側から体を冷やし、食欲も増すので夏バテ予防におススメの夏野菜、「オクラ」のネバネバ効果で食べる暑気払いをして元気に過ごしましょう。

 (取材協力 「道の駅上天草さんぱーる」

ぱぱっと簡単レシピ

梨とオクラのコロコロサラダ

<材料2人分>
梨 1/2
オクラ 5
プレーンヨーグルト 大さじ2
マヨネーズ 大さじ1・1/2
粒マスタード 小さじ1/2
塩 少々

<作り方> 
⑴梨は皮と芯をのぞき、1cmくらいの角切りにする。
⑵オクラは塩をまぶしてこすった後洗って、水気をふき1cm小口切りにする。
⑶ボウルにプレーンヨーグルトとマヨネーズ、粒マスタードを入れて混ぜ、⑴と⑵を加えて和える。

オクラのお好み焼き

<材料:直径20㎝ 1枚分>
オクラ 10
白だし 大さじ
塩 小さじ1/2
卵 1
米粉(薄力粉でも可) 大さじ3
サラダ油 大さじ1

<作り方>
⑴オクラを小口切りにしてボウルに入れる。
⑵⑴に、白だし、溶いた卵、塩を入れて粘りが出るまでよく混ぜる。
⑶⑵に米粉を加え、さらに混ぜる。
⑷フライパンにサラダ油をひいて、⑶の生地を流し入れ、中火で両面を焼く。

刻みオクラと長いものそうめん

<材料2人分>
そうめん 2
めんつゆ(市販のもの) 120ml
オクラ 10
長いも 60g
しょうが 10g

<作り方>
⑴オクラはかたいガクをとり、塩少々を入れた熱湯でさっとゆで冷水にとって水気を切り、細かく刻む。
⑵長いもとしょうがは皮をむいてすりおろしボウルに入れる。⑴とめんつゆを加えてよく混ぜ合わせる。
⑶そうめんは袋の表示を参考にゆでて流水で良く洗い水気をきる。
⑷⑶を⑵に入れてさっと和え、器に盛りつける。

 

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持田 成子Shigeko Mochida

野菜ソムリエ上級プロ
女子栄養大学生涯学習講師

女子栄養大学在学中に「野菜のビタミン分析」に携わったことがきっかけで野菜ソムリエ資格を取得。「旬の野菜果物のチカラはココロとカラダを元気にする」をテーマに食育やセミナー、レシピ開発など食の周りで活動中。

野菜ソムリエとは

日本野菜ソムリエ協会が認定する資格。野菜・果物の知識を活かし自らの生活に活かす「野菜ソムリエ」、野菜・果物の専門家「野菜ソムリエプロ」、専門家の最上位資格「野菜ソムリエ上級プロ」と、3段階の資格がある。

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