プロフィール

〇家族構成
夫、息子２人
〇経営内容
レンコン、水稲
〇役職
（株）ナカドモファーム　専務取締役

宇城市松橋町で2023年３月に、農家カフェ『しあごはん ＩＮＡＨＯ』をオープンした蔀　葵さんをご紹介します。

松橋町は熊本県のほぼ中央に位置し、八代海に面した干拓地に広がる水田地帯で、水稲やトマトなどの施設野菜やレンコンなどの露地野菜等多彩な農産物が生産されています。葵さんは、約80年続く農家に生まれ、子供のころから農業を身近に感じ、地元でとれた農産物を使った料理に関心を持ち、高校で食品加工について学び、食品関連企業に就職されていました。

しかし、平成28年熊本地震で実家のレンコンを納めていた加工業者が被災し、規格外レンコンの加工が滞るようになったことから、父親から実家で、レンコンの水煮加工を始めるにあたり、就職先で培った知識・技術を活かし手伝ってほしいとの相談があり、躊躇なく就農しました。そして、それを機に、子供のころからの“夢”が少しずつ芽吹いていきました・・・・。

８年前に葵さんが就農し、加工所を開設して、新たな取組みが始まった実家は、株式会社ナカドモファームとして法人化し、周囲のレンコン農家の規格外品も加工販売するまでに成長していきます。そして、加工所としての信頼も高めながら、順調に取引先も拡大し、従業員の人事管理まで任されるようになったころ、農家カフェの夢を相談しても、以前は反対していた父親が、背中を後押ししてくれる状況になったそうです。実家近くに道路が新しく開通し、レンコン畑の残地の有効利用ということで、農家カフェへの活用に結び付き、父親も農地転用の手続きなどにも力を貸してくれて、いよいよ夢の実現へと大きく状況が変化したそうです。ただ、葵さんはこれまで飲食店で働いた経験がなく、まさに手探り状態からのスタートでした。

お店の『しあごはん　ＩＮＡＨＯ』は、蔀　葵（”し”とみ  ”あ”おい）さんのニックネームの‘しあ’と多くのお客さんに来店してもらっても稲穂が頭を垂れるように常に謙虚でいたいとの思いから名付けたそうです。開店から１年が過ぎ、リピーターの常連さんや、九州版のテレビ放送を見て、県外から来店されるなど多くのお客さんに愛されるお店になっています。そして、お客さんからの、“今日も来ました”“おいしかった”とのあいさつが葵さんの充実感につながっているそうです。

葵さんは就農後、掘りたて新鮮なレンコンを食べてもらいたい思いからマルシェなどで販売をされた際のお客さんの“おいしい”驚きの反応や、鮮度を無視してレンコンが販売されている状況等を見て、レンコンの鮮度をそのまま提供したい、地元の新鮮野菜をたくさん食べてもらいたい、ということを信条にしたお店づくりでお客さんを‘おもてなし’されています。お店には、地元の農家が生産した新鮮野菜や加工品の直売スペースもあり、商品だけを買いに来店されるお客さんもいるほど。中には、農家カフェで提供する野菜に感動し、帰りにその野菜を買って帰るお客さんもいるそうです。