一・二番茶後の茶園更新と その後の整剪枝(せんし)方法

はじめに

茶園は、毎年摘採を繰り返すと、樹高が高くなり、管理が難しくなります。また、枝条が細くなるにつれ、葉型も小さくなり、葉層も薄くなってしまいます。そこで、作業性の向上、樹勢の回復、良質な茶葉の収穫に向け、定期的に茶園の更新を行いましょう。

更新のタイミング

細い枝の目安は、枝の太さが1.8㎜以下です。だいたいマッチ棒(2㎜)よりも細い枝がつまってきたら更新と判断してよいでしょう。
いずれの場合も、剪枝(せんし)位置が過去の整剪枝位置と同じ位置にならないよう少しずらし、芽が硬化するのに必要な日数を確保できるように余裕をもって作業を行ってください。また、茶園の状況(樹勢や気象条件)によって剪枝位置や時期は異なりますので各作業時期については、下記を目安にほ場の状況を考慮しながら実施してください。

図1 せん定位置の目安

浅刈り

7月上旬頃までに、摘採面から約5㎝程度下げ、葉層の半分を残す程度に剪枝を行います。更新効果は12年程度です。浅刈り後は秋整枝まで、必ずしも整枝を行う必要はありませんが、徒長枝が目立つ場合は、8月下旬頃までに浅刈り位置より15㎝程度高い位置で徒長枝剪除(せんじょ)を行います。これにより、徒長枝の生育を抑制し、周囲の芽の伸長を促すことで芽揃いが良くなります。秋整枝は浅刈り位置より約7㎝高い位置を目安に行います(図2)。

図2 浅刈り更新および整枝位置(2番茶後)

深刈り

一番茶後もしくは二番茶後に古葉が残らない程度に、摘採面から10㎝程度深く剪枝します。更新効果は2~3年程度です。深刈りの場合は、芽数を増やすため秋整枝までに一度、更新位置から約5~7㎝上を目安に整枝を行う必要があります。芽が硬化するのに必要な日積算温度(平均気温)は、更新から約1,000(日℃)ですので、7月下旬~8月上旬頃までに再度整枝することを見越して、深刈り更新のタイミングを検討しましょう。
高冷地での二番茶後の深刈りは、剪枝後の硬化が間に合わず、翌年一番茶の減収につながる可能性があるため、なるべく一番茶後に実施してください。秋整枝は初回整枝位置か
ら約5~7㎝高い位置を目安に行います(図3)。

図3 深刈り更新および整枝位置

中切り

地際から40㎝程度、樹高の中間辺りの高さで剪枝を行います。更新後の回復に時間がかかるため、作業は一番茶後の5月中旬頃までに実施してください。更新効果は5年程度です。中切後2週間程度で再生芽が出始めますが、芽数や葉数を増やして秋芽の生育を均一にするため、中切り後60~70日頃(8月上旬頃まで)に約7~10㎝高い位置で整枝を行います。整枝の時期が遅くなりすぎると、秋芽の硬化が間に合わなくなりますので、その際は徒長枝整枝に切り替えましょう(図4)。

図4 中切り更新および整枝位置

二番茶以降不摘採園

一番茶のみ収穫し、二番茶以降摘採しない茶園についても、翌年一番茶の収量を確保するためにも秋整枝までに一度は整枝を行いましょう。時期については、梅雨明けに整枝後の再生芽が出るよう、710日頃を目途に一番茶の摘採面から1㎝程度高い位置で刈落としを行います。また、樹高を抑えたい場合は、同じ時期に浅刈りを行う方法があります(図5)。

図5 整枝イメージ

更新後の防除について

浅刈り、深刈りを行うことで、炭疽病やもち病の発生はほとんど見られなくなりますが、輪斑病が多発する茶園では浅刈りをする際には、剪枝後すぐに輪斑病の防除を行いましょう。
また、更新後の新芽は、その後の生育に最も大事な芽となります。この芽は、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、カンザワハダニ等の吸汁性害虫の集中被害を受けやすく、加害された場合は、茶樹のダメージは大きく、翌年の一番茶収量が大幅に減収します。このため、新芽生育期には徹底した防除を行いましょう。

 

県南広域本部 球磨城地域振興局 農業普及・振興課

 

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